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製薬業界の舞台裏で繰り広げられる事件と最新のトレンドを知的財産の視点で紐解きます noteで最新記事先行公開中。珈琲☕一杯分でちょっと一息、いかがですか。一定期間後に記事は「医薬系"特許的"判例」ブログで公開されます→https://www.tokkyoteki.com/

最近の記事

公共の利益のための通常実施権を設定すべき旨の裁定請求 ビジョンケア、ヘリオス、住友ファーマらの間で和解成立へ ― 強制実施権設定の在り方と浮かび上がった課題 ―

1.はじめに株式会社ヘリオス(以下「ヘリオス」)、国立研究開発法人理化学研究所(以下「理研」)及び国立大学法人大阪大学(以下「大阪大学」)が共同保有する発明の名称を「網膜色素上皮細胞の製造方法」とする本件特許(第6518878号)に係る特許権に対して、2021年7月13日に、高橋政代氏(以下「高橋氏」)を代表取締役とする株式会社ビジョンケア(ビジョンケア)及び株式会社VC Cell Therapy(以下「VCT社」)が、特許法第93条第2項の規定により公共の利益のための通常

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    • WHOパンデミック協定採択見送り 知的財産権放棄議論から意見対立は技術移転やワクチン、治療薬及び診断薬配分の仕組みへ

      1.WHOパンデミック協定採択見送りスイス・ジュネーブで2024年5月27日から6月1日まで開催されていた世界保健機関(WHO)の第77回年次総会(World Health Assembly)は、その最終日、「WHOパンデミック協定」(WHO pandemic agreement)案の採択を見送ることを決定しました(2024.06.01 WHO press release: World Health Assembly agreement reached on wide-ra

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      • バイデン政権による介入権(March-in rights)を行使する薬価引下施策の提案に各界から反発の声

        米国バイデン政権は、2023年12月7日に発表した「競争の促進による医療と医薬品の価格引下げを目指す新たな方針」の中で、医薬品の価格を抑えるために、バイ・ドール法に基づいて政府の資金援助を受けて研究開発された特許技術に対して介入権(March-in rights)を行使する可能性を示唆しています。 この発表と同日、米国商務省に属する政府機関である米国標準技術研究所(NIST)から「介入権の行使に関するガイダンス枠組み案」が公表され、2024年2月6日までパブリックコメントの

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        • 2024.03.25 「X v. 全星薬品工業」 知財高裁令和5年(ネ)10090 ― 塩酸アンブロキソール徐放性OD錠職務発明対価請求控訴事件 「発明の特徴的部分」とは ―

          Summary 発明の名称を「徐放性塩酸アンブロキソール口腔内崩壊錠」とする特許第5919173号に係る本件発明2等に関して、被告(全星薬品工業)の元従業者であった原告が被告に対して提起した職務発明対価請求控訴事件で、知財高裁は、「発明の特徴的部分とは、特許請求の範囲に記載された発明の構成のうち従来技術にはみられない部分、すなわち、当該発明に特有の課題解決手段を基礎付ける部分を指すものと解するのが相当である」との枠組みを示したうえで、原告が本件発明2の特徴的部分に対して関与

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        公共の利益のための通常実施権を設定すべき旨の裁定請求 ビジョンケア、ヘリオス、住友ファーマらの間で和解成立へ ― 強制実施権設定の在り方と浮かび上がった課題 ―

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        • WHOパンデミック協定採択見送り 知的財産権放棄議論から意見対立は技術移転やワクチン、治療薬及び診断薬配分の仕組みへ

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        • バイデン政権による介入権(March-in rights)を行使する薬価引下施策の提案に各界から反発の声

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        • 2024.03.25 「X v. 全星薬品工業」 知財高裁令和5年(ネ)10090 ― 塩酸アンブロキソール徐放性OD錠職務発明対価請求控訴事件 「発明の特徴的部分」とは ―

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          【受験生応援】令和5年度弁理士試験論文式筆記試験(必須科目)[特許・実用新案] の設問から学ぶ医薬系特許の事例紹介

          はじめに本記事は、「医薬系"特許的"判例」ブログの2023年7月10日記事 「令和5年度弁理士試験論文式筆記試験(必須科目)[特許・実用新案] の設問から学ぶ医薬系特許の事例紹介」 として掲載された内容に微修正を加えたものです(全ての情報はその正確性と現在の適用可能性を再確認する必要があります)。 令和5年度の弁理士試験論文式筆記試験(必須科目)[特許・実用新案]の問題Ⅱでは、医薬系特許に関連した設問が出題されました。 この記事では、その設問に関連する内容や、設問か

          【受験生応援】令和5年度弁理士試験論文式筆記試験(必須科目)[特許・実用新案] の設問から学ぶ医薬系特許の事例紹介

          米国通商代表部(USTR) 2024年スペシャル301条報告書(2024 Special 301 Report) ― 日本の薬価制度に言及 ステークホルダーからはデータ保護、パテントリンケージ、特許延長の不確実性にも懸念の声 ―

          珈琲☕一杯分?の暇つぶしにいかがでしょうか。 ※ 当記事は法的助言を与えるものではありません。全ての情報はその正確性と現在の適用可能性を再確認する必要があります。

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          米国通商代表部(USTR) 2024年スペシャル301条報告書(2024 Special 301 Report) ― 日本の薬価制度に言及 ステークホルダーからはデータ保護、パテントリンケージ、特許延長の不確実性にも懸念の声 ―

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          2024.03.26 「フマキラー v. アース製薬」 知財高裁令和5年(行ケ)10057 ― 優先権主張の効果、補正・訂正要件、実施可能要件の交差点 ―

          Summary 本件は、フマキラー(原告)が、アース製薬(被告)が特許権者である特許第6539407号に対する無効請求不成立審決の取消しを求めた事案であり、実施例補充型の国内優先権主張の効果が認められるかどうかが実質的な争点であった。 知財高裁は、「人工乳首事件」東京高裁判決の説示を踏襲しつつ、「後の出願の特許請求の範囲に記載された発明の要旨とする技術的事項が、先の出願の当初明細書等に記載された技術的事項を超える」ものか否かという判断はその関係において「実施可能であるか

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          2024.03.26 「フマキラー v. アース製薬」 知財高裁令和5年(行ケ)10057 ― 優先権主張の効果、補正・訂正要件、実施可能要件の交差点 ―

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          2024.03.21 「大塚製薬 v. トーアエイヨー・ニプロ・東和薬品」 知財高裁令和4年(行ケ)10084 ― サムスカ®の有効成分トルバプタンに関する医薬用途発明の進歩性 ―

          Summary 本件は、発明の名称を「重症心不全の治療方法およびその薬剤」とする特許第4771937号の特許権者である大塚製薬(原告)が、本件特許を無効と判断した審決を不服として、その取消しを求めた事案である。 知財高裁は、進歩性欠如を理由として本件特許を無効であると判断した本件審決を支持し、大塚製薬の請求を棄却する判決をした。 この事件には、バソプレシン V2-受容体拮抗薬であるトルバプタン(Tolvaptan)を有効成分とするサムスカ®(先発医薬品)の主要な効能・効

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          2024.03.21 「大塚製薬 v. トーアエイヨー・ニプロ・東和薬品」 知財高裁令和4年(行ケ)10084 ― サムスカ®の有効成分トルバプタンに関する医薬用途発明の進歩性 ―

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          2024.03.18 「テバ・東和薬品・日医工・日本ケミファ・ヘキサル v. ジー.ディー.サール」 知財高裁令和4年(行ケ)10127, 10128, 10129, 10130, 令和5年(行ケ)10027 ― セレコキシブ組成物特許の訂正事項とプロダクト・バイ・プロセス表現の難しさ ―

          Summary 本件は、ジー.ディー.サール(被告)が保有する「セレコキシブ組成物」に関する特許に対する無効審判請求不成立審決を取り消す前訴判決の差戻し審判で、特許庁は、被告による本件訂正を認め、テバ、東和薬品、日医工、日本ケミファ、ヘキサル(原告ら)の主張する無効理由はいずれも理由がないとして審判請求は成り立たない旨の審決(本件審決)をしたため、原告らが審決の取消しを求めて提起した訴訟である。 珈琲☕一杯分?の暇つぶしにいかがでしょうか。 ※ 当記事は法的助言を与えるも

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          2024.03.18 「テバ・東和薬品・日医工・日本ケミファ・ヘキサル v. ジー.ディー.サール」 知財高裁令和4年(行ケ)10127, 10128, 10129, 10130, 令和5年(行ケ)10027 ― セレコキシブ組成物特許の訂正事項とプロダクト・バイ・プロセス表現の難しさ ―

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          2024.03.25 「X v. クリニジェン」 知財高裁令和5年(ネ)10103 ― 本件訴えは前件訴訟の蒸し返しであり信義則に反する不適法なものであるとして控訴を棄却した損害賠償請求事件 ―

          Summary クリニジェン株式会社が本件国内移行手続を執らなかった行為及び本件発明の権利化の機会を発明者である原告Xに与えなかった行為が譲渡契約上の債務不履行を構成すると主張して原告Xが同社に対し損害賠償の支払を求めた控訴審で、知財高裁は、本件訴えは前件訴訟(東京地裁令和3年(ワ)4655)の蒸し返しであって、訴訟法上の信義則に反する不適法なものであり、本件訴えを却下した原判決は相当であるとして本件控訴を棄却する判決をした。 珈琲☕一杯分?の暇つぶしにいかがでしょうか。

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          2024.03.25 「X v. クリニジェン」 知財高裁令和5年(ネ)10103 ― 本件訴えは前件訴訟の蒸し返しであり信義則に反する不適法なものであるとして控訴を棄却した損害賠償請求事件 ―

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          2024.03.27 「東亜産業 v. neo ALA」 知財高裁令和5年(ネ)10086 ― 控訴棄却判決、差止め及び廃棄請求について仮執行宣言(5-アミノレブリン酸リン酸塩事件) ―

          Summary 発明の名称を「5-アミノレブリン酸リン酸塩、その製造方法及びその用途」とする本件特許を保有する被控訴人(neo ALA)が、控訴人(東亜産業)による各控訴人製品の製造、譲渡等が特許権の侵害に当たると主張して、控訴人に対し、その差止め等を求めた特許権侵害差止請求事件で、知財高裁は、被控訴人の請求を全部認容した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、また、原審の認容した差止め及び廃棄請求について仮執行宣言を付した。 1.背景本件(知

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          2024.03.27 「東亜産業 v. neo ALA」 知財高裁令和5年(ネ)10086 ― 控訴棄却判決、差止め及び廃棄請求について仮執行宣言(5-アミノレブリン酸リン酸塩事件) ―

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          2024.01.16 「ロシュ ダイアグノスティックス v. アボット」 知財高裁令和4年(行ケ)10082 ―「抗原Xに結合する抗体」をさらに「特異的に認識して結合する」特徴で特定する意義―

          1.はじめに「PIVKA-IIを特異的に認識して結合する抗体」に関するアボット・ラボラトリーズの特許に対する無効審判請求を不成立とした審決を不服としてロシュ ダイアグノスティックスが提起した審決取消訴訟(知財高裁令和4年(行ケ)10082)で、知財高裁は、本件審決の判断に誤りはなく、ロシュ ダイアグノスティックスが主張する取消事由(新規性、進歩性、拡大先願との同一性、明確性要件、サポート要件及び実施可能要件の有無に関する誤り)はいずれも理由がないと判断した。 アボット・ラ

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          2024.01.16 「ロシュ ダイアグノスティックス v. アボット」 知財高裁令和4年(行ケ)10082 ―「抗原Xに結合する抗体」をさらに「特異的に認識して結合する」特徴で特定する意義―

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          韓国薬事法改正 医薬品の再審査制度を廃止し、イノベーティブ医薬品創出を促進する臨床試験資料保護制度(データ保護制度)新設へ 後れを取る日本

          2024年2月20日、韓国の薬事法の一部改正法(法律第20328号)が公布されました。 この法律は、公布後1年が経過した日(2025年2月21日)から施行します。 この改正法において注目すべきポイントは、新規医薬品の承認時に先発医薬品メーカーにより提出された臨床試験資料をもとに後発医薬品を承認申請することを一定期間禁止する臨床試験資料保護制度(いわゆる「データ保護制度」、第31条の6)を新設し、一方で、これまで実質的に規制上の新規医薬品の保護期間として働いていた従前の新薬

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          韓国薬事法改正 医薬品の再審査制度を廃止し、イノベーティブ医薬品創出を促進する臨床試験資料保護制度(データ保護制度)新設へ 後れを取る日本

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          2024.01.16 「ユーピー ケミカル v. バーサム マテリアルズ」 知財高裁令和4年(行ケ)10097 ― 化学物質名の記載が特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」であること(引用発明の適格性)の判断基準 ―

          Summary 「ジイソプロピルアミノシラン」に係る特許発明の新規性等が争点となった無効請求不成立審決取消訴訟で、引用文献には、同物質が記載されているといえるものの、その製造方法に関する記載がないことから、同物質を特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」として認定することの可否が問題となった。 知財高裁は、引用文献に接した本件優先日前の当業者が、思考や試行錯誤等の創作能力を発揮するまでもなく、技術常識に基づいて、同物質の製造方法その他の入手方法を見いだすことができ

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          2024.01.16 「ユーピー ケミカル v. バーサム マテリアルズ」 知財高裁令和4年(行ケ)10097 ― 化学物質名の記載が特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」であること(引用発明の適格性)の判断基準 ―

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          2023.11.22 「X v. 特許庁長官」 令和5年(行ケ)10059 ―人為的取決めであって自然法則を利用したものとはいえないとして発明該当性(特許法2条1項)を否定した事例―

          1.背景本件(令和5年(行ケ)10059)は、発明の名称を「患者保有分項目を設けた処方箋と患者保有の医薬品を含めた投与日数算定の一方式」とする特許出願(特願2021-89621号。以下、「本願」という)についての拒絶査定不服審判において「本件審判の請求は、成り立たない。」とした特許庁の審決(以下「本件審決」という。)の取り消しを求めて、出願人Xが提起した拒絶審決取消訴訟である。 珈琲☕一杯分?の暇つぶしにいかがでしょうか。 ※ 当記事は法的助言を与えるものではありません。

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          2023.11.22 「X v. 特許庁長官」 令和5年(行ケ)10059 ―人為的取決めであって自然法則を利用したものとはいえないとして発明該当性(特許法2条1項)を否定した事例―

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          2023.10.04 「アストラゼネカ v. 日本ジェネリック・東亜薬品」 知財高裁令和5年(ネ)10012 ― 医療用医薬品シムビコート タービュヘイラーの形態の商品等表示該当性、混同を否定した不正競争行為差止等請求事件判決 ―

          Summary 本件は、医療用医薬品シムビコート®タービュヘイラー®(控訴人商品)の形態と類似した形態の後発医薬品(被控訴人商品)を製造販売している東亜薬品及び日本ジェネリック(被控訴人ら)の行為は不競法2条1項1号の不正競争行為(周知表示混同惹起行為)に該当するなどと主張して、アストラゼネカ(控訴人)が、被控訴人らに対して、被控訴人商品の譲渡等の差止め及び廃棄を求めるとともに、損害賠償金の支払を求めた事案である。 知財高裁は、 控訴人商品の形態は、不競法2条1項1号の

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          2023.10.04 「アストラゼネカ v. 日本ジェネリック・東亜薬品」 知財高裁令和5年(ネ)10012 ― 医療用医薬品シムビコート タービュヘイラーの形態の商品等表示該当性、混同を否定した不正競争行為差止等請求事件判決 ―

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