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事業再構築補助金 攻略の研究<第2回>

※ 初めての方は<第1回>からお読みください。

§2 どのような取組が「事業再構築」に該当するのか

 採択される可能性を高めるためには「社会構造変化に適応して、付加価値額 / 労働生産性を高める事業再構築を計画化すること」が重要であることがわかった。そこで問題になるのは「自分の考えている内容が、事業再構築に該当するのかどうか」だろう。いくら付加価値額を増加させる事業計画を策定しても、それが事業再構築に合致しなければ採択されないからだ。

 これを明確にするため、事業再構築指針事業再構築指針の手引きとが令和3年3月17日に経済産業省から公表(3月29日改訂)された。同じ内容だが、「手引き」は図や表で整理され、例などもあって詳しく解説されている。ただ詳しすぎて煩雑な感じは否めないので、それをさらに整理したのが次図だ。

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 事業再構築には5つの類型があるが、それは再構築するレベルの違いによる。それを説明しよう。図の左側は事業内容を示している。企業には少なくとも一つの業種日本標準産業分類に基づく大分類)がある。「大分類E:製造業」とか「大分類M:宿泊業、飲食サービス業」などだ。これらは、さらに中分類、小分類、細分類と分かれていく。これが図にある事業だ。

 たとえば町の中華料理屋は「大分類M:宿泊業、飲食サービス業」の中の「中分類76:飲食店」「小分類762:専門料理店」「細分類7623:中華料理店」が事業であるが、ラーメン屋は「細分類7624:ラーメン店」という異なる事業なのだ。

 さらに、おこなっている事業には「製品・商品・サービス」と「製造方法・提供方法」という2つの要素が必ず存在する。たとえば中華料理屋の場合なら、商品はメニューであり、それを店内提供するという提供方法である。

 そして「業種」「事業」「製品・商品・サービス」「製造方法・提供方法」の何を変化させるかによって、事業再構築の4類型が決められている(上図)。最後の事業再編は、会社合併や分割、子会社設立など、企業それ自身を変化させて4類型のいずれかをおこなう場合である。

 ただし補助金の趣旨を実現させるため、それぞれの事業再構築には細かな要件が定められている(上図)。その要件の具体的仕様を整理したのが次である。

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 なお「製品等」は「製品・商品・サービス」、「製造方法等」は「製造方法または提供方法」の略である。また、代替性が低いとは、新製品等を発売したことにより既存製品等が売れなくならないこと(いわゆる共食いが起きないこと)を意味する。

 以上は、理解のため若干荒い説明であることをご了解願いたい。これらを理解したうえで、実際の事業再構築プランを練る場合には「指針」「手引き」に照らし合わせ確認することをお勧めする。

 たとえば、新分野展開の定義は「主たる業種または主たる事業を変更することなく・・・」であるから、業種は変更せず、事業が変更になる場合もある。事業転換との違いは、売上高10%要件(新分野展開)か売上高構成比要件(事業転換)の違いである。逆に言えば、新製品等の売上見込みが売上高10%要件を満たすが売上高構成比要件は難しい場合には新分野展開、売上高構成比要件を満たせそうなら事業転換ということになる。
 また業態転換の定義は「製品または商品もしくはサービスの、製造方法または提供方法を相当程度変更すること」である。この場合、業種や事業について何も言っていないことに注意されたい。しかし「相当程度」の言葉が示すように、製造方法または提供方法を一部変更しただけでは通用しない。

 次回は、具体的な例で、上記の要件を検討してみよう。

⇒ <第3回

2021/03/26 初稿
2021/03/30 3/29要件等変更に伴い修正

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