🎥ひとくず(2019)

中学時代の先生のおすすめ作品。

母親の恋人から虐待を受け、
電気もガスも止まった部屋に閉じ込められた少女・鞠のもとに、
突然やってくる"訳あり"泥棒との優しさ溢れるストーリー。
不器用ながらも鞠を守るため、懸命に生きる姿に心揺さぶられる。


実際よりは何倍も何十倍もオブラートに包まれているのだろうけど、(カット割ではあるが)虐待シーンが生々しく描かれ、虐待サバイバーである鞠の母親・凛への暴言・暴力は観るに堪えない。

幼年の鞠にとって、男から守ってもらえないとはいえ、大切に想っている母親への矯正(?)で、暴言が飛び交うのは相当キツイし、現実に起こればトラウマになるだろうなと。

あえて、そのような描写を用いた意図がわからなくて、
なぜ先生はこの作品を勧めるのだろうと内心思った。
鞠の母親である凛に対して、暴言・暴力(殴らずとも髪を引っ張るなど)で支配するのは、凛を母親として育てるため＋"訳あり"泥棒も虐待サバイバーで愛し方が不器用という、２つの要素が重なっているにしても、個人的には疑問が残った。

最初から観るのが辛くて、途中で何度も「もう観るのをやめよう」と、再生停止ボタンに手が伸びそうになった。

けれど、ここで止めてしまうと、今後は観れないかもしれない……と思い、何とか耐え抜いた。先の疑問は解消できなかったものの、最後まで観ると、この作品に出合えて良かったと思えた。

育った環境によって、或は今いる立場、状況によって
感想や捉え方は大きく違うだろうけど、
円満家庭で育った人、機能不全家庭で育った人ともに、
そして、いろんな過去に苦しんでいる人に
是非お勧めしたい。

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この作品を勧めてくれた先生は、
ある時、お父様との辛い過去があり、父を赦せずにいると教えてくれた。

30以上、歳の離れた先生だったけれど、
私が出逢った、初めての「機能不全家庭」で育った当事者であり、(私からみて)人生の成功者であり、こんな大人になりたい！と初めて思った人だった。
辛い過去を抱えていても、こんなにも慈愛深く生徒たちを包み込めるのか！こんなにもキラキラと輝いて生きられるのか！！と、私に希望を与えてくれた人でもある。

それだけに、内なる輝きオーラ全開の先生でさえ、
お父様のことを赦せずに、踠き苦しみ続けているのかと驚いた。同時に、私もこの先何十年も、胸に仕舞い込んだ辛い過去とともに、生きていくことになることを意識せずには居られなくて、落胆と諦めを感じた。
そんな私が一縷の望みをかけて観た作品が、この「ひとくず」である。

映画のようなレベルではなくとも、
父から日常的に精神的虐待を受けていた幼い頃の自分。
それは決まって母の留守中だった。

大好きな母を傷付けたくなくて、
これ以上、家庭を壊したくなくて必死に耐えた過去。
母に守ってもらいたくて、気付いて欲しくて
でも言えなくて
助けてくれない母を、心の中で何度も責めた。

大丈夫じゃないのに、大丈夫って
布団の中で声を押し殺して泣いていた、小さな私。

慌ただしい日々の中で、少しずつ思い出すことが減っていたいろんなことが、昨日のことのように蘇った。

あの頃の幼き自分、そして今の等身大の自分が、
映画の登場人物の痛みと重なり、
涙が浮かんでは引っ込んでいき、また涙が浮かんできて……。

当時を思い出し、気持ちが沈みつつも、
父を赦せずにいる自分、
過去に縛られている自分との向き合い方や乗り越え方を
考えさせられた。

作品を通して、勇気をもらった。

次々と過去が蘇るときって、沢山のエネルギーを使うから
どっと疲れてしまったけれど、
一縷の望み、ちゃんと見つけられた。

最後まで観たからこその、やさしい空間が広がっていた。

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あの頃の私へ

昨日のことのように思い出すくらい
未だに辛く、忘れられない過去だけれど
あなたが必死に生きた日々は
私をきっと強くしてくれた

本来は味わう必要のない沢山の感情を
小さな身体で1人抱え込んで
辛かったね、苦しかったね、
大声を出して思いっきり泣きたかったよね


でもね、無理して笑うことなんかない
大人の機嫌を取る必要もない
泣きたかったら泣きなさい
笑いたいときに笑いなさい

あなたはあなたを好きにならなくちゃ
どうか、自分のことが好きだと言える大人になってください
あなたの最大の味方は、あなた自身で
あなたを守れるのは、あなた自身なんだよ

私は何年経っても、
小さな英雄である、あなたを尊敬し
誇りに思い続けます

あなたは、だれかの大切な人
あなたは、たったひとりの大切な私


23.2.20

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公式HP https://hitokuzu.com/より引用
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