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WHOパンデミック協定採択見送り 知的財産権放棄議論から意見対立は技術移転やワクチン、治療薬及び診断薬配分の仕組みへ


1.WHOパンデミック協定採択見送り

スイス・ジュネーブで2024年5月27日から6月1日まで開催されていた世界保健機関(WHO)の第77回年次総会(World Health Assembly)は、その最終日、「WHOパンデミック協定」(WHO pandemic agreement)案の採択を見送ることを決定しました(2024.06.01 WHO press release: World Health Assembly agreement reached on wide-ranging, decisive package of amendments to improve the International Health Regulations And sets date for finalizing negotiations on a proposed Pandemic Agreement 参照)。

ワクチン等の技術移転や公正な配分に関して先進国と途上国間で意見が対立したとみられ、加盟国間の交渉は最大1年延長されることとなりました。

この「WHOパンデミック協定」案は、COVID-19パンデミックへの対応において国際社会(WHO)が連帯と公平性を示すことができなかったことを踏まえ、WHO CA+の作成のための政府間交渉会議(INB:Intergovernmental Negotiating Body)の設置が2021年12月に決定され、2022年2月に最初のINBが開催されて以来、今回のWHO総会において成果物を提出することを目指して政府間での交渉が行われてきました。

しかし、INBでの交渉妥結には至らず(A/INB/9 (Resumed session and drafting group)参照)、今回の総会の会期中においても各国間で協議が重ねられましたが、やはり意見の隔たりが埋まらなかったようです。


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