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noteの使い方のバリエーションを、むりやり職業図鑑的に整理してみる

noteのお仕事をするようになって、早いもので半年が経過してしまったんですが(汗)

なんか一部の方からは「noteは長文の記事を書く場所」とか「noteってエモいエッセイを書く場所」とか思い込まれてるケースが少なくないなぁと感じてます。
実際にはnoteのアカウントって150万IDとか超えてるんで、当然様々な使い方をされてる方がいるんですけど、ツイッターでバズる記事が長文のものが多かったりするのも大きいのかなと思ったり。

ということで、7月からやろうやろうと思ってあまりの大変さに後回ししてきた、会社員の方にオススメのnoteの使い方を考えるための、noteやブログの使い方の種類の整理というかリストアップに挑戦してみたいと思います。

noteの使い方、職業図鑑的分類一覧

なお、まずはこれはあくまで暫定版です。
皆さんから、これは違うだろ、とか、もっとこういうのあるよ、というご指摘やフィードバックをお待ちしております。
※なお、このリストは徳力が個人的な勉強や整理のために作っているものなので、ピースオブケイクの公式見解とは一切関係ありません。

noteやブログの使い方をまず大きく2種類に分けると、小説とかマンガとか職業や収入につながる創作活動の「作品」を公開しているのか、あくまで趣味とかコミュニケーションとか直接的な収益目的ではない創作活動なのか、で分かれると思います。
私のブログ活用の分類で言うと、メディア的活用か、それともコミュニケーションやメモ的活用か、の違いですね。

まずは職業や収入につながっているであろう創作活動の事例をいくつかご紹介します。

1.職業や収入につながる創作活動のケース
 (メディア的活用)

■エッセイ

多分、noteで1番分かりやすく目立っているのがこの「エッセイ」カテゴリに属するもの。
エッセイとはなんぞやという議論もありまして。
Google先生的には「自由な形式で、気軽に自分の意見などを述べた散文。」とのことなので、私みたいな自由に書いてるブログと変わんないじゃないかという議論もあると思いますが。
今回の分類でのポイントは、メディアが「エッセイ」として原稿料を支払って掲載してくれるぐらいのレベルというイメージですね。

象徴的なのは、2015年のコンテストでnoteに書いた記事が入賞して、cakesで連載も持つようになったエッセイストのスイスイさん。
元々はリクルートに入社して、その後CMプランナーをされていたのが、エッセイストに転向されたキャリアをお持ちです

有名人だと、昨年から落合陽一さんがnoteでエッセイの連載を開始して話題になったのが記憶に新しいところです。

また、最近だと、赤べこやブラジャーの記事で、一気に時の人になった岸田奈美さんとかも、会社員として仕事をしながらエッセイを書きはじめた人の代表格かなと思います


■小説、ルポ

エッセイに比べると創作活動としてのハードルがグッと上がる印象も強い「小説」や「ルポ」カテゴリの投稿も、noteには存在します。
これはnoteをはじめる時に、加藤さんがまず有料マガジンのcakesからはじめて小説家や文筆家の方々ともコミュニケーションを取っていたのが大きい模様。
小説やルポの定義も議論があると思いますが、ここにはある程度書籍化を想定しやすい長めの作品を想定して分類しています。

最も分かりやすいのは、映画化もされた「マチネの終わりに」を、毎日新聞だけでなくnoteにも同時連載するという挑戦をされた平野啓一郎さんですね

また、平成時代初のミリオンセラー作家として有名な吉本ばななさんも、もう3年以上、note上で小説の連載を続けられています。
なんでも、出版不況に関わるトラブルに時間をとられるのはもったいないと思って、自分でゲラになるまでの作業はやると決めたのが、ネットから発信されるきっかけだったそうです。

さらに、昨年書籍化されたノンフィクションのルポであるつけびの村も、象徴的な事例だと思います。
ただ、これは著者の高橋さんもおっしゃってましたが、noteに公開したからトントン拍子に書籍化が進んだという訳ではなく、注目されるようになるまで半年以上かかったというのは注意点かなとも思います

■マンガ、イラスト

noteというと、「テキスト」「文章」という印象が強い方も多いと思いますが、私も入ってみて驚いたのは、結構「マンガ」や「イラスト」などの画像コンテンツも存在することです。
実際noteって投稿ボタンを押すと、テキストだけじゃなくて、写真とか動画とかも選択できるんですよね。その中でもマンガの存在感があるのはcakesの存在も大きかったのではないかなと言う印象です。

有名なケースで言うと「やれたかも委員会」の吉田貴司さんでしょうか。
過去の経験から、権利を縛られないことを最優先し、どの出版社からも独立している媒体としてnoteを選択されたのだそうです

「うつヌケ」でお馴染みの田中圭一さんは、サラリーマンとの兼業だからこそ書ける、うつ病の経験をマンガに書かれています

また、コンテストで入賞したことからcakesで「左ききのエレン」を連載するようになり、テレビドラマ化まで辿り着いたかっぴーさんは、連載開始当時Web制作会社のサラリーマンだったそうですから、象徴的な事例と言えると思います。


■コラム、評論

これまたコラムとはなんぞやと言う議論はあると思うんですが、デジタル大辞泉的には「新聞・雑誌で、短い評論などを掲載する欄。また、囲み記事。」だそうです。

これまた通常のブログ記事と何が違うんだという議論はあると思いますが、noteにはマガジンという機能があることもあり、特定のテーマのコラムをマガジンで連載されている方が結構おられます。

有名どころとしては、占い師として有名なしいたけさんが、有料マガジンでコラムを運営されています。

また、料理系のコラムとか、旅行系のコラムとか、映画の評論とか、カテゴリー特化型のnoteを書かれてる方も多くおられます。

最近では、評論家の宇野常寛さんが、個人の有料マガジンで、映画の評論を書かれていましたし。

noteならではの事例としては、スープ作家の有賀薫さんが、noteの記事がコンテストが入賞されたことがきっかけでcakesの連載を開始、書籍も出版されているケースなどがあげられるでしょう。


■講座、ノウハウ

noteには有料マガジン機能がありますが、ビジネスパーソンにとって、有料マガジンと比較的相性が良いと思われるのが、ノウハウや講座系のコンテンツです。

もちろん、中途半端な知識を有料記事にして儲けようとするのは、情報商材と批判されるリスクがあるのでオススメしませんが、ノウハウ系の記事を公開し続けることによって書籍化されることもあります。

起業家でもあり投資家でもあるけんすうさんは、自らのやってきたサービスの失敗の歴史をまとめ有料記事として販売されてました。

また、湊川あいさんは、noteがリリースされた1ヶ月後に無名な状態からnoteを書きはじめ、「マンガでわかるWebデザイン」の企画を開始、サイトが出版社の目にとまって書籍出版にこぎ着け、今では複数の著書を出されています


■ニュース、記事、解説

これまた、何から何までがニュースや記事なのか、という議論は永遠に終わらないと思いますし、そもそも「記事」という単語自体が、ニュースだけでなく、ブログやエッセイ全てに適用されるので、ややこしいですが。

ここでイメージしているのはいわゆるネットメディアとかに掲載されるニュース系の「記事」です。
もっと端的に言うと、ジャーナリストやライターの方々が給料や原稿料をもらって書いている「記事」ですね。
実は他のブログサービスやメディアに比べてnoteが相対的に少ないと思われるのがいわゆるこうしたニュース系の記事です。

もちろん私のようなブログ記事まで含めれば多いんですが、noteではバナーの広告収入が得られないため、いわゆるネットメディアで王道となるページビューを増やしてそれに連動する広告収入を得るという選択肢がありません。
そのため、ジャーナリストやライターの方々が、noteで収入を立てるというのは少しハードルがあるのは事実です。

ただ、「決算が読めるようになるノート」を書かれているシバタナオキさんは、2016年からnoteで決算の解説記事の執筆を開始。
いまでは書籍化や有料マガジンの運営にも挑戦されていますし。

超整理法で有名な野口悠紀雄さんは、2018年からnoteで経済最前線というマガジンで、用語の解説などに挑戦をされています。

直近では、文藝春秋さんがデジタル版をnote上で開始して膨大な記事を公開されはじめてますし、この辺も、これからは増えてきたりするのかなと思ったりします。


なお、他にも職業につながる創作活動のケースはあると思うんですが、このままだと本当に職業図鑑になってしまいそうなので、一旦これぐらいにさせていただいて。

実は、普通の会社員の方にとってnoteのハードルが高いのは、noteがこうしたいわゆるプロのクリエイターの方々のためのサービスではないか、と思えてしまう点にあると思っています。

ですので、私のような普通の会社員の方にとっては、これから先のリストの方が本番です(笑)
それでは後半戦、行ってみましょう。

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2.職業や収入に直接はつながらないケース
 (コミュニケーションやメモ的活用)

■日記

ブログが日本にやってきたときに、多くの人が脳内変換したのが「ブログ=日記」でした。
日本は何と言っても夏休みの宿題からして日記がありますし、世界でも日記を書く文化が最も定着している国ではないかと勝手に思ってます。

芸能人ブログの多くが日記を公開するスタイルですし、当然日記であれば誰でも書けるはず。
そもそも、2005年にブログが流行語大賞のトップテンに入ったときに、受賞者として登壇したのは、嫁の理不尽な仕打ちを誰かに聞いて欲しいと「鬼嫁日記」を書きはじめて大ブレイクしたサラリーマンのカズマさんでした。

もちろん、日記が多くの人に読まれるためには、芸能人のように知名度があるか、鬼嫁日記のように面白い内容である必要がありますが、多くの人に読まれることを前提にしなければ「日記」は、比較的誰でもはじめやすいスタイルだと思います。

■メモ

個人的にnoteやブログのはじめ方としてオススメしているのが「メモ」として始めることです。

前述の日記にも近いですが、日記というとその日に起こった出来事を毎日書くイメージが強いと思うので、それよりもさらにゆるくメモを書く必要が出たときにだけ書くメモをイメージして下さい。

イベントのメモ、読書のメモ、ニュースのメモ。
何でも良いと思います。
noteやブログを始めたいけど、最初の1記事目がなかなか書けないという方の大半は、「情報発信」と思っているからというのが個人的な印象です。

始めたばかりのタイミングは普通誰も読んでくれませんし、恥ずかしがってなかなか書かないと、結局何もハプニングが起こりません。
「情報発信」のハードルに悩んで書けないぐらいだったら、まずは「メモ」として自分のためだけにはじめて見るのがオススメです。


■雑談、おしゃべり

実際のnoteの使い方として、会社員の方にとって1番長続きしやすいのが、この雑談やおしゃべり、つまりは「コミュニケーション」のためにnoteを使う方法です。

もちろん、おしゃべりするだけだったら、ツイッターとかFacebook、インスタなどのソーシャルメディアで十分なんですが、ツイッターは140文字制限があり、長めのおしゃべりをしようと思うとツイートを連投して途中の発言だけで揚げ足を取られたりするリスクがありますし、Facebookは基本的にはつながっている人以外に発言が届く可能性が低いプラットフォームです。
インスタはなんだかんだ写真や動画が軸ですし。

そこで、普段のコミュニケーションはツイッターとかのソーシャルメディア上で行いつつ、ちょっとまとまった話を聞いてもらいたいときはnoteを使うという方法がオススメです。

ちなみに、イランの記事でお馴染みの岡田さんも、元々は面白い記事を手元のメモとかmixi日記に書いて、友達に読んでもらって反応を楽しむというところから文章を書くことを始めていたそうです。

ちなみに、こういう凄い文章を例として紹介してしまうと、「私には文章力ないので、noteやブログなんてとても・・・」という方が出てこられるんですが、そういう方もメールやチャットでおしゃべりはされてると思うんですよね。

個人的には、会社員の方がツイッターやブログを持っていないのは、メールアドレスやLINEを使っていないのと同じく、そのプラットフォーム上のコミュニケーションのチャンスを逃していると思っているタイプなので、是非もっと多くの人にネット上の会話に参加して欲しいと思う次第です。

■お知らせ、告知

ブログやソーシャルメディアの普及により、個人がメディアになれる時代になりました。
とはいえ、個人で影響力がある存在になるには時間がかかるので、最初からそれを目的にするよりは、まずはメモやコミュニケーション目的で使う方がオススメではありますが、ある程度影響力ができてくると、自分のnoteでお知らせや告知が容易になります。

例えば、ツイッターでも影響力のある投稿を連発されていることで有名なけんすうさんは、雑談やおしゃべり的な記事をnoteに投稿しつつ、自らが運営されているマンガサイトの告知を組み込んでます。

また、さらに象徴的なケースで言うと、メルカリの小泉さんがアントラーズの株式譲渡の背景について書いた例でしょう。

会社のプレスリリースとしてはオフィシャルすぎるので、あえてnoteに投稿されたものと思いますが、小泉さんの投稿は今のところこの1記事だけ。

なぜか日本だと、ブログ黎明期の印象からなのか、夏休みの絵日記の後遺症なのか、noteやブログは「毎日書かないといけない」と思い込んでる人がいるんですけど、もちろんそんなことないんですよね。

けんすうさんや小泉さんのようにツイッター上で影響力がある人であれば、ここぞと言うときの記事はnoteに書いて、ツイッター側から告知するという手もあるわけです。

■経験共有、アドバイス

また必ずしも宣伝目的ではなく、自分の経験やノウハウを後輩や業界に共有したいという形でnoteを書く人も増えています。

マンツーマンで口頭で話しても、聞いてくれる人は数名だと思いますが、オープンに文章や写真、動画の組み合わせで記事にすることで、広く業界でそのノウハウを活用することもできるわけです。

昨年話題になったもので言うと、元ヤフー社長の宮坂さんのこちらのnoteでしょう。

実は宮坂さんはこの記事含めて2記事しか書いてませんが、この記事だけでもメチャメチャ価値ありますよね。

年末にもご紹介しましたが、元P&Gの中村さんの一連の記事も象徴的だなと思います。

事例としてご紹介したのが、錚々たる肩書きの方の記事なので、自分には無理かも、と思われる方もいるかもしれませんが。

実は普通の会社員のちょっとした経験とかノウハウも、自分と同じような立場にある人には役に立つ可能性があるわけです。


ここまで読んで頂いた方なら分かるはずのオチ

さて、今回の整理ではあえて「職業や収入につながるかどうか」という分類で事例を並べさせて頂きましたが。

きっと、ここまで時間を使って読んで頂いた方には、実はこの境界線にはあまり意味がないことが分かって頂けるのではないかと思います。

後半の分類でご紹介した方の中には、すでにメディアでコラム連載を持たれている方も含まれています。
私自身も、元々はブログに記事を書き散らしていたら、メディアから記事執筆のオファーを頂いて驚いた経験があります。

前半の分類で整理された方々にも、実はnoteやブログを書きはじめた頃、さらにはもっと以前は、趣味や自分のために書きはじめた方が多く含まれているわけです。

自分の中では日記として書きはじめたものが、エッセイやルポとして原稿料がもらえるようになる可能性もありますし。
絵日記として書いていたマンガが注目されてマンガ家の道が開かれる可能性もあります。

メモや友達との雑談のために書いていた記事が話題になり、コラムやレビューの執筆依頼が来ることもありますし。
後輩へのアドバイスとして書いた連載が、講座になったりノウハウ本のオファーが来たり。
告知のために書いた記事がバズってニュースになったりすることもありえるわけです。

なんとなくnoteの名刺を持っていると、「noteで話題になるためにはどうれすれば?」とか「noteで読まれる書き方を教えて欲しい」とかって聞かれることが増えているんですが。
個人的には、無理して世の中的な正解によせた文章を書こうとするよりも、自分が書きやすいカタチの文章を、メモなり友達とのコミュニケーションとして気軽に書きはじめてみるところからこそ、道が拓けるのではないかと考えています。

ということで、是非、このリストに載っていないような自分なりのnoteやソーシャルメディアの使い方を発見してみて下さい。


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徳力基彦(tokuriki)
ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございます。 このブログはブレストのための公開メモみたいなものですが、何かの参考になりましたら、是非ツイッター等でシェアしていただければ幸いです。