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本おじさんのまちかど図書館 ウマ・クリシュナズワミー著 フレーベル館

ぴったりの日に、ぴったりの人に、ぴったりの本を

小学校の帰り道、まちかどにある本の図書館で本を借りるのが大好きな主人公の少女「ヤズミン」。その図書館の「本おじさん」が勧めてくれる本を読むのが楽しみだった。

ある日、いつものように本を返そうと、まちかど図書館に立ち寄ると、急遽、図書館がなくなることを知った。悲しみに暮れていたが、読んだ本の内容を何度も考えているうちに、とても大きなアイデアが浮かんだ。。。

インドのニューデリーを舞台にした「本おじさんのまちかど図書館」。元教師の「本おじさん」がコツコツと買い集めた本を、無料で全ての人に貸し出している。ルールはただ一つ「1冊ずつ借りて返すこと」。

図書館カードを作る必要もなく、住所のない人も文字が読めれば、本を借りて読むことができる。それだけでなく「本おじさん」は文字が読めない人にも、文字を教えてくれたり、銀行口座の開設方法も教えてくれる。

そんな本おじさんは、まさに「図書館司書」。本をただ貸すのではなく、おすすめの本を紹介したり、どうすれば利用者の問題が解決するかを一緒になって考えてくれる。

図書館がなくなるということ

考えてみてほしい。あなたの街から図書館がなくなってしまうことを。図書館がなくなれば、書店に頼るしかない。でも書店には比較的新しい本しかない。新聞もなければ雑誌もない。

調べたいことがあっても相談できる人がいない。歴史的なこともわからなくなり、絵本も高くても買うしかない。まさに「知る権利」の侵害になる。

図書館をまったく利用したことがなくても、なくなってしまうとなると話は別。インターネットの情報だけで、それが正しいと誰がわかるのか。そう、図書館は私たちにとって、なくてはならない場所。

児童書から政治を考える

私たちは、政治的な圧力や自分の力だけではどうしようもないなら、すぐに諦めるクセはないだろうか。そこまでして、勝てるかどうかわからないのに時間を使う必要があるかどうか、と。

この本は、簡単に諦めることなく、どうすれば本当に必要なものを残すことができるかを教えてくれる。本来の政治のあり方を考えさせられた。終わりに向かうにつれ、どうなるかどうなるかとドキドキした。


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