【ビジネス書を読む時間がない若手金融会社員・就活生向け!】ファイナンスの基本5

前回から、ファイナンスの基本について記載しています
今回は、財務政策について記載したいと思います

  • 自社や他社の企業価値を算定する際に必要な知識となるため、ファイナンス業務が専門外の方にとっても知っていて損はないと思います

  • 実務上は、投資ファンドや投資銀行のM&Aチーム、ファイナンシャルアドバイザー(FAS)が専門的な知見を保有しています

  • 私自身も、投資ファンド在籍時は案件ごとに企業価値算定を実施していました

財務政策

  • 投資を行うためには元手となるお金が必要です

  • そのための資本を調達する方法として、借入と株式の2つの選択肢があります

  • 本日は、両者をどのようなバランスでコントロールすればよいか、また利益の還元をどのように行えばよいかを記載したいと思います

1. 最適資本構成

  • 最適資本構成とは、借入と株式の最適な組み合わせを指します

  • 基本的な考え方は、ここでも企業価値の最大化です

  • 株主資本100%からスタートして、負債比率を高めていくと、節税効果が得られるため企業価値は増大します(利子費用を税前利益で控除できるため)

  • しかし、負債比率が増加すると、新たなコストが発生します

  • ①倒産コスト

  • 負債は予め決められた一定の条件とスケジュールで金利と元本を返済する必要があります。一方で営業CFは変動要素があるため、負債が増加しすぎると債務不履行のリスクが増加します。その結果、債権者が要求する金利が高くなってしまいます

  • ②エージェンシーコスト

  • 債権者と株主の利害対立により生じるコストです

  • 負債が増加しすぎると、債権者は債権の回収を優先し、企業価値を増やす投資機会に難色を示すことが起こり得ます

  • その結果、債権者が企業の事業活動に対して何らかの制約条件を付けることが起こってしまうのです

  • ③財務的柔軟性の喪失

  • 財務的柔軟性とは、手持ち資金と借入余力を持つことで、予測できない事態に対応できることを指します

  • 例えば、絶好の投資機会が訪れても、財務的理由により投資できないケースです

  • 負債の増加により、財務柔軟性が減少すると、企業の打ち手が制約を受けることになります


  • つまり、株主資本100%から負債比率を増加させることで企業価値は増大しますが、ある一定の比率からは逆に上記コストにより企業価値が減少するようになります

  • 負債のメリットがデメリットを相殺する点が、最適資本比率と言えますが、具体的な比率は解明されていません

  • 一般的な見解としては、キャッシュフローが安定的にコントロールできる範囲内で借入を最大化することが企業価値の増大につながるとされています

2. 利益還元政策

  • 続いて、配当政策(株主配当、自社株買い)について記載したいと思います

  • 一般的な理論としては、「配当や自社株買いは企業価値に対して価値中立的」とされています

  • 増配されることで株主の配当収入は増えますが、保有株式が同じだけ値下がりするため、手取り金額に変化はありません

  • つまり、増配は株主の利益にならないと考えることができます

  • 会社の保有している現金は株主のものであるため、会社で保管しているか、増配して株主の手元に移動させるか、という違いにすぎないということです

  • 株主の経済的価値が増加したということにはならないため、配当は価値中立的となります

  • なお、増配を公表することで株価が上昇することがあります
    (増配を意思決定するということは、長期的にそれだけのキャッシュフローを生み出す自信が企業にあるからであり、投資家はそのような正のシグナルを増配の意思決定の中に読み取り、買いの判断をするため、株価が上昇します)

  • 増配も自社株買いも価値中立的であるため、企業価値を向上し株価を高めるためには、NPVがプラスなプロジェクトを行うことに尽きます

いかがでしたでしょうか
本日は財務政策について記載しました。次回以降もお楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?