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カフェに行きたいけど行けないので、本の中で通っている話(『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』読書感想文)

行けないわけではない。行こうと思えば行けると思う。平日の休みに、あれこれ家仕事を終わらせて、さあ、素敵なカフェでおいしいコーヒーを飲むためにはそんなカフェはどこにあるのか、検索検索、疲れたなぁ、もういいや、とならなければ。

一人でゆっくり、木漏れ日眺めながら、おいしいコーヒーが飲みたい。
そんなカフェがあったところで、一人で初めていくときは緊張しそう、2~3回通ってやっと落ち着いてコーヒーを味わえるようになるのかもしれない。
土日に夫と息子とコーヒー飲んでも楽しいだろうけど、たまには、しょうゆ飲んでるの?きゃははは!とにぎやかな感じでなく、静かな音楽が似合うような雰囲気でティータイムしたいのだ。

今年の春頃だろうか、書店で平積みされた小説を手に取って、なんかいいな、でも小説とか普段読まないしな、と戻して、店を出ようとしてまた戻って、なぜか買った文庫本があった。
『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』標野 凪(著)
カバーの折り返し(?)のところの著者紹介に、「小さなお店を切り盛りしている現役カフェ店主」とあるではないか。カフェ店主が書くカフェの話?
このカフェ(この本の世界)に行くことにした。

わたしはカフェを仕事用のバッグの中に入れ、昼休みにちびちびと読むことにした。
喫茶ドードーは駅から続く坂道を登って曲がった先にある路地の奥にあって、そこは小さな森になっていた。
落ち込むようなことがあってそこにたどり着くと、不思議と自分のためなのかと思うようなメニューがある。「自己肯定力を上げるコーヒー」「雨の日のサンドイッチ」「自分をいたわる甘いもの」など。くるくるの髪の毛の店主との会話や、森にも癒されて、前に進むきっかけをつかんで日常へ帰っていくという話で、連作短編集になっている。登場人物たちがどこかで繋がっていて同じ世界にいるのだなという感じがする。

こんなカフェあったら行きたい。しかもこのカフェは「おひとりさま専用カフェ」なのだ。ひとりで入りやすそう。
本の中だけど、いいカフェみつけた。物語の中でカフェ行くのもありだな、と思った。どうやらこの話、2冊目出てるみたいなのでまたカフェ通いできそうだ。


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