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善悪と集団心理-2ちゃんねるの祭りから考える

良いこと・悪いこと


良いこと悪いことを自分で考える・判断する。当たり前のことですが、その価値観はひとそれぞれです。
誰かのためにと思ってしたことが、相手にとって要らないことだったり、迷惑だったりという、ありがた迷惑なんて言葉もあります。
それに、偽善という言葉もありますよね。純粋な善ではないという厳しい言葉です。
悪でいえば、必要悪だとか、最終的な善のために必要なことなんだという主張で悪事を働くということもあります。
目には目を歯には歯を。悪事に悪事でし返すというのも、最初に手を出した方と、し返しをする方とでは同じ事をしていたとしてもその見られ方は違ってきますよね。

今回はそんな良いこと・悪いことの中でも、匿名掲示板「2ちゃんねる」を題材に、善と悪、集団心理について考えてみます。

匿名掲示板・2ちゃんねる

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2ちゃんねる」(現・5ちゃんねる)は、1999年にひろゆき氏(現切り抜きyoutuber)によって立ち上げられた国内最大規模のWeb掲示板です。
「ハッキング」から「今晩のおかず」まで」というキャッチフレーズのもと、様々なスレッドが立ち、その中で閲覧者は匿名で書き込みができるというサイトで、2009年には1170万人の利用人口を記録しています。(wikipediaより
個人的な愚痴聞いてください、というようなスレッドから、洒落にならないくらい怖い話集めようぜ、といったスレ、またスッキリ復讐話など、様々な話題に多くの人々が書き込みをしていました。

匿名掲示板とはいえ、書き込み元の開示請求などは正規に求めれば行えますし、なぜか個人の特定に長けたユーザーも多くいたため、あまり調子に乗りすぎないという前提で楽しく使われていました。

「祭り」とは?


2ちゃんねるには様々なスレッドが立っていたといいましたが、今回取り上げるのは「祭り」です。
これだけだと、地元のお祭りの話だとか、有名なお祭りの話をするスレッドみたいですが、2ちゃんねるの祭りとは「2ちゃんねるユーザーで大掛かりなことをしようぜ」というようなものを指します。
同じ日に全国でもやしを買い占めていくもやし買い占め祭りとか、著名人投票で田代まさし氏を1位にして雑誌の表紙にしようとする田代祭りとかがありました。
そんなおふざけのテンションの祭りですが、中にはかなり面白い結果になったものも。

「あの~2chでアフガンに学校建てたいんですけど」
見出しの1文で始まったスレッド。意味はそのままです。
2ちゃんねるのユーザーでアフガニスタンに学校を建ててやろうという粋なものでした。
内容としては、2ちゃんねるユーザーで多額の募金→支援団体に寄付→アフガニスタンに2ちゃんねるから学校建立というもの。
もちろん、最初の1文からわかるように、何か大掛かりにプロジェクトを立ち上げるとかそういうニュアンスのスレッドではなく、「できたら面白そうじゃね?」という感じのスレッドだったのですが、その後2004年には2ちゃんねるユーザーからの寄付金により、アフガニスタンにフェールズバハール小学校の校舎が完成、無事に目標を達成しました。

しかもそのフェールズバハール小学校には寄付金に感謝の意味を込めて2ちゃんねるのキャラクター・モナ―の銅像とURLが彫られたプレートが設置されています。

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名前も顔も知らない2ちゃんねるのユーザーが集まり、一人の発言から多額の募金を達成し、後進国とされるアフガニスタンに住む多くの子どもたちの夢を叶えました。

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「しない善よりする偽善」


アフガニスタンに学校を建てるための寄付金を募ったスレですが、中には「偽善だ」との声もあがりました。
そこで「しない善よりする偽善」という言葉を返したことで祭りは進行していきます。

さて、ここで一旦考えてみてほしいのですが、こういった行動に対して「所詮偽善だ」と思いますか?
それとも、「しない善よりする偽善」と、乗っかってみますか?

アフガニスタンの子どもを心から想い、そのために募金を集う……というのが純粋な善であり、2ちゃんねるのノリ文化・チャレンジ精神と面白さをきっかけに募金をするのは偽善、というのがざっくりとした分析ですが、どうなんでしょう。

前者は確かに純粋な善ですが、行動が起こりにくい。
後者は純粋な善ではないかもしれないですが、行動が起こりやすい。

偽善であれ、人の役に立つ結果が残るならそれは善じゃないのか?という話ですよね。
しかし行動に気持ちが伴っていなかったらそれは善と言えるのか?とも思うかも。
難しいことですが、あなたはどう思いますか?

インターネットにおける集団心理


行動が起こりやすい起こりにくいという話について、集団心理に触れておきましょう。
インターネットにおいては2ちゃんねるのような匿名掲示板を始め、現在主流のSNSでも、あるいはリアルでも集団心理というのはどこにでも潜んでいる心理のひとつです。
例に触れながら知っておきましょう。

集団心理とは


集団心理というのは「集団のすべての構成員によって形成・維持される思考・感情・意志などの総称。集団の中で個人が多数派に同調し、合理的な思考力や判断力が抑制されると、集団全体として極端な行動を引き起こすことがある。」だそうです。(コトバンクより

赤信号みんなで渡ればこわくない」で考えるとわかりやすいかもしれません。

赤信号を渡るのは悪いことだと思いつつ、他の多数がそれをやっていたら「皆やってるし」と赤信号を渡ってしまう。
個ではなく、個の属する集団の思考等が、個の行動の要因となることがあるんですね。

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インターネットでは


この集団心理、人口が急増するSNSではより身近なものになりました。
こんなにたくさんの人が「いいね」と言っている」から、興味を持つ、行動を起こすというもの……例えば、タイムラインでライブの申し込みで盛り上がっているから、お金がないのに申し込みまくってしまうとかですかね。
それなら当選しても自分が大変になるだけなので良いといえば良いのですが、集団心理が悪い方に働くこともあります。
察しがつく人もいるでしょう。誹謗中傷です。
コメント欄でたくさんの人が誹謗中傷をしているから、自分一人が便乗してもさほど変わらないだろう。皆が言っているんだから叩いてもいいだろう。
そういった集団心理は最悪です。
最近では、誹謗中傷による著名人の自殺も増えましたよね。

2ちゃんねるでの「祭り」のように、大規模ないたずら(もやし買い占め)や、偽善と言われようとも人の役に立ったアフガニスタンへの募金のようなものであれば、結果として人の命を奪う事はありませんが、近年では集団心理からなる匿名の誹謗中傷が増えているのが問題視されています。
インターネット上での集団心理、自分が引っ張られないように気をつけたいですね。

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まとめ


さて、「善悪」と「集団心理」について触れてきましたが、それらを踏まえて今一度。

その行動を自分が思うか

という問いについてですが、正直こればかりはそれぞれの価値観でいい物です。
ただ、集団の意思と自分の意思を取り違えず、「偽善はやらない」「偽善でもやる」「これは悪い事」といった、「自分の意思」をきちんと持ち、言動に責任の意識をもってインターネット・SNSを活用していきたいものですね。

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