中ボス戦から読み始めるニンジャスレイヤー

『ニンジャスレイヤー』とは何か。
この記事に辿り着いたあなたは既に、それが小説であり、しかも「ニンジャを殺すニンジャ」を主人公とする復讐の物語である…ということまで突き止めているかもしれません。

その通りです！

では「ちょっと気になったから読んでみよう」と思い、試し読みしようとトゥギャッターまとめを見に行ったとき、あるいは本屋さんに直接GOしたとき、意外にもエピソード数が多く、既に相当数の書籍も刊行されていることを知って「これを最初から読むのか……？」とニンジャの地平に立ち尽くしたりした経験はないでしょうか……？

実はニンジャスレイヤーという小説は短編の集合体で、一つ一つが読みものとして完結しているレベルのものですので、読む順序はあまり気にしなくても良いのです。

しかし、それゆえに「どれから読んでいいんだ……？」とニンジャの地平に独り立ち尽くしたりするかもしれません。
ですが、これについては道標があります。いろんな方が入門的なエピソードを挙げてくれています。勿論そこから読み始めるのも良いでしょう。
あるいは、あなたの好みを把握しているお友達が身近にいれば、あなたの好きな小説・漫画・映画の作風、登場人物のタイプ、好きなスシネタ等の情報を元に、あなたに最適なエピソードを親切に教えてくれることでしょう。

「そんな友達いないよぉ……。」「もっと他になんか情報が欲しい……！」という方のために、ここではちょっと変わった切り口で、「いきなり中ボス戦から読み始める」という読み始め方を紹介してみようと思います。

中ボス。
なんかRPGみたいな単語がでてきました。
そう、冒頭で書いた通り、これは復讐の物語……ニンジャ同士の果し合いがメインです。バトルに次ぐバトル！ 息を呑む大音響、迫力の大画面……！（個人的には映画を観ているような気分になることがあるのです）

現在ニンジャスレイヤーは第３部までが完結していて、第４部がTwitterで連載中です。
ここでは、１〜３部それぞれにおける中ボス戦（と私が一人で勝手に位置づけている）エピソードを紹介したいと思います。

※１：なお、公式で中ボスが誰だとか認定されている訳ではありません。こんな見方をするのも偶には面白いかな、くらいのゆるーいノリで進行します。
※２：私はTwitter連載版は全て読んでいるのですが、決定稿ともいえる書籍版は部分的にしか読んでいないので、ここではあくまでTwitter連載版に基づいてエピソード名を挙げてゆきます。本を買ったらちょっと違った…とかでも怒らないでね。

ではどんなエピソードを私が中ボス戦っぽいと感じているのでしょうか。ここからは既存の読者の方々も「そんな見方もあるのかー」くらいの軽い気持ちで一緒にお楽しみください！

第１部 『ネオサイタマ炎上（NEO-SAITAMA IN FLAMES）』編

【敵組織】ソウカイ・シンジケート（ソウカイヤ）

【中ボス】ダークニンジャ

【該当エピソード】
『ゼロ・トレラント・サンスイ』
『メナス・オブ・ダークニンジャ』

２つのエピソードは時系列的に直結しているので、まずは『ゼロ・トレラント・サンスイ』から読みましょう。
さっきからこの記事を読んでいて、「エッいきなり中ボス戦から！？」と思っている方も多いと思います。しかし実は、このエピソードこそが、Twitterで一番最初に連載されたエピソードなのです！
まず目に飛び込んでくるのは「前回までのあらすじ」。一番最初の連載ですから、「前回まで」のことなど当然、誰も知りません。とりあえず安心して先に進みましょう。
このエピソードは宿敵ダークニンジャが登場する前の、いわば前哨戦ともいえます。
極限まで削ぎ落とされたかのようなミニマルな文体に、あなたは衝撃を受けることでしょう。

そして『メナス・オブ・ダークニンジャ』ではついに、ソウカイヤのおそるべき刺客、ダークニンジャが登場します！
「ついに」といってもまだ我々は敵一人倒したところしか見ていない訳ですが、とにかくストーリー中盤の強敵なのです！
オブシディアン（黒曜石）色のニンジャ装束に身を包み、フルフェイスヘルムを被り、妖刀を操る、なんだかヤバそうな奴です。

ここに至るまでに、主人公ニンジャスレイヤーも相当数の敵を打ち破って来ているはずなのですが、これまでとは別格の相手だということがなんとなく伝わってきます。それもその筈、このダークニンジャこそ、第一部のラスボスとも言えるラオモト・カンの懐刀的な存在なのです！

息を呑む迫力の戦闘が今、始まります……！

なおこの話で他に出てくるのは、初登場でなぜか相当弱体化している老師ドラゴン・ゲンドーソーと、その孫娘ユカノ。
ユカノに関してはこの時点ではなんだかよく分かりませんが、第３部まで登場し続ける重要キャラだったりもします。
興味があったら別のエピソードへと飛びましょう！

第２部 『キョート殺伐都市（KYOTO:HELL ON EARTH）』編

【敵組織】ザイバツ・シャドーギルド

【中ボス】イグゾーション

【該当エピソード】
『シー・ノー・イーヴル・ニンジャ』
『デス・フロム・アバブ・セキバハラ』

第２部はキョート編です。
敵組織も打って変わり、ロード・オブ・ザイバツという謎めいたニンジャを頂点とするピラミッド構造のヒエラルキー型ニンジャ組織「ザイバツ・シャドーギルド」になります。
ザイバツ・シャドーギルド内では強さなどによって位階が設けられており、ロード直下の数名しかいない「グランドマスター」と呼ばれる幹部クラスに、今回の中ボスであるイグゾーションが所属しています。
グランドマスターのニンジャは、もうどいつもこいつもヤバイ感じに強いのですが、これから紹介するエピソードが、ニンジャスレイヤーにとって最初のグランドマスター戦なのです。

イグゾーションがどういう奴かというと、貴族の血を引く尊大な男で、触れた相手の生命活動を異常活性化させることで爆弾にしてしまう能力を持っています（なんだそれは）。

ここでも２つのエピソードを続けて読んでいきましょう。
『シー・ノー・イーヴル・ニンジャ』は、とある極悪死刑囚が更に手に負えない極悪ニンジャになってしまうというエピソードなのですが、それとは一見関係のない別の話が同時進行しています。それがこのエピソード内から始まる中ボス戦です。
舞台は監獄。ニンジャスレイヤーを襲うのは、赤橙色のニンジャ装束を身に纏うイグゾーションが作り出した人間爆弾！ ニンジャスレイヤーは一体どうなってしまうのか……！？

続く『デス・フロム・アバブ・セキバハラ』では、主人公のニンジャスレイヤーはいきなり荒野で磔にされており、イグゾーションというニンジャの恐ろしさが如何なく発揮されます。この絶望的状況から一体どうやって勝てばいいのか！？（本当に勝ち目はあるのか？）ぜひあなたの目で確かめてみてください。

第３部『不滅のニンジャソウル（NINJA SLAYER NEVER DIES）』編

【敵組織】アマクダリ・セクト

【中ボス】ファイアブランドとかフージ・クゥーチとかインターセプターとか諸々

【該当エピソード】
『ゼア・イズ・ア・ライト』
『リヴィング・ウェル・イズ・ザ・ベスト・リヴェンジ』

第３部は、また舞台がネオサイタマへと戻り、いつの間にか日本政府をも牛耳る程にまでシステマチックに強大化したアマクダリ・セクトとの闘いが描かれます。社会そのものに戦を挑んでいるような感があり、これまで以上に無謀で勝ち目のない戦いにも思えてきます。
アマクダリ・セクトは非人間的な社会システムそのもののように組織立っており、「どれか強いニンジャを倒せば一区切り」という感じがあまりありません。
その中で「ストーリー中盤の山場」という意味で私があえて中ボス戦を挙げるならば、ニンジャスレイヤーが真っ向から巨大システムに立ち向かう最初のエピソードである『ゼア・イズ・ア・ライト』と『リヴィング・ウェル・イズ・ザ・ベスト・リヴェンジ』をチョイスしたいと思います。

ここではアマクダリに喧嘩を売るニンジャ愚連隊グループなどとの連携もあり、バトルは全体的に乱戦の様相を呈しています。

ここで対決する敵ニンジャは、どれも幹部クラスですらありません。ですがニンジャスレイヤーが彼らの猛攻の前に敗れるという衝撃的で恐ろしい場面から物語は幕を開けます。

その後、意識を取り戻したニンジャスレイヤーがとある老師に再び鍛え直されるのが、後半エピソードです。
新たに必殺技とかを覚える訳ではないのですが、己の精神を見つめ直すことで一挙手一投足に至るまで格段に鋭くなった主人公は新たな活路を開く……！
この復活譚を境に、主人公ニンジャスレイヤーは迷いなく更なる苛烈な闘いに身を投じてゆくのです……！

いかがでしたでしょうか

突然真ん中辺りから読み始めるのもアリかなと思いついたので書いてみました。
勿論中盤の話ですので、訳のわからないキャラクターが出てきたりすることもあるかと思います。
そうして気になったら、過去時系列のエピソードに飛んでみたりするのも良いでしょう。
ニンジャスレイヤーは元々時系列シャッフルされてエピソードが公開される作品なので、物語の断片を追ううち、全体像がなんとなく見えてくるかと思います。それでいいのです！

各エピソードは様々なテイストで書かれていたりするので、読み進めてゆくうち、気に入ったエピソードや場面やキャラクターなどが出てくるはずです。
エピソード数はたくさんありますから、当分飽きずにニンジャスレイヤーの世界を見て回れることでしょう。

それでは、良きニンジャライフを！