匿名活動者の先駆け?ーARuFaから考えるコンテンツ配信
増える匿名活動者
近年、急速に増加したインターネットユーザーとSNSの普及により、それらを前提として、配信や音楽、文章執筆やイラストなどの活動を行う人が非常に増えました。
更に、ここ2020年前後ではyamaやヨルシカといった、実名や顔を一切隠した匿名活動者・アーティストが急増。年代や性別を問わず莫大な人気を獲得しています。
そんな「匿名活動者」ですが、その先駆けとなった活動者はどのような人物がいたのでしょうか?
今回は、現在も活動を続けているWebライター・ARuFa氏から、インターネットにおけるコンテンツ配信において、彼が愛され続ける理由について考えてみます。
ARuFaって誰?
ARuFaとは、2000年2月から個人ブログ「ARuFaの日記」でブログを運営している人物。
個人ブログ・日記といってもその内容はかなりぶっ飛んだ内容で、インターネット上で一部に熱狂的なファンを生みだしました。
例えば、最初のブログ記事では気温3度の真冬の外で水温4度の家庭用プールに浸かる様子を「温泉」と称して撮影した記事を掲載しています。
妹さんにキャベツを投げられたり、家を出た瞬間に上からトマトを投げつけられたりして過ごしている様子が日々ブログとしてアップされていました。(最終更新日は2018年9月2日)
出典:ARuFaの日記
活動初期から現在まで、顔に黒の目線を必ず入れているARuFa氏。内容により元から目隠しをつけていることもありますが、基本スタイルは黒の目線。
今よりもずっとインターネットの匿名性や個人情報保護に対する警戒が強かった時期から、目以外の容姿をそのままにしていたのは当時にしてはかなりインパクトがあったのではないでしょうか。
逆に、目以外の容姿を出していたからこそ、見ている側はその情報を「多い」と認識し、「更なる情報の特定」という発想に至らなかったのかもしれません。
目線以外を隠さない写真や、「なんでそんなことを?」と思わせるぶっ飛んだ内容のブログの執筆をしていたのが、ARuFa氏です。
現在の活動
出典:株式会社バーグハンバーグバーグ
現在は株式会社バーグハンバーグバーグにてライターとしてお仕事をしているARuFa氏。
個人ブログでも中々パワーのある内容をアップしていましたが、現在も会社の企画として、更にお金や手間をかけておかしなことをしたり、個人ではTwitterをメインに変わらぬスタンスの動画をアップしたりしています。
また、会社としてもオリジナル祝日(祝日法で定められていない独自の祝日)で会社が休みになる日があるなど、ARuFa氏を雇用したことにも納得の面白さを備えています。
教師志望がWebコンテンツ会社へ
個人ブログを運営していたARuFa氏は、元々は教師志望の学生でした。しかし実習中に関わりを持った小学生に「ARuFa?」と勘付かれたことで進路を変更します。
その後、発想力やWebコンテンツ投稿の能力を買われバーグハンバーグバーグへ入社。
人生は何があるかわかりませんね。
目線のみで、その他の容姿などの情報を公にしていたことで、進路を大きく変えることになるとは、個人ブログを始めた当初のARuFa氏は想像もしていなかったでしょう。
ARuFaから考えるコンテンツ配信
ARuFa氏について簡単に紹介してきましたが、かなり面白い人だということはなんとなくお伝えできていると思います。
ここからは、インターネットでのコンテンツ配信について、ARuFa氏がどのように「すごい」のか、具体的に掘り下げていきましょう。
時代を大きく先取りしていた
コンテンツ配信について、2000年からブログ運営という形で時代を大きく先取りしていたARuFa氏。
2000年というと、Googleが日本版検索サービスを開始・Amazonが日本でサービスを開始など、今では当たり前に利用されているサービスが日本でサービスを開始した時期。
国内のインターネット普及率は37.1%でした。
インターネット普及率といってもピンと来ないかと思いますが、2016年時点で83.5%というとイメージできてくるのではないでしょうか?(参考:参考:デジタルアーツ株式会社・日本におけるインターネットの歴史)
国内のインターネット普及率がまだまだ低かった頃、インターネットは主にIT業界、行政で利用されるものでした。
現在のように、インターネットが娯楽の場でも利用されることが主流となる前から、インターネット上で娯楽コンテンツを発信しだしていたARuFa氏には、明らかに先見の明があったと考えられますね。
また、個人情報保護法など、インターネット普及に合わせた個人情報の保護に行政が乗り出したのは2003年です。
個人情報の扱いについても完全に個人の責任となる中、目線1本で写真付きコンテンツの配信に乗り出したARuFa氏の行動力には驚きですね。
長く愛される理由とは?
2000年から今日まで、インターネット上で様々なコンテンツ配信に関わっているARuFa氏。
そのスタンスは変わらず、「くだらない楽しさ」を発信し続けています。
10年以上の間、個人ブログからTwitter・会社ブログ・YouTubeと媒体を変えつつも愛される理由は何なのでしょうか?
2つのポイントから考えます。
1.人に迷惑をかけていない
まずはこれ。人に迷惑をかけていないことです。
何かと炎上しがちな最近のYouTuberなどは、その炎上の種もそうですが、炎上という事象が周囲に迷惑をかけてしまうことが多々あります。
それにより界隈から干されたり、ファンが離れたり。
しかし、ARuFa氏の活動は最近のYouTuberのような大掛かりな企画などというよりは、家の中での工作や、近所で遊ぶ・ふざけるという範疇を出ないうえ、全て自身で片付けをするので人に迷惑をかけません。
閲覧者としてはストレスなく、安心してコンテンツを受け入れられます。
2.変わらない手作り感
次に個人コンテンツの「手作り感」です。無駄に高画質でもなく、特別な機器を使用することもなく。
思いついたアホなことを、近所で買えるものや家にあったものでやってみる、というスタンスから、できあがるコンテンツには手作り感が溢れます。
身近な素材からできあがる想像を超える「ヤバさ」が、先述の安心感と相まって「読ませるもの」「見せるもの」として成立していると考えられます。
ヤバいだけでは見るのが怖い。安心感だけではつまらない。
そのバランスが絶妙にとれているのが、ARuFa氏の発信するコンテンツが長年飽きられることなく愛され続ける理由なのではないでしょうか。
出典:ARuFaの日記「弟が寝てたから・・・」
匿名活動者としてのARuFa
現在、インターネットの活動者は何か負の面での話題性を孕むと、住所や本名などの個人情報が過剰に狙われがちな立場にあります。それが匿名活動者であれば、尚更その仮面を剥ごうとする人々が湧いて出ます。
コンテンツに作者のイメージという先入観を持たせずに発信できるのも匿名活動の魅力のひとつですが、個人情報を守り切れるとは限りません。
日本のインターネット黎明期と共に、コンテンツを発信し続け、今まで平和な活動を続けているARuFa。
「内容」と「安心」のバランスというポイントを抑え、長く愛される活動者が増えることを願うばかりです。
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