『ざつ』 お気楽TRPG日記17。邪神忌とか、Tales from the Loopとか、ラヴクラフトの青春とか。

概要:還暦間際のTRPGデザイナー、朱鷺田祐介(ときた・ゆうすけ)が適当なことを『ざつ』に書くエッセイ。だいたい、TRPG関連の思い出とか雑談とか、シナリオ作成やGMの裏話。今回は、3/15に阿佐ヶ谷ロフトAで開催した邪神忌(ラヴクラフトの命日イベント)関連で、Tales from the Loop RPGとか、ラヴクラフトの青春とか。

 

 怒涛の一週間でした。はい。

 『エヴァ』を見て一週間、ゲーム学校のノベル科審査会に向けて大量の生徒作品を読みつつ、週末のテストプレイのシナリオを考え、邪神忌前に発売された『ゴブリンスレイヤー14』を読み、あれやこれやを手配し、邪神忌でなんとか新作告知、『Tales from the Loop RPG』の発表ができ、その翌日は審査会で、やっと何か終わった気がします。

 が、締切が、次の締切があああああああああ。

 ところで、Amazonから『ゴブリンスレイヤー14』が届いた。

 あ、ゴブスレがかぶってしまった(ごろうちゃん風に) 『ざつ』だな。

邪神忌

「クトゥルー神話とヒロイック・ファンタジー」

With 蝸牛くも@阿佐ヶ谷ロフトA


  今年も3/15、ラヴクラフトの命日に、阿佐ヶ谷ロフトAにて、ラヴクラフトを偲ぶイベント『邪神忌』を行ました。緊急事態宣言で配信メイン、7時開演なのに、8時には来場者退場という過酷な条件にも関わらず、30名ほどの皆さんにご来場いただき、本当にありがとうございました。配信も行われておりますので、興味のある方は、配信をぜひ。

 今回は、『ゴブリンスレイヤー』の蝸牛くも先生がゲストで、『クトゥルフ神話とヒロイック・ファンタジー』というテーマで、共同開催の森瀬繚さんと3人で色々語りました。テーマのきっかけは、森瀬さんの翻訳しているブライアン・ラムレイの『Hero of Dreams』(ドリームランド・シリーズという「クトゥルフ神話のドリームランドで、ヒロイック・ファンタジーな冒険をしちゃうぞ」(1980年代)の一作目)が5月に刊行されることから始まり、ヒロイック・ファンタジーとクトゥルフ神話を語れる方ということで、ゲストをお探しした結果、蝸牛さんにご参加いただきました。

 蝸牛さんは、TRPG好きで、私が翻訳している『シャドウラン』の大ファンということで、何度か遊ばせていただきました。4Gamerでのリプレイにもご参加いただきました。『ゴブリンスレイヤー』はそれ以前から読んでいましたが、この作品の濃さから、きっと同年代だろうと踏んでいたら、30歳前半の平成生まれと聞き、『ゴロゴムの陰謀だ!』と思ったのは、秘密です。蝸牛さんは、親と祖父がSFファンだった関係で、昔から翻訳SFやヒロイック・ファンタジーに親しんでいたそうです。

 『ゴブリンスレイヤー』は、TRPGのネタがどっぷり盛り込まれた作品で、クトゥルフ神話ネタも満載でしたので、ダメ元で呼んでみたら、ご快諾いただきました。いいのかな、アニメ化も果たした大人気ライトノベル作家だぞ。アニメ第二期も決定だ。

 まあ、言ってみるものだ。『ざつ』だな。

 実際に、イベント前の打ち合わせをしてみると、蝸牛さんは、アーノルド・シュワツェネッガーの『コナン』が大好き、大好きすぎて、最新巻『ゴブリンスレイヤー14』では、映画版『コナン』に登場した苦難の輪を再現したような「ぐるぐる回す奴」を登場させるほど。

 なんと適材適所なキャスティングでありました。

 『でもさ、あの映画、1982年だから、君いくつ?』

 『生まれてません』

 吐血。時の涙を見た。(ちなみに、Zの時にもまだ生まれてない)

 そんな感じで、面白い内容になりましたので、配信をぜひ。


 そういう感じでございます。『ざつ』だな。

 夏には、ラヴクラフト聖誕祭(8/20)もやりますので、よろしくお願いいたします。


 『Tales from the Loop RPG』発売決定。

 

 邪神忌の最後で告知させていただきましたが、このたび、スウェーデンのFree League社のノスタルジックSF-TRPG『Tales from the Loop RPG』、仮称『ザ・ループ TRPG』の発売が決定いたしました。

 詳しくは、4Gamerさんの速報を参照。

 6月発売で、税別5400円の予定。

 内容については、同じく4Gamerさんに紹介記事を書いてありますので、ご参照ください。4Gamerさんに丸投げだ。『ざつ』だな。

 少し真面目に解説します。

 「ザ・ループTRPG」はスウェーデンのTRPGメーカー、Free League社(スウェーデン語ではFria Ligan)が2016年に発売したTRPG「Tales from the Loop Role Playing Game」を翻訳したものです。これは、スウェーデンのイラストレーター、シモン・ストーレンハーグが生み出したグラフィック・ノベル「ザ・ループ TALES FROM THE LOOP」の世界観をもとにしたもので、シンプルながらも、独特の世界設定とシステム、掲載シナリオの秀逸さから、2017年ENnie賞でベストゲームやベストセッティングなど5部門を受賞しました。現在までに、追加サプリメント4冊が刊行されています。
 日本でも、原作となる「ザ・ループ TALES FROM THE LOOP」およびその続編「フロム・ザ・フラッド 浸水からの未知なるもの」が山形浩生氏の翻訳でグラフィック社より刊行され、人気を博しています。「ザ・ループ」は少しだけハイテクな1980年代のスウェーデンの田舎を舞台にしたジュヴナイルSFで、TRPG版はそのイメージを再現し、ノスタルジーとSF的なセンス・オブ・ワンダーを楽しめるものです。続編「フロム・ザ・フラッド」もTRPGが出ており、こちらは1990年代(ループが閉鎖された後)を舞台に、成長したティーンズがPCとなります。2020年には、AmazonPrimeで制作されたドラマ「ザ・ループ」のミニ・シリーズは配信されました。

 本書の翻訳にあたり、Free League社が刊行した英語版を底本としつつ、おりに触れて、オリジナルのスウェーデン語版で遊んでいる方の助言を加えました。英語版を定本にしておりますので、原作通り、スウェーデンのメーラレン湖の島々にあるザ・ループの周辺での冒険を遊べる他、アメリカのネヴァダ州ボールダー・シティ(フーバー・ダムの隣)を舞台にしたUSセッティング(ドラマ版を参考にする場合や、スウェーデンに詳しくない人向け)があります。巻末に解説を兼ねて、1980年代の日本で遊ぶ場合のサポート記事を書きましたので、ややノスタルジックな日本のキッドでの冒険をしたい場合には、ご参考にしてください。

  朱鷺田は翻訳監修ということで、日本語版翻訳チーム(齋藤領太氏 / 清水浩樹氏 / 塚越冬弥氏 / 中村俊也氏 / Montro氏(50音順))が大活躍してくれました。塚越冬弥さんは、ハロウヒルの「スケルトンズ」と「我らが王の身罷りて」の翻訳を担当、中村俊也さんは「RPGシティブックII」と「コボルドのRPGデザイン(近刊)」の翻訳を担当されています。

 Free League社のサイト。

 Free League(Fria Ligan)は、スウェーデンを拠点とするTRPGメーカーで、今までもオリジナルのシステムをいくつか出していますが、この「Tales from the Loop RPG」でブレイク、近年では「Alien RPG」(映画公式)を刊行したり(ヴァーチャル・テーブルトップ化も推進中)、第三次世界大戦後の破滅した世界でサバイバルする「Twilght:2000」をリメイクしたり、「One Ring」(「ホビット」と「指輪物語」の間の時代を扱うTRPG)の2版の權利を獲得し、キックスターターを立ち上げたりと、大活躍中のメーカーです。

 英語版が出ていますので、興味のある方はぜひ。『ざつ』に流します。

 あの頃のラヴクラフト 1921


 邪神忌に合わせて、「あの頃のラヴクラフト アマチュア・ジャーナリズムの時代」をバージョンアップしました。この本は、デビュー前のラヴクラフトがアマチュア・ジャーナリズム、いわゆる創作小説同人の世界で送った青春をさまざまな資料から推測したものです。

 この本のキーワードは「100年前のラヴクラフト」なので、毎年、バージョンアップしています。今年は1921年までのラヴクラフトです。

 1921年は、ラヴクラフトにとっては激動の年です。母親が亡くなり、そして、後に妻となるソニア・グリーンと出会います。『無名都市』『イラノンの探求』『月の湿原』『アウトサイダー』『蕃神』『エーリッヒ・ツァンの音楽』を書いている他、参加した『Transatlantic Circulaeter』(大西洋を越えて展開された回覧式同人誌』に次々作品を投稿し、批判に対する反論「ダゴン弁護論」を展開しています。ラヴクラフト先生、全然、変わってないですよ。この人。

 邪神忌のちょうど100年前といえば、3/17日(あれ、今日じゃない?)の手紙が残っています。これは入院していた母サラからの手紙の返事なのですが、「お母さん、お手紙ありがとうございます。いただいたリンゴ、おいしゅうございました」という感じの挨拶の後、怒涛のように、最近参加したボストンのアマチュア・ジャーナリストのコンベンションが楽しかったんだよという話を書いています。コンベンションと言いますが、イーニス・ミニター夫人が自宅を開放したホーム・パーティのような集まりで、参加者は20人ほど。これでボストン周辺のアマチュア・ジャーナリストの主要人物の名何割かが顔を揃えるという感じなので、オフライン・ミーティングみたいな感じですね。『ざつ』なたとえだ。

 こちらの方は、今後、コノスさんで通販予定の他、ゲームマーケットなどに持っていってもらう予定なので、よろしくお願いいたします。


  まあ、そんな感じで『ざつ』に終わります。


 





 


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