IT業界の嫌われ者のSESはどんな働き方をするのか

※2023年11月17日加筆修正

ITエンジニアを目指す人なら、誰もが聞いたことがあるSES。
IT業界ではかなり嫌われていますが、実際のところどんな働き方をするのでしょうか。
今回は営業職からITエンジニアに転職して、5年のキャリアを積んだ僕がSESがどんな働き方をするのか解説していきます。
実際にSESで働いたことがあるので、平均値に近い解説ができますよ。

そもそもSESとは?

SESとは、システムエンジニアリングサービスのことです。
SESは、エンジニアのスキルと時間を労働力として開発会社に提供し、報酬を対価としていただくビジネスのことです。
労働力を提供する際には、準委任契約という形態で契約を結びます。
いわゆる客先常駐という働き方をします。
SESで働く人々は、開発会社の外注先(下請け)と思ってもらって構いません。
なぜならIT業界は、開発会社で開発しているシステムやサービスの人手不足を、エンジニアを調達することで解消する、といった需要があるからです。
この時に結ばれる契約がSESということです。
ちなみに開発会社からは、SESで常駐している人たちのことを「協力会社」と言われることが多いです。

SESの単価はいくら?

開発会社(常駐先)への請求単価は、1ヶ月いくら、というようになっています。
請求単価とは、エンジニアを1ヶ月貸す場合いくらになるか表すものです。
肌感では50万〜80万くらいが相場です。
相場はどこに在住しているかで変わります。
地方は安いし、都心部(特に東京)は高いです。
またエンジニアのスキルによっても大きく変わります。
駆け出しエンジニアの場合、感覚値ですが、
1年目は、〜50万
2年目は、50万〜55万
3年目は、55万〜60万
といった感じに遷移すると思います。(もうちょっと低いかも)
当然これより下もありますし、これより上もあります。
単価が100万を超える場合、かなり優秀なエンジニアと言えるでしょう。

SESで常駐する会社とは?

常駐する会社のほとんどは、自社開発会社、受託開発会社です。
開発をしている会社であれば、どこの会社にでも行けます。
しかし、
・SESは受け入れず、自社の社員だけでプロダクトを作る
・SESは業務委託(フリーランス)のみ受け入れる
などの経営方針から、SESをメインビジネスとする企業の協力を受け入れていない会社も一定数あります。

SESで常駐することになる会社のほとんどは、いわゆるSIerです。
SIerは、システムインテグレーターの略で、大きなシステムを請け負っている大企業だと思ってください。
SIerが開発するシステムは大規模のため、たくさんの人員が必要です。
そして予算も潤沢にあります。
SIerは大規模システムを作るための人員が必要で、かつ予算も潤沢にあるため、大量の募集をかけます。
そのため、SESの常駐先の多くはSIerとなるのです。

SESはやめとけと言われる原因はSIerにある?

SESと切っても切れない関係のSIerのお話に入っていきましょう。
SIerは、開発工程を上流と下流に分けます。
上流を要件定義、下流を製造(プログラミング)というように分け、下流工程を外注するのが主な働き方です。
SIerはプログラミングが身に付かない、というのは上流工程の仕事がメインだからです。
また下流工程は、下請けが下請けを呼ぶような流れになっていて、多重下請け構造になっています。
当然、下請けにいけばいくほど、マージンが抜かれているので請求単価は下がっていきます。

駆け出しのエンジニアはとりあえず下請けの下請けの下請け、つまり三次請け、四次請け、五次請けあたりの要員としてアサインされます。
そもそも一次請け(直請け・プライム案件なんて言い方をします)が上場企業だったりするので、中小企業は二次請け以下が多いんですよね。
起業したばかりのSESなんて直請けの案件なんてムリムリのムリです。
だから、よくわからない家電量販店のサポートなんかに行かされるんですよね。

そして下流工程は誰でもできるくらいに分業された仕事しかありません。
Excel職人という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
テストを手動で行いスクリーンキャプチャをペタペタExcelに貼り付ける仕事です。
エンジニアになるつもりが、プログラミングのプの字も業務には出てきません。
少し慣れてくると仕様書ばかり書く仕事が与えられたりします。
仕様書もExcelでひたすら作るのです。
とにかく業務はExcelを触ることです。
Web系のエンジニアになりたいのであれば、SIerに常駐するのは避けた方がいいでしょう。
常駐先はコントロールできないので、SESには入社しない方が賢明と言われるのは、こういった理由からです。

まとめ

一方でSESは悪じゃない!という勢力もいます。
そういった人たちはおそらく、自社開発会社や受託開発会社にアサインして成長してきた人たちでしょう。
自社開発会社に行けば、自社開発会社に入社したかのようなスキルセットが身につきます。
いわゆる、良質な開発経験を積むことができます。
良質な開発経験を積むことができたSESを悪くいうはずがありません。
むしろ感謝しているでしょう。

このようにSESの仕事内容は常駐先に大きく依存します。
どこに配属されるかはガチャです。
当たりが多く入った(良質な開発経験を積める常駐先)ガチャを回せるSES会社に入れるのであれば、それはそれでアリだと思います。
しかし、見極めるのは至極困難です。
ポートフォリオを持って自社開発会社 or 受託開発会社に入って自身のキャリアをコントロールするのが一番望ましいです。
時間はかかるしハードルは上がりますが。

個人的に下請けSIerには二度といきたくないですが、SESはアリだと思っています。

SESでハズレ案件から抜け出せない人に向けて書いてみました↓

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