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陸の王者に個性を求めるのは間違っているだろうか ~File.005 早水優介さん~

おはようございます。

夏までもう少しですね。

じめじめしててやる気がなかなか起きないのに、就活とかの展開は異様に早くて、時代に取り残されたような気がして、疲れます()


さて、本日ご紹介するのは、
実写版・天気の子
早水優介さん(法法3年)です。

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現役気象予報士として、毎日真夜中にツイッターで、次の日の三田付近の気象予報を『 #はや天のタグと共に投稿しております。

Twitter:@883_weather

Instagram:yusuke883zu


なお、早水さんとの取材は4月5日にZoomを用いて行いました。
ソーシャルディスタンスはちゃんと守りました。

そして本日のお品書きがこちら!

①これまで
生まれたときから「天気の子」!?
『#はや天』のきっかけは、仕事がないから!?
②いま
どうやって天気予報して毎日投稿しているの!?
③これから
『法律×天気』という新しいジャンル

あわせて読みたい!!
慶應塾生新聞「《走り続ける塾生》高校生で気象予報士に! 法学部法律学科2年 早水優介さん」


ではいざ本編へ!!
スタート!!


1-1. これまで(前編)


先天的に天気が好きだったという早水さん。
幼いころから天気が大好きだったことを示すエピソードとして、

・幼稚園の頃、外が大嵐になっていた日に、その外の荒天に心を奪われたかのようにして、ずっとその様子を眺めていた。
・天気予報の時間になると必ずテレビの前に待機していた。
・小学生になってからは、自由帳に脳みそとか省庁みたいにうねうねした迷路などを描くような感覚で、自作の(実在しない)天気図を描いていた。
・慶應義塾普通部を受験したのち、合格発表がある日の夜に合格発表を待ちながら天気図を描いていた。

という、まさに

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こんな感じw

天気図を描きながら待機した結果、晴れて合格し、そのまま慶應義塾普通部に進学します。
ただ、普通部に入学して以降、よほどのことがない限り受験というものはもう二度と経験しないものとなり、時間的余裕が有り余るどころか、半端なくなります。

小学校高学年の段階で気象予報士資格のことについてはある程度は知っていて、実際に資格を取ってみたいという思いもあった早水さんは、
この機会にということで、

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こんな感じの参考書三冊と共に、気象予報士資格への道の第一歩を踏み出すこととなったのです。

ではここで、少しばかり気象予報士資格及び試験について解説いたしましょう。

気象予報士試験というのは以下の3つの科目から成り、これら3科目の合格が気象予報士資格取得の条件となります。
*一般科目
→マークシート、一回合格した場合1年間有効(合格後1年間は免除される)
*専門科目
→マークシート、一回合格した場合1年間有効(合格後1年間は免除される)
*実技科目
→作図と記述問題が主。これが難解で足切りがめちゃきついらしい
ちなみに皆さん木原さんとか蓬莱さんとかみたいに試験監督の前に立って一人一人実演するやつだと思ってたでしょ。私も。

フリーメイソンなどと異なり、試験自体は人生で何回でも受験可能となっています。

普通部が世界に誇る一大イベント『労作展』でも、早水さんは天気に関する研究を発表しましたが、その研究の際にも、上記の本だけでなく研究に必要な資料や天気の本などを集めて読んでいました。

労作展・・・自由研究の上位互換。自分でテーマを決めて研究してそれを文化祭のように大々的に掲示・発表するフェス

中学1年生の冬に一回目の受験をしますが、全科目不合格となってしまい、
部活動等で多忙になっていたこともあって、しばらく気象予報士資格への道からは距離を置くことになります。

その後中学3年生になって気象予報士資格への想いが再燃し、「ちゃんと受けて受かりたい」という気持ちが高まります。

その後、中3冬・高1夏・高1冬と3連続で受験しました。
そして中3の冬に一般試験を合格
高1の夏で専門試験を合格しました。

そして、中3冬で取得した一般試験免除資格の有効期限が迫る高1冬での実技科目試験で無事合格し、晴れて気象予報士となったのです。

ここまで見た皆さんの中には、
「え?この人実質本3冊で独学で合格したんでしょ?俺も行けるかもwww」
なんて思う方もいらっしゃるかもしれないので一応言っておくと、

気象予報士資格の合格率は4~5%で、毎年3000人ほど受験しうち約120人のみが合格しています。
それと早水さんの場合は、幼いころからの関心神が天気の要素をダバァしたことあってのものなので、まあ文面で見るよりもはるかに難しいものだと思います。


1-2. これまで(後編)


資格を取ったのはいいものの、当時まだ高校一年生で仕事として活用できるわけでもなく
早水さんも当時は気象予報士資格を取ることをゴールとしており、その先についてはあまり考えてはいなかったようです。

そこで、せっかく取得しても活かしきれないまま内容を忘れてしまいそう・・・
ということで塾高が誇る地学教師の杵島さんなどに相談をしたみたいです。

しかし、、、

・昔は夏休みはウェザーマップなどで資格を持つ人がバイトをするということはあったが、最近はバイトの募集自体がなくなってきている。
・早水さん自身高校時代は部活などで忙しかった。

などの理由であまり活かす機会はないまま高校卒業を迎えてしまいます。

そして、早水さんはふと思いました。
「大学生って天気を見ようとするなら当てにならないスマホの天気かテレビの天気を見るしかない。」
「そもそも毎日意識的に天気を見ているとするなら、『急な夕立に遭遇したけど傘忘れてしまったからビニール傘をコンビニで買おう』という風な状況にはならない。」

と。

大学生になったタイミングで、大学用にツイッターのアカウントを作成する、という経験がある方は少なくないかと思いますが、

早水さんはこのタイミングで、
「じゃあ新しく作り直したツイッターで天気予報を毎日流すようにしたら、結構役に立つのではないか??」
という風に考えました。

また、現状のテレビやラジオなどのオールドメディアの天気予報は、現状さまざまな欠点があります。

①(テレビをつけるなど)主体的・能動的に見る必要がある。
② 一人暮らし世帯だとテレビを持っていない世帯・新聞を契約していない世帯もある。
③ 各種自治体やその日行く場所に合わせて細かくピンポイントに予報してくれるメディアは多くない。
④ 最高気温や最低気温・降水確率・湿度まではわかったとして、それに合わせてどういった服装(冬服 or 夏服、重ね着など)を心掛けるべきか、またどれくらい空気が乾燥しているか、もしくはジメジメしているかまではわかりにくい。

③について、
例えば、私現在川崎市に在住しておりますが、
川崎市の天気予報を報じてくれるオールドメディアはあるでしょうか?

私が知る限り、NHKの首都圏ニュース845程度で、
全国ネットのニュースではもちろん、大半の関東ネットのニュース番組、主要新聞会社などで川崎市の天気予報を知る場合、
『東京』か『横浜』から類推する必要があります。

また、(ここ最近はコロナで休園となっていますが。。。)
「明日彼ぴっぴと東京ディズニーランドでデートをする!」というときに、
『東京』の天気はわかるにしても、『東京ディズニーランド上空』の天気はわかりませんよね。

こういった部分を踏まえて、
「普段天気予報を見ない人でも自分の天気予報だけは見てほしい」
「天気予報をよく知らない人でも表面的に『明日がどういう天気になるのか』を理解してほしい」
「見ている人にとって困らない、一番いい形で提供したい」
という目的のもとで、2018年4月17日に『#はや天』としての活動が始まりました。


2. いま


毎回どのようにして予報しているのかをざっくりまとめると、

① GPVの気象モデルや気象庁の天気図を参考に風向き・気圧の位置などから天気を決める。

天気図

天気図

出典:気象庁


降雨量・雲量

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出典:GPV


気圧・風速

気圧

出典:GPV


天気分布予報

スクリーンショット (139)

1地点をクリックすると・・・

スクリーンショット (140)

となります。

出典:気象庁

② 気温は気象庁やウェザーニュースが出している情報から推測して予報する。
取材当時は日吉の天気を配信していましたが、その際慶應義塾高校の屋上にあるアメダスは降水量のみを測定していたために、
気温に関しては横浜市のほかのアメダスからデータを借りていました。

現在は三田の天気の配信となっていますが、これに関しては東京のアメダスを参考にしていくようです。

③ 気象庁などから天気図をDL

④ DLした画像をこのようにして、どういう天気・気候になるのか一目でわかるような形に編集

スクリーンショット (143)

スクリーンショット (142)

スクリーンショット (141)

上記の目的のもとスタートしているため、こういった画像編集からもわかるように、わかりやすさを追求しています。

というのがここまでの話で、
最近『#はや天』の投稿を少し変更して、
インスタグラムのストーリーでも投稿がみられるようになっています。

スクリーンショット (147)

https://twitter.com/883_weather/status/1273635031974424577?s=20


画像15

字がきれいでござる

風向きの角度などによって、気象庁やウェザーニュースの結果が大きく矛盾したり乖離しているなど、
わかりにくい天気である場合は、そこそこ時間はかかってしまいますが、
それ以外の場合では30分もかからないくらいだそうです。

そんな『#はや天』ですが、始めたてのときに1回だけ切れてしまったものの、
それ以外は(日付をまたいでしまうときはあるものの)毎日、2020年4月までは日吉の天気を、2020年4月以降は三田の天気を予報しております

一方、気象予報士資格を取得した話や『#はや天』の活動の話を特集として取材され、取り上げられる(まさにこれのこと)といったことはありますが、
気象予報士資格を活かした他の仕事としては、昨年秋の台風15号と19号及びそれに関連した都市型洪水による冠水の問題と、その問題に対しての地下神殿や八ッ場ダム前倒し稼働などの対策について、こちらもまた慶應塾生新聞さんに、専門家としてインタビューを受けたというくらいです。

気象予報士は「引く手あまた」という仕事ではないので、依頼はあまり来ない上に、むしろ自分から動いていく必要はあるので、資格を存分の活かした仕事というのはあまりないのが現状です。

気象予報士のメリットとして早水さんが挙げていたのは
「自己紹介の掴みが著しく良い」
ことでしたww

もし気象予報のスキルが必要になった際は、ぜひ早水さんにご連絡くださいw


3. これから


早水さんは法学部法律学科のため、現在弁護士を目指して司法試験予備試験の勉強を行っているところです。

弁護士数は現在増加傾向にあり、「増えすぎている」とまで言われている時代です。

スクリーンショット (145)

出典:日本弁護士連合会「弁護士白書2019年版抜粋 第1章 弁護士人口」

その中で、個性を持たないと生き残ることができないシビアな時代にもなっております。
2019年は、正式な形で弁護士資格を持つ日弁連の正会員総数が1052人増加しています。
このうちの大半が大学などで弁護士資格を得た方なのではないかと思いますが、こういった方々全員が🔰弁護士🔰として事務所に受け入れられているわけでもなく・・・

このため、自分の持つ気象分野のスキルと法律分野のスキルの掛け合わせも、ビジョンこそ明確ではないものの視野にはいれているそうです。

ただ、天気予報を外したところで、あくまで「予報」を外しても訴えられることはないですし、
気象業務法という法律(ex. アメダス壊すと罰金)はありますが、大々的に訴訟として行うケースは少ないです。

このため、現状では気象予報士資格を持っていたとしても弁護士として生き残るのは難しいと早水さんは分析しています。

しかし、今後天気予報の正確性が高まり、「あたって当たり前」の世界になれば、天気予報を外したことで訴えられるというケースも生じてくるかもしれないですし、

自然災害が生じたときの行政に対しての補償を求める訴訟などで、
「避難指示や避難勧告のタイミングは適切だったのか」
「防災施設やダムは自然災害から守るための基準が満たされていたのか」
「自然災害による被害の想定を見誤ってしまっていないか」
などが大きなポイントとなってきますが、
こういった場合にも気象の知識が活かされるでしょう。

また、主に海や海運を扱うような法務事務所もあるそうです。
海運は非常に天気に左右されやすく、そこから需要を開拓できるのではないかと考えています。

とにもかくにも、自分の現在持つ天気や自然災害の知識と、現在勉強中の法律の知識について今後うまく組み合わせることを模索しているようです。

「10年後なにをしているのか?」という質問についても、

弁護士事務所に就職して雑務などを行いつつ、弁護士の仕事を実際に経験して様々なことを知っていく中で、その傍ら天気との関わりを模索し始める途中にあたる

と考えているそうです。

弁護士は、知識だけでなく経験も大きなウェイトを占める職業ではあるので、独立までの下積みが非常に長く、アラフォーで独立できるのは優秀な方だそうです。
リーガル・ハイの黛真知子ポジションにすら立っているかはわからないとおっしゃっていました。

『#はや天』に関しては、
いいねが0にならなかったら10年後でも続けている

という風に話していました。
このスタンスに関しては、今に限らず現段階でも早水さんの中で掲げているそうです。
毎日三田の天気予報が見たいのであれば、皆さん早水さんのツイッターをフォローして、いいねをしてあげてください(小声)

まとめ


ということで本日もここまでの閲覧ありがとうございました。

いつものアフタートークでございます。

この取材当時はまだ4月頭だったので、『#はや天』で日吉の天気を毎日取り上げていましたが、この取材から少したってから、三田の天気に切り替えました。

https://twitter.com/883_weather/status/1246806474015125504?s=20

まあ、早く記事書けって話ですよね。本当に申し訳ない。

取材の際に早水さんが「キャンパス閉鎖されちゃったら(三田の天気の掲載の意味もないので)僕もうなにも言うことないですからね。」とは言っていましたが、
まさか本当に春学期キャンパス封鎖になるとは思わなかったですwww

でも一言が毎日「家にいろ、外出は自粛しろ」のオンパレードになってないのを見て私は一安心しました。

早水さんは、数学が苦手で、その一方で理屈こね回す系が好きなので法学部法律学科にしたという話を伺いました。

実際にご説明も非常にお上手でわかりやすく、
さらに私も経済学部ではあるものの理屈をこねまわすのは好きですのでそういった感覚も共感できましたし、
なんなら好きになったきっかけも、お互い塾高時代の某ジブリ作品を授業の教材として扱う系現代文教師の影響でもあったので、
このため、これまで取材してきた人たちの中で一番話の波長が合うなと思いました。

また、早水さんが楽友会に所属されているからかはわかりませんが、声がめちゃくちゃイケボ。
Zoomを用いての取材だったんですけど、Zoomなどの電話を通しての声ってなんか少しこもって聞こえたり、活舌が悪く聞こえたりすると思うんですけど、
早水さんの声はZoomを通してもものすごくハキハキ聞こえるんですよね。

ものすごく話も盛り上がりましたし、非常に楽しい取材でした。
毎度取材の際に録音をし、それを改めて聞き返しながら記事を書いているのですが、
聞き返してもちょいちょいクスッとなるようなところがあり、
ああなんかこんな話したなあと懐かしんでいる部分もありました()

早水さん、お忙しい中取材に応じていただきありがとうございました。
皆さんもここまで読んでいただいてありがとうございます。
最後に、早水さんのツイッターだけフォローを、、、w

お願いしますね。

それでは、次回もどうぞよしなに🌙


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