「ちえ」(64)「バスケの飲み会②」
バスケ部の飲み会の後で、SとMがアパートに泊まっていくことになりました。
翌朝に、「ちえ」が早起きをして4人分のタマゴサンドを作ってくれました。
「朝からタマゴサンド食べられると嬉しいな」
「「ちえ」の作るタマゴサンドって美味いぞ」
SとMも「美味い、美味い」と言って食べてくれました。
「Kさんって料理も上手いんだね。ホント、お前が羨ましいわ⋯」
「たぶん、E子ちゃんもM子も料理上手だと思うぞ。特にE子ちゃんは、お母さんの代わりに料理するって言ってたからな」
「へえー、そうなんだ」
「ちえ」には聞こえないように、こっそりとSに「内緒だけど、俺、E子ちゃんに振られたんだ」
「えっ」
「絶対に「ちえ」には言うなよ」
「分かった」
私の車で2人を送って行きました。「ちえ」はアパートで待っていました。
「お前、E子ちゃんに振られたって、いつのことだよ?」
「まだ、「ちえ」と付き合う前だよ。俺、ホントにE子ちゃんが好きだったんだ」
「なんで振られたんだよ」
「タイプじゃないって言われた⋯」
「俺のこと「遊び人」だって思ってたみたいだな。だから、お前は勘違いされるなよ」
「そうか⋯。分かったよ」
2人を送ってアパートに戻って来ると⋯。
「ちえ」が「ねえ、トクちゃん。M子ちゃんって、トクちゃんに告白してきた子じゃない?」
「うん、そうなんだよな⋯。でも、そんなことMの前じゃ言えないじゃん」
「MがM子と付き合ってくれれば、俺も安心じゃん。アイツ良いヤツだからさ」
「そうだね。上手くいくと良いね」
「でもなあ⋯。ちょっと心配でもあるんだよな⋯」
「なにが心配なの?」
「M子がさあ、俺のことあきらめてるのか分かんないんだよな⋯」
「あきらめてくれたんじゃないの?」
「そのはずだったんだけどさあ⋯」
「トクちゃん、なにか私に隠してることあるの?」
「「ちえ」に言うとさあ、誤解させるとヤダなって思ってさあ⋯」
「ちゃんと言ってよね」
「うん⋯。告白断ってから、しばらくは良かったんだけどさあ⋯」
「最近、また、俺の車に乗りたがるんだよな」
「バスケの練習が終わった後に、みんなでファミレス行くじゃん?」
「その時に、俺の車に乗りたがるんだよな」
「トクちゃん、その時どうしてるの?」
「俺の車の助手席には、彼女しか乗せないって言ってるんだよ」
「それでも、まだ乗りたがるんだよな⋯」
「M子以外の子も一緒に乗せてくんなら良いだけどさあ 」
「俺の車の後ろの席って、凄く狭いじゃん」
「だから、3人とか4人で乗るのがキツイんだよな」
「さっきも、後ろに乗ったMが「お前の車ってほとんどツーシーターだな」って言ってたからさ」
「ツーシーターってなに?」
「直訳すると2席ってことだな。「ちえ」って英語苦手だった?」
「そうでもないけど⋯」
「ようは、2人乗りってことだよな。「ちえ」は後ろの席に乗ったことないから分からないかもしんないけど」
「子ども産まれたら車、変えないとダメかもな⋯」
「そんな先のことよりM君とM子ちゃんの心配しないとだよ」
「そうなんだよな⋯」
「「ちえ」は、俺とMとどっちがカッコいいと思う?」
「私は、トクちゃんだと思うけど」
「「ちえ」に聞いてもダメだよな⋯」
「それってどういう意味?」
「「ちえ」は、目が悪いってこと」
「残念でした~。私は両眼とも1.2です~」
「じゃあ、物好きってことだな」
「まあ、そのおかげで「ちえ」と結婚できるんだから良いけどさ」
「⋯」
「俺からしてみると、絶対Mの方がモテると思うんだけどな」
つづく
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