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本人ではなく記憶に苦しめられる話

彼と上手くいっていたころ、よく通っていたスーパーを久しぶりに見た。

豚肉がとても安くて、よく食べる彼のためにいつも2パック買い込んでいたことを思い出す。

彼と住み始めてから、夜ごはんだけは毎日作っていた。1年経っても毎日キッチンに立つのが楽しくて、自分は料理が好きなのだと思っていた。

彼のために料理をしなくなったら、全くキッチンに立つことがなくなった。ふたり住んでいる家で自分のためだけに料理をするのが「なんだか違う」なと感じてしまって。

あれだけ好きで、ストレス解消の手段とまで思っていたのに私は今全く料理をしなくなっている。

誰かのために生きることは、安心するのだと思う。することに明確な理由があって、することの先に明確に誰かの顔が見えるのは楽なのだと思う。

私はこの一年半、気付かないうちに彼のために生きていたのだなあ。

奥さんの真似事をして、とても楽しかった。


引っ越しをしたら、自分のためにごはんを作ろうと思う。

そして、また、いつか。誰かのためにごはんを作れたらいいなと思う。


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