【ソフトバンク育成7位】「藤田淳平」を知るにはまずこれを読め!
藤田淳平 プロフィール
低めにコーナーにストレートを突き刺すサウスポー。東亜大学では3年春のリーグ戦で防御率0.73(1位)を記録し、MVPとベストナイン獲得。3年秋もベストナインに選出された。地元徳島県出身。キレのあるボールを丁寧に投げ込むピッチングスタイルでプレイヤータイプとしては阪神の伊藤将司投手をイメージする。
インディゴソックスでは前期からフル回転し、前期終了時点で防御率1.17(2位)、奪三振54個(リーグ1位)とチームの前期優勝に大きく貢献した。後期も活躍は続き、防御率1.51はチームメイト左腕の池戸昇太投手と共にリーグトップ。最優秀防御率のタイトルを獲得した。
成績&データ
今季の藤田の成績をまとめたものがこちら。1年間安定した投球を見せ、防御率1.51は堂々の1位。奪三振能力も高く、リーグ3位の75奪三振で奪三振率10.28とイニング数を大きく上回る三振を奪った。
1投球回あたり何人のランナーを出したかを表す指標であるWHIPで「0.99」を記録。「被打率.203」と打たれたヒットも少ない。さらに与四球率「BB/9 2.33」と与えた四球も非常に少なかった。高い奪三振能力と制球力で「K/BB 4.41」を記録。K/BBは一般的に「3.50」を超えると優秀とされる指標であり、それを大きく上回る数字を誇る藤田は持っている能力をいかんなく発揮していたことがわかる。
塁状況別成績
「被打率.202」「WHIP 0.99」とランナーの出塁を簡単に許さない藤田であるが、得点圏ではさらに集中力を高め、打者を抑え込む。得点圏被打率は驚異の「.086」を記録。ピンチでも動じることなくキレキレなピッチングができるメンタルの強さを持つ。
左右別・ゾーン別被打率
左右別に比較しても大きな差はなく、右打者左打者のどちらに対しても被打率.200程度で優位に立てている。特に低めを突いた投球で打者を打ち取っており、右打者に対しては高めで三振を奪えており、球威のある高めのストレートを空振りさせることができていると考えられる。
全登板内容
今シーズンの全登板をまとめたものがこちら。先発と中継ぎの両方で起用された。全登板を振り返ってみても与えた1試合で与えた四球はイニングに関係なく1個か2個という高い安定感。余計なランナーを出さないピッチングができることは大きな強み。
球種構成
球種構成を見てみるとおよそ2/3がストレート。最速148km/hながら空振り率は12.6%とリーグ屈指。NPBにおけるストレートの空振り率の平均が7~8%と言われており、それを大きく上回る数字を叩き出した。今季奪った75奪三振のうち実に60%以上にあたる48個がストレートで奪ったもの。決め球としても自信をもって投げ込めるボールだ。
ストレートのストライク率が66.7%と非常に高いうえに、スライダーはそれを超える68.6%を記録。ストレートだけでなく、スライダーもしっかりと狙った通りに投げ込めるだけに打者としては狙いを絞りづらく、カウントを整えやすさにも繋がる。ストレートを軸に豪快なピッチングをするタイプが多い独立リーグの中でこれだけ変化球をしっかりと操れることの価値は非常に高い。
球速帯
藤田の各球種の球速帯は以下のよう。ただし一球速報で球速が入力されたのは全1070球のうち248球と非常に精度は低いため、参考程度で。
カーブ、スライダー、ストレートと球速帯がはっきりと分かれている。ストレートは130km/h台を記録することも多く、記録上のストレート平均は139.8km/h。縦の変化球としてフォークやチェンジアップも使っており、さらなる進化を目指す途中。
Rapsodo Data
Rapsodo Japan様のご協力のもと、シーズン中に試合での投球データの収集を行った。その時の藤田の投球データがこちら。
一般的にストレートの場合、縦変化量の平均はおそよ40㎝、横変化量の平均はおよそ20㎝(シュート方向に変化)と言われている。(図青線)藤田の場合は横変化量は平均的だが、縦の変化量が平均と比べて5~10cmほど大きくなっている。球速がそこまで速いわけではない藤田がストレートの空振り率が高い理由の1つがこの縦の変化量の大きさと考えられる。さらに空振り率の高さについてはフォームがスリークォーターでリリースポイントの位置が低いことも影響を与えていると思われる。
成績&データ、分析ほか
中俊輔(@SNaka99400680)