特抜雑記#5 ボカロ曲の作詞は特殊であるということ

VOCALOIDで音楽をつくっています。万唐です。
 今回の内容は、少々持論色が強いので参考程度にお読みください ⁠\⁠(⁠・⁠◡⁠・⁠)⁠/

ボカロ曲は自由度が高い

精神的な部分では無く、技術的な部分でVOCALOIDは自由です。
 具体的には『人間には発音しづらい単語、文章』であっても問題無いということです。

し→ち い→ひ など

曲先の場合は文字数を考慮する、というのもありますが、拍子をoffにしてしまえば、VOCALOIDは限りなく早口に喋らすことが可能ですし、オクターブ間の移動も容易く行えます。   

 好き勝手音符を置いてみて、酔いに任せて言葉を書き殴っても、VOCALOIDにとってはなんの支障にもなりません。頼もしいですね。
 問題になるとすれば、聞き手にとって心地よく無い進行になるということですが、あまり僕は気にしませんね。
 それよりも、欲しいニュアンスを含むかどうかを重要視しています。
 
 

言葉遣いと単語ベクトル

 所謂、歌詞向きの言葉というのがあります。
 単に記号として存在するために余計な意味が付随しないため扱いやすい、というものです。

例として一人称なら『僕』『私』
     二人称なら『君』『あなた』

汎用性が高く使いやすいですね。
これが『俺』『アタシ』『我』『お前』『アンタ』『特定の続柄を表す言葉』となると、別のニュアンスが伴ってきます。強気そう、不機嫌そう、となったり、主人公のキャラ付けが強固になります。
演歌や歌謡曲に多いですね。
僕は伝統的な要素に前衛的なアプローチを施すことに興味がありますから、あえて選んだりもします。

 単語ベクトルとは、ある言葉に含まれる要素を数値として表したもの。
 形容詞でも、『楽しい』と『享楽的』では違います。『悔しい』と『悔恨』でも違います。『花』と『花弁』も表情が違います。後者は前者に含まれますがプラスα、何かを抱えていて、より状態が鮮明になります。

これは言い回しにも生まれます。

❝腹が立ったが、どうでも良くなった。❞

『ムカついたけど、いつものことだしまぁいいや』
 『頭に来たけど、笑顔を見たら忘れてた』
 『ひとしきりの殺意、理性がしまわせる』
 『憤慨の先には冷えた世界』

思いつく限りではこんな感じ。作りたい雰囲気に合わせて、適宜選択するのが良いでしょう。

VOCALOIDは、調整によって幾通りもの声にすることが可能なので、歌う人のイメージに配慮しなくて良いです。
本当に何にでもなれる。

主人公の性格を決めてしまうのも良いでしょう。
一番重大な問題が生まれないように。

最大の敵は飽き

ハッキリ言って、作っていると飽きます笑 
 とにかく数を作っていた時代は、数日で一曲を作っていたのですが(マジでどうやってたのか思い出せん)、今は何週間もかけてつくります。
 作詞作曲編曲、ボカロ打ち込み、Mix、イラスト映像全てを一人でするとなると数ヶ月はその曲に付きっきりになるため、興味のあるテーマでなければ続かないでしょう。
 それから、主人公を自分好みに設定するのも良いでしょう。キャラクターソングのような手法で行うと、制作過程の様々な選択がスムーズになります。

それから意外と良くないのが、連続して繰り返し聞くこと。
 ある工程がそろそろ煮詰まってきたかな、と感じたら丸一日離れてから改めて聞くと、過不足気味な要素に色々気付くでしょう。

 ところで……興味のあることを無意識的に選択した結果なのか、僕の曲は人が死んでばかりいますが、エアライド2が出るまでは生きる予定なので安心してください(⁠~⁠‾⁠▿⁠‾⁠)⁠~笑

調声の意味

 最後に、誰のための音楽であるか。商業音楽であれば、ファンのため、大衆のため、となるところですが、VOCALOIDは未だにアングラジャンルでもあります。願わくばこれからも…
 いわゆる調声(調教ともいいますが笑)の理由は、人に近づける為、聴きやすくするためではない。それは本質ではない。
 頭の中にだけある完成形に近づける為、というのが正しいでしょう。

❝理想を数分の音に出力する❞

ワクワクしますね。

自分の傷を芸術にまで昇華してやること、暗澹たる20年間への決着として作ったのが初投稿作の『黒春』でした。
 この曲をつくりながら、VOCALOIDの自由度の高さを感じました。とはいえ、その後も『善人行進曲』『CIRCUS』等をつくるわけですが、本当に陰気臭い曲たちだ…

ちなみに、一人目に神威がくぽを選んだ理由は、単に昔から好きだったから、それと最近名前聞かないからという逆張り精神によるところが大きいです笑
 
 人間じゃ難易度の高い色々も、エディターを使いこなす技術力と根気があれば、VOCALOIDなら行えます。
 ある意味で、作り手にとって最も爽快な音楽は、ボカロ曲なのかもしれませんね(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)

ではでは〜

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