見出し画像

値引きプロモーションは、短期的には成果が出るが、長続きせずメリットはない

2016年に開催されたワールドマーケティングサミットの「データドリブンマーケティング」というセッションの速記メモが発掘されたので、こちらにもメモしておきます。

セッションタイトルとは連動してない印象もある、ごった煮セッションでしたが、それぞれ日本ではあまり聞くことがない話で、なかなか興味深かったです。
個人的に特に印象に残ったのはタイトルにも入れた最後のハンセンズ教授の講演でした。

ーーーーーーーーーーーー
セッション名: データドリブンマーケティング

「マーケティングにおける脳の活用」
 モーラン・サーフ(ノースウェスタン大学 ケロッグ経営大学院 教授)
「国のブランディング」
 デービッド・レイブスタイン(ウォートン大学 教授)
「デジタル時代のマーケティングの衝撃」
 ドミニク・ハンセンズ(カリフォルニア大学ロサンゼルス校ビジネススクール 教授)

【サーフ教授】
・脳科学の研究者でありながらケロッグでマーケティングを教えている

・脳は複雑なパターンを考えて解決するよりも、見て感じるのに最適な構造になっている。

・音を全く聞くことができなかった聴覚障害者が、振動を活用した人口耳をつけると、すぐに聞くことに慣れることができる

・マーケティングのフレームワークは変わってない

・私たちは脳の中心にいない。脳の中にたくさんの私たちがいて、その大勢の私たちが脳の中でどのように判断すべきかを決めている。ふ

・ガリレオはある日星々を見ていて、地球を中心に星々が回っているのではなく地球も星の一つであることに気がついた。

・脳科学においても、同じことが起こっているといえる。皆さんが考えている自分とは脳の中にいる私たちの中の一人でしかない。

【レイブスタイン教授】

・有形資産が株主価値の主要因になっている時代は終わろうとしている。

・日本は未だに企業価値の大半が有形資産によって占められている。
・無形資産
 ・ブランド
 ・顧客
 ・ディストリビューター
 ・IP
 ・HR

・価値のある無形資産を作っていけるかどうかはマーケティング部門にかかっている。
・顧客の価値をデータを活用して計算することが可能になってきている

・プロダクトブランディング
 ・価格を上げることができる
 ・販売量を増やすことができる
・ネイションブランディング
 ・地域を訪問してくれる
 ・その地域の製品を買ってくれる
 ・その地域に投資をしてくれる
・日本は国のブランドとしては60カ国中7位。

 ・Adventure
 ・Citizenship 14位
 ・Cultural Influence 6位
 ・Entrepreneurship 2位
 ・Heritage 7位
 ・Movers 5位
 ・Open for business 22位
 ・Power 7位
 ・Quality of Life 11位

・好むと好まざるとに関わらず国にもブランド価値があり、経済に直接的な影響がある。国のブランドを変えるためにできることはたくさんある。

・オリンピックは旅行者を呼ぶ機会であるだけでなく、日本にとって国としてのブランディングをする機会にもなる。
・これからは全ての国がマーケティングやブランディングを意識する必要がある

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ハンセンズ教授】

1.Quantifiable marketing impact
 従来は広告投下量と売上の変動を比較することで産業別のマーケティング効果を比較していた。

・広告とセールスコールを比較する上でも、効果が3倍違うからといってマーケティング費用を全額セールスコールに投下するのは間違っている。両方を実施しているから現在の成果が出ていると考えるべき

・短期間の値引きプロモーションは、短期的には成果が出るが、長続きせず成長の視点で考えると好影響はない。

・流通経路の要素が非常に大きい。顧客は結局買えるものを買っているということである。

・長期間の成長は広告や値引きプロモーションからは生まれない。
 チャネル戦略や顧客満足度、イノベーション、ブランド資産の方がはるかに大きな影響がある。

a digital media

・確かにデジタルメディアにシフトはおこっているが、広告の効果が上がっているかというとそれを裏付けるデータは無い。
 デジタル技術でターゲットを絞ることができるようになったが、絞りすぎると嫌がられるというネガティブな影響もある。

b product quality

・レビューへのアクセスが容易になったことで消費者の判断に大きな影響を与えるようになった
・レビューのValence(.69)や量(.3)は広告よりもはるかに影響があることが分かっている

c. Diffusion

d. Distribution
 マーケティングミックスにおいて最も重要な要素になっている
 インターネットで一見すべての人が等しくなっているように見えるが違う。

 アップルのiTunesStoreのように、人々に手に入りやすいディストリビューションを構築することが重要

ーーーーーーーーーー
なお、今年のワールドマーケティングサミットの申し込みはこちら

この記事が参加している募集

イベントレポ

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございます。 このブログはブレストのための公開メモみたいなものですが、何かの参考になりましたら、是非ツイッター等でシェアしていただければ幸いです。