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知的・発達障害の子どものプログラミング教育【日常生活編】

みなさん、こんにちは。

特別支援学校の先生のしんちゃんです。

数年前、文部科学省は小学校の学習指導要領において、「児童がプログラミングを体験しながらコンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」と明記されました。

本格的な小学校でのプログラミング教育の始まりです。

では、知的障害などの子どもが通う特別支援学校ではどうでしょうか?

特別支援学校では、学校の児童・生徒の実態に合わせて柔軟に、段階的に進めてもよいと明記されています。

こういった背景もあり、知的障害のある子どもの論理的思考力の必要性を考えるようになりました。

プログラミングは「順番に行うこと」、「繰り返すこと」、「判断すること」という考え方が基本となりますが、私たちは普段意識せずにこれらの考えをもとに行動しています。

とはいえ、知的障害があろうとも、この「仕組み」を整理して理解することは、障害のある子どもたちの社会参加や生活の質を高めるためにも有効であることは間違いないでしょう。

プログラミング教育と聞くと、PCや機器を使った教育を思い浮かべやすいですが、機器を使わなくても、日常生活動作の中にプログラミングは多く含まれています。

今回は、PCや機器を使わないプログラミング教育(論理的思考力)を高めるための実践を1つ紹介します。

イラストカードで手順と見通しがもてるように


知的・発達障害のある子どもが過ごしやすく、生き生きと生活を送るためには、日常生活における出来事や行動の見通しがもてるようにすることが重要です。

例えば、子どもが学校に登校してから行う
①荷物の整理
②着替え
③排せつ
④検温
⑤朝の学習
これらの活動は一連の流れを覚える必要があり、覚えるまでの視覚的な支援が必要になってきます。

これら流れを覚えるための支援としてイラストカードが有効です。

教室の児童机の前に、このような手順を示したイラストカードを貼っていきます。
初めの手洗いが終わったらカードを取り、次の荷物の整理を行うといった流れになります。

このイラストカードを使って子どもの様子を観察すると…

①何をすればよいかがイラストを見て分かり、次の行動に移しやすい。
②スタートとゴールが分かり、安心して行動できる。
③一枚ずつカードがなくなり、全部なくなった時に笑顔になって嬉しそうな児童がいた。

視覚的にスタートとゴールを明確にすることが重要であることがわかりました。繰り返し取り組むことで、イラストカードが有効になってきます。

ただし…
◎活動が終わったらカードを取るルールを徹底すること。
◎一連の流れを覚えてきたら、イラストカードなしで活動できるか挑戦してみる。

障害があろうとも、必要以上の支援をすることはあまりよくありません。
流れを覚えたら、イラストカードなしでも様子を見てみましょう。

このように、毎日の繰り返しで手順を覚えることができるように視覚的な支援が必要です。

スモールステップで、知的・発達障害の子どもの論理的思考、見通しがもてるように支えていきましょう。

今回は以上になります。
次回は、PCや機器を使ったプログラミング実践を紹介していきます。


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