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「なな」⑯「映画」

今回も「なな」との思い出を語ります。

このお話しは、私の夢の中のお話しだと思って読んで頂けると幸いです。

「なな」と映画を見に行った時の話です。

その頃の私は、空手が強くなる為に筋トレをしていました。

憧れの俳優はシルベスター・スタローンでした。

そのシルベスター・スタローンが主役である「ランボー」シリーズはすべて見ています。

その時は、「ランボー2怒りの脱出」でした。

ランボーを演じるシルベスター・スタローンがあまりにもカッコよくて、あんな男になりたいと思っていました。

筋トレも、空手が強くなることはもちろん、ランボーような肉体になりたいという思いもありました。

さて、映画が終わり、会場の明かりがついた時です。

「なな」は当然のように席を立ちました。

「なな」にとっては、ただのアクション映画で、それ以上でもそれ以下でもなかったのです。

ただ私に誘われたから見ただけ。

そんな感じです。

しかし、私は違いました。

よく、昔のヤクザ映画で、映画館から出てくる人がみんな高倉健になっていたという話を聞きますが、あれと同じです。

私も気持ちはランボーになっていました。

そして、ランボーの命を救いながらも、自分は命を落としてしまうヒロインを「なな」に投影していました。

「なな」がもし殺されたら・・・。

俺は復讐の鬼になってやる。皆殺しだ!

そんな感じです。

そして「なな」にお願いしました。

「もう一回みよう」と。

「え〜。また見るの~。今終わったばっかじゃん・・・」

「なな」は、いささかげんなりしながらも私に付き合ってくれました。

一回目と二回目では見る場所を替えました。

二回目は、より迫力を求めて、最前列で見ました。

映画館を出た私は大満足でしたが、「なな」は少々膨れっらです。

人生で同じ映画を続けて見たのは、これが最初で最後でした。

映画に付き合ってくれたお礼に、「クレーンゲームで好きなの取ってやるよ」と言うと、「なな」の目が輝き「それならトッポジージョが良い」と言いました。

あまり得意ではないクレーンゲームでしたが、運良く3回目で、目標のトッポジージョを取ることができました。

「なな」も大喜びしてくれました。

そのご機嫌は、アパートに帰るまで続いてくれました。

でも、あの時のトッポジージョは今、どこにあるのでしょうか。

                                                                       つづく

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