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Coupe du Japon びわ湖レースレポート

大会名:Coupe du Japon びわ湖高島Stage

開催日:2022年5月5日

開催場所:滋賀県高島市・朽木スキー場

カテゴリー:エリート男子

天 候:晴れ

コースコンディション:ドライ

リザルト:優勝

使用機材

バイク ANCHOR XR9

サスペンション SR SUNTOUR AXON

コンポーネンツ  SHIMANO XTR M9100シリーズ

シューズ SHIMANO S-PHYRE XC9

ヘルメット Kabuto IZANAGI スペシャル・日本チャンピオンカラー

グローブ Kabuto PRG-8(ブラック)

ウエア Wave One         

サングラス  OAKLEY 

サプリメント SAVAS(株式会社明治)

ヘッドバンド HALO 

写真はコマツトシオさんより

連休最終日となる5月5日こどもの日、国内MTBシリーズ第2戦が滋賀県高島市朽木スキー場で開催された。

朽木のコースは国内MTBシリーズで最も「登る」コースとして知られる。それもトラクションコントロールやライン取りを試されるようなテクニカルな登りではなく、スキー場のゲレンデを直登する道幅の広く長い砂利の登りだ。下りも際立って難しいセクションは無いが、モトクロスコースとしても使われている乾き切った砂利の路面はとても滑り易く、コーナーをハイスピードで繋いで走るのは想像以上に難しい。フィジカルと集中力が試されるコースであるため、朽木で勝てるコンディションの時は他のどんなレースを走っても成績が良いように思う。

前戦の菖蒲谷では高強度の練習が不足していることを感じたため、この10日間は走行時間を少なくするかわりに限界まで自分を追い込む練習を積んできた。冬場にしっかりと体力のベースを高めていたため、短い期間であったが身体は確実に進化した。前日の予選となるXCCではスタートからしっかりと動きながらも最後はゴールスプリントで勝利し、菖蒲谷よりも身体の調子が一段高いところにあると感じていた。また朽木は地元滋賀の大会であるため、チャンピオンジャージを着ての完全優勝に向けて高いモチベーションで臨んだ。

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夏のような強い日差しの中、定刻通り13時半にスタート。周回数が9周と多く、獲得標高は1000mを越える。暑さ対策とペース配分が重要となってくるため、いつもより抑えてスタートした。予想通りに平林選手がスタートから飛ばし、それに続く2番手で登っていく。かなりペースが速くあっという間に2人で抜け出す形になった。登り終わりで先頭に立とう思っていたが、頂上手前でさらにスピードを上げた平林選手についていくことが出来ずに少し離されてしまった。後ろから追い上げてきた宮津選手と合流し、15秒ほどの差で1周目を終える。

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2周目、3周目と宮津選手とパックになって平林選手を追いかけるが、タイム差は35秒まで広がった。しかしまだ長い登りに入れば見える差であるので、落ち着いてペースを乱さないことに集中する。MTBレースであってもパックで走った方が楽をできる場面は多く、ペース配分の上手い宮津選手と一緒にレースを進めながら後半の戦いに備える。コース上は日差しを遮るものが何もないためにかなり暑い。VAAMでの水分補給と水を直接身体に掛けてしっかりと冷やすようにした。

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4周目、少しずつ平林選手とのタイム差が縮まり出した。長い登りを使って追い上げる宮津選手のペースはかなり速くて後ろでついていくのもギリギリであったが、ロードレースでの辛い場面を思い出して乗り切ることができた。ロードとMTBでは同じ登りであってもパワーの出し方が違う。ロードであればペースが上がる場面でMTBは緩むことが多いため(もちろんその逆のパターンもある)、どちらの登り方も経験している自分は精神的に有利に感じた。

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5周目、平林選手に追いつけることは確信したため、宮津選手の後ろで次の作戦を考える。ここまでずっとライバルの動きに対して後手に回るレース展開になってしまっている。ここからは自分が勝負の主導権を握らなければならない。

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平林選手に追いつき3人の先頭集団で6周目に入る。2人を休ませないため長い登りで先頭に立ってペースを上げ、コース中盤の短いながらも急勾配な登りでアタックをかけた。僅かに抜け出したが、宮津選手だけは追いついてきた。先頭で一旦ペースを落として息を整えてから、ゴール前の登りの頂上で再び仕掛ける。3秒ほどの差をつけて7周目に入った。

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逃げ切りを狙って長い登りでプッシュし続け、宮津選手とのタイム差を8秒に広げることができた。このまま差を広げて独走でゴールしたい。しかし登りを踏み過ぎたことで下りでのペースが落ちてしまっていた。8周目の中盤に追い付かれてしまう。宮津選手と2人のパックで最終周回へ入る。一騎打ちの展開だ。XCOでここまで勝負がもつれたことはここ数年記憶に無いが、シクロクロスでは最終周の勝負で勝ってきた経験が多くあるので冷静でいることができた。

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粘り強い宮津選手を長い登りでは突き放せないと考え、6周目にアタックが成功した短い登りで再び仕掛けると決めた。たとえ追い付かれても最終コーナーまで先頭をキープできれば前日のようにスプリントで勝てる自信があった。宮津選手の後ろにつけてギリギリまで我慢し、決めていた場所で一気に前に出て全力で踏み込む。下りも全開で攻めて8秒のタイム差をつけることができた。最後の登りでもタイム差を広げて余裕を持ってゴールへ。地元の滋賀でとても嬉しい今季初勝利をあげることができた。

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このタフな朽木のコースで勝てたことはこれからのロードレースに向けても大きな自信となる。前戦よりも身体の動きが良く、トレーニングが上手くいっていることを確認できて嬉しい。レース中は辛い場面もあったが、最後まで冷静に自分の持ち味を発揮することに集中したからこそ勝つことができたと思う。

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この日の自分にできるベストなレース内容であったことは間違いないが、今後に向けてはまだまだ課題がある。レース前半の平林選手のスピードに対応できるようにならなければいけないし、そもそもレース中盤に平林選手に追いつけたのは自分よりも宮津選手に力があったからだ。自分はついていくことしか出来なかった。今回はロードの経験を上手く生かせたと思うが、この競技のチャンピオンとしてもっと前半から誰も前に行かせないような走りをしていきたい。そのために必要な練習を今後も妥協なく取り組んでいく必要があると感じた。

そして最後となりましたが、チームとスポンサー各位のサポート、会場やSNSを通してのたくさんの応援を本当にありがとうございました。また大会を開催して頂いた八代さんを代表とする主催者の方々にも感謝しています。僕がまだ子どもであった時に人生を懸けて熱中するスポーツを見つけることができたのは、18年前に八代さんが主催する滋賀での人生初レースのお陰です。同じ場所に日本一となって戻ってくることができたのはとても嬉しく、これからも成長した姿をお見せできるように頑張ります。

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次戦はツアーオブジャパンです。勝つことが最も調子が上がる自分にとって、これからのロードレースが楽しみで仕方ありません。

今後とも応援のほど宜しくお願い致します。

TEAM BRIDGESTONE Cycling

沢田 時



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