さらば純情

だれにも分かってもらえないかもしれない、個人の感覚の域を一歩も出ないようなことをどうしても書きたくなった。

リリースされて1ヶ月経ったが、もうこの曲に出会う前の私がどんな感じだったのか、もうよく思い出せない。何も変わっていない気もするし、この曲に人生を変えられた気もしている。
何なんだろう、この感じ。椎名林檎の作る音楽は時々この感覚になる。

この曲に対して言えば、私の身体の中を満たしているいろんな液体、血液とかリンパ液とか細胞内液とか?に音と言葉を当てがったらこういうことになるんじゃないかと思う。普段こういうことを考えている訳ではないんだけど、共感とかそういう思考の次元で収まる範疇の曲じゃなくて、もっと身体全てに浸透してくれる感じ。すごく感覚的で何を言っているのか伝わらないかもしれないけど、私にとってはそんな感じです。

「善意はいつか汲み合えるって、額面通り本当ですか」
「信じていました、真っ直ぐに。きっと受け取ってもらえるはずと」

歌詞のどこをとっても美しいのだけど、
「先生」に問いかける一節一節に私は本当に泣いてしまう。

内省と諦観と慈悲の三叉路みたいな曲。
どう生きたらこんな密度と美しさと慎ましさとしなやかさが詰まった言葉が生み出せるのか・・・。凄すぎます先生・・・。

しかもエフェクトかけて歌い上げないところも憎い・・・。
少し無機質で全く押しつけることなく私たちに届けてくれるんだから、もう聴く側から手を伸ばしてしまう。曲の密度に反して「おなかいっぱい」とならずに何度も何度も聴いてしまう。やっぱり水分です。(?)

本当に有難い曲を恵んでもらった感じ、もうまんまと林檎さんの思うツボな愛好家なのだろうと思う。
この曲に出会えてよかった、と心をぬくめながら、帰路につく日々がもう少し続きそう。





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