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#17 本当の「ありのまま」

私は「ありのまま」という言葉を安易に使うことがあまり好きではありません。

ありのままでいいんだよ。
そのままのあなたでいいんだよ。

というものに、私の中でうまくピンとこないからです。

私は腰痛持ちだからしょうがない。受け入れよう。
私はこういうダメな人間だから仕方ない。受け入れよう。

というのは「ありのまま」なのでしょうか。
「そのまんま」ではあると思います。

魅力はあなたの中に

私は人は「石」に似ていると思っています。

石にもいろいろな種類がありますが、はじめから整った形では存在していません。いわゆる「原石」の状態です。

たまにもともと偶然に良い状態になっている場合があります。
そういう人は特別何もしていなくても魅力的で光っています。

では、何もせずに、今この状態のことを「ありのまま」ということにします。

それもいいでしょう。
原石には原石の魅力があるし、完成していない美しさや味があります。
そのカタチの自分がいいと感じて、そんな「カタチの自分が好きだ」と感じたのであれば、「あなたという石のカタチの最適解」はその状態であるのだと思います。

ですが、ほとんどの場合、あなたの魅力はあなたの内側にまだまだ沢山隠れています。

もしあなたがダイヤモンドであれば「磨けば光る」のです。

そしてあなたが自分のことを「ダイアモンドではなくただの石だ」と感じているのならば尚の事、可能性は無限です。
その石はもしかしたら美しい彫刻になれるかもしれません。

この仕事をして、勉強をする度に、人と出会い、触れる度に、
毎回毎回溜息が出るほど感じることがあります。

それは「人の身体ってすごいんだな」という事です。

私達に与えられたこの身体は本当に素晴らしいものです。

この身体は不可能と思っていた事を可能にし、
身体の持ち主のあなたの為に、様々な手を使って命を、生活を繋いでくれています。

身体にはあらかじめ沢山のポテンシャルが備わっていますが、
それを引き出すためには、特に現代の生活自体が多大なストレス下にあるような状態では「そのまんま」の状態ではとても難しいです。

かの有名な彫刻家であるミケランジェロの残した名言にこのようなものがあります。

「どんな石の塊も内部に彫像を秘めている。それを発見するのが彫刻家の仕事だ。」

ミケランジェロは自分で決めたカタチを彫っていたのではなく、その石が内在的に備えていた美を引き出していたということです。

そういった意味での「ありのまま」の方を私は信じています。

あなたに身体の中にはもともと「美しさ」や「正しさ」が備わっていて、
それはさまざまな種類や形状の石があるように多様です。

「そのまんま」でもいいのかもしれません。

ですが、そのあなたを自分自身で好きになることができず、満足していないのであれば、諦めるのは尚早です。

あなたはまだまだそんなもんじゃありません。

自分のからだの声に耳を傾けて聞き、正しく彫り進めていけばきっとその先にあなただけの、身体も心も本当の意味で自由で愛おしい「ありのまま」の状態の自分に出会えるはずです。

他の人と比べてもその石にはなれません。
どうかそこに在るあなた自身のいいところや可能性を彫り出すことを楽しんでください。

くれぐれも嫌な状態をただ耐えるだけのことを「ありのままの自分である」だなんて悲しいことは言わずに。

本当のありのままの状態であれば、楽だし息がしやすく生きやすい。

そんなありのままの自分は遠くにはなく、あなたの中に必ずあります。

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