「面白いってなんだ?」
「面白いゲームはできた。ただそれだけではダメだ。
"面白そうに見える"ゲームにしないといけないんだよ」
「ゲーム開発でなんでそんなに資料作る必要があるの?」
「VRゲーム市場はアメリカの子供(10代)の30%がVRヘッドセットを持って いる。アメリカの子供に支持されないとヒットしない」
「何も効果がないように思えるとき、私は石切り職人が岩を叩いているのを見に行く。おそらく百回叩いてもひび一つ入らない。
しかし百一回目の打撃で岩が割れる。それが最後の一撃でなく、それまでの全ての打撃がその結果をもたらしたのだと知っている。」
上記の言葉のどれかに興味を持っていただけたら是非このnoteを読み進めてください。
①前日譚note「明日から人生を懸けた3か月が始まる社長の話」への答え
前回「明日から人生を懸けた3か月が始まる社長の話」という上記noteを書いて、その続編。3か月を経てこのnoteを書きます。現時点での答え合わせです。
僕はMyDearestというVRゲームスタートアップの代表で、僕らMyDearestは日本時間7/19(金)に会社の運命を懸けたBrazen Blaze(ブレイゼンブレイズ)というマルチプレイアクションVRゲームをMetaQuestストアとSteamVR向けにリリースしました。
https://store.steampowered.com/app/2511050/Brazen_Blaze/
そしてこの「ブレイゼンブレイズ」というゲームは前回のnoteで書いた通り、もともと4月リリース予定であったものを延期して「4月から、3か月間に渡るオープンβテスト」を行い、プレイヤーコミュニティの世界中の人達のフィードバックを受けてゲームをアップデートし続けました。
そのβテストの結果が以下の図であり、4月下旬から始まりここ最近の7月までのデイリーアクティブユーザーの推移図です。
見てお分かりの通り直近7月にユーザーが激増しています。
しかし本当に大切なこと、皆様に伝えたいことは、右肩上がりに上がった直近のグラフではなく、
「ずっと横ばいで悪戦苦闘していた数か月間」
の方なのです。
それこそが「面白いってなんだ?」
というこのnoteのタイトルをめぐる問いです。
②無謀。なんで会社でこれまで作ったことないオンラインマルチプレイVRゲームを作るという決断をしたのか?
そもそも「なんでオンラインマルチプレイVRゲームを作るなんて意志決定をしたのか?」
という質問を僕らMyDearestを知っている方であればあるほど、
されるかもしれません。
これまで会社としてはストーリー重視のVRアドベンチャーゲームを作ってきました。「東京クロノス」「アルトデウス」「ディスクロニア」といった作品たちです。
そこからアクションゲームを作るだけでも難易度がかなり上がるのに、
それに加えて「世界中のプレイヤーが同時に遊ぶオンラインマルチプレイのVRアクションゲーム」という最難関へのチャレンジを行うことを意思決定したのです。
「なんでオンラインマルチプレイVRゲームを作ろうと思ったのか?」
理由としては・・・
これまでいくつかのnoteでも記載していたのですが、VRゲームのユーザーが伸び続けていたためどこかで必ず「オンラインマルチプレイVRゲーム」の波が来ると確信してたためです。
・・・と書いてて思ったのですが、
もっと前から決断していたことを思い出しました。
もちろん「オンラインマルチプレイVRゲーム」の波が来る」という確信は当たりました。現在ついに100億円を超える売上のタイトルもVRゲームで登場するほど「マルチプレイVRゲーム」が大流行しています。
ただ、もっと前から「オンラインマルチプレイVRゲーム」を作ろうと決断していたことを思い出しましたのです。
それはいつなのか。
それは「創業する時、最初から」です。
「オンラインマルチプレイVRゲーム」を作りたかったから創業した。
自分達はこれがやりたかったから創業した。
というのが正しいです。
2012年。大学生の時に、ソードアートオンラインのアニメを見ながら、そしてそのアニメ放送期間中にOculusのKickstarが始まってから、
その事実に興奮してOculusのVRヘッドセットを付けた時から、
つねに「VR空間で人々がコミュニケーションする時代が来る、来させたい」とVRの未来を強く夢想していたのです。
そして何よりも知っていたことがあります。
それは
「VR空間で、人と人がゲームする、つまりインタラクションする、コミュニケーションすること、それは鮮烈で忘れられない強烈な体験」
ということです。
これまでのスマートフォンや通常のディスプレイでは戻れない魅力があります。
「VRゲーム空間で人々が繋がる体験はとても"面白い”。だからこそやりたいのだ」
と思っていたのです。
その想いから「2016年の"VR元年"」と呼ばれた年に僕らMyDearestは創業されて、8年経った2024年についにオンラインマルチプレイVRゲームを作って、リリースすることができました。
ちなみに、話を戻して、「オンラインマルチプレイVRゲームの流行っている」と話すと必ず「どこで流行っているの?」ときかれるのですが、答えはなんと「アメリカの子供(10代)の間で」です。
今VRゲーム市場は空前の「アメリカの子供(10代)の市場」となっています。
近い例で言うとRobloxなどとユーザー層が被る部分があると思います。
③VRという領域を選ぶ狂気
ただ、「オンラインマルチプレイVRゲームが流行るから、作るんだ!」と決断したとしても、「人、モノ、お金」すべてがやったことがないことなので、足りません。
そして「本当にマルチプレイゲーム作れるんですか?」と沢山疑問の言葉を投げかけられました。
特に僕らはスタートアップという立場であったため、投資家と話をすることが多く、「これまで会社ではやったことがない」という理由で、数えきれないほどの数、出資を断られました。
特にVRという領域はかなり投資家からするとハードルが高い領域で知られていました。
もともとは2016年に”VR元年"という言葉が生まれ、Oculus RiftやPlayStaion VRそしてHTC Viveなど、これまでで始めて一般消費者向けのVRヘッドセットが販売され、非常に注目を集めるテック領域となり投資マネーも集まりました。
しかし・・・
それにもかかわらず2016年に"VR元年"は来ませんでした。
そして2017年も"VR元年"という言われるようになりましたが、
2017年も"VR元年"は来ませんでした。
さらには2018年には「ここ数年で一番のVR元年」と言われてしまい、VR元年がボジョレーヌーボー化してしまうという、市場としてなかなか浮上しないという事実を突き付けられました。
だからこそVRという領域は資金調達が非常に大変であり、市場としてVRという新テクノロジー領域であるがゆえに、「時間を先買いするための資金調達」が非常に重要となる分野にもかかわらず、「資金調達が非常に難しい」
それが理由で沢山の人がVR領域から撤退していくのを横目で見ていました。
しかし、僕らMyDearestは「やるしかありませんでした」
僕と、共同創業者の2人は、新卒の同期であり、20代で創業。
とにもかくにも「VRでエンターテインメントをやりたい。ゲームを作りたい。そのVRのゲームがVR空間で人がコミュニケーションをする時代を呼び覚ますんだ」と信じて疑わなかったので、とにかく進み続けました。
お金がなくなることなんて日常茶飯事。投資家に断られることも日常茶飯事。
「こんなの誰が必要とするの?俺はいらないね」
とまで言う投資家に対して、
心の中が煮えたぎる思いで、
「少なくとも、お前に向けられたものではねえよ!」
と叫びそうになるのをこらえる。
そんな日々でした。
でも、
いつしか他人から見ると「大変だな」と言われることでも、
大変に思わなくなりました。
なぜなら、
進み続けると、想いを叫び続けると、
必ず味方になってくれる人が現れることを知ったからです。
会社のメンバーとして入ってくれて、自分たちの作るものを信じて突き進んでくれる心強い仲間、
他の投資家が断り続ける中、その人自身の視点から投資を決めてくれて今は株主となってくれた人、
そういった方々です。
そして、そんなVR市場というお金が集まりにくい領域で、
しかも最も難易度が高く、しかも資金が必要となる
「オンラインマルチプレイVRゲーム」を作りたい
など言った先には、全く相手にもされないことは想像に難しくないと思います。
5年前、2019年の頃から投資家向けのスライドに
具体的に「オンラインマルチプレイVRゲーム」を作りたいから資金がほしい、と書いてありましたが、数年間相手にもされませんでした。
しかし、3年前に僕らMyDearestに投資するかどうか寸前の投資家の方に、実際に以下のメッセージを送りました。(載せられる範囲の情報はできるだけ、ほぼそのままにしています)
当時、僕らがいくつかのヒット作をオリジナルIPのVRゲームとして世に出した後で、「VR発のオリジナルIPコミュニティビジネス」企業として会社を成長させよう、とおっしゃってくださった投資家の方に対して送ったのが以下のメッセージです。
その方は僕らの作品やビジネスの可能性をとても信じてくださった方です。
僕らはその当時シングルプレイのオリジナルIPのVRゲームでヒットを出していたので、その方向性をまずはより着実に成立させて、その後に「オンラインマルチプレイVRゲーム」を盤石の体制で作ろう、と言ってくださったのです。
しごく論理的なことをおっしゃっていただいていました。
その上で、僕らは本来その方のアドバイスをそのまま受け取っても良かったのですが、僕らから意地というかわがままを通して、
今回調達する予算を増やして、「オンラインマルチプレイVRゲーム」を当時の段階から始めたい、とお伝えしたのです。
そうです。ロジカルで堅実なやり方を超えて、
とにかくオンラインマルチプレイVRゲームを僕らは絶対に作りたかったのです。
当時2021年つまり3年前から2023年~2024年はオンラインマルチプレイVRゲームの時代になると予想しており、そして今実際にVRゲーム市場ではオンラインマルチプレイVRゲーム大全盛時代が到来し始めています。
もちろんオンラインマルチプレイVRゲーム事業を2026年など2年遅らせて作る、ということは今の時点から考えても十分ありえる選択肢だと思います。
しかし2年後からでは遅い。今2023年~2024年のオンラインマルチプレイVRゲームのブームが始まった最初のタイミングからこそ、パイオニアであり、そして世界一のオリジナルオンラインマルチプレイVRゲームが作り出せると強く信じていたのです。
当時としては「お金もノウハウも人」もなく、本当に初めての挑戦から始まって「オンラインマルチプレイVRゲームなんて作れるの?」という声が多数あったプロジェクトでしたが、実際のところ皆様がこのnoteをお読みの通り「作れました」というのが実態であり正式にリリースを迎えることができました。
特に僕らのようなスタートアップは若い会社であるため「これまでにやったことがないことをやる」が日常茶飯事です。
だからこそ、「できるかできない」は「やったことがあるか、ないか」ではなく、「その会社に、その能力を持った人物がいるかどうか。または、そういうスキルを持った人物を採用できるだけの採用力が会社にあるか」を見る方が遥かに大切だと今は確信を持って思います。
さらに、僕らがこれまで作ったことがなかった「オンラインマルチプレイゲーム」を作るにあたって、これまで僕らストーリー重視VRゲームで採用していた作り方とは正反対の作り方も採用しました。
それは「メカニクスから作る」というものです。
僕らMyDearestはこれまでストーリー重視VRゲームを作っていたこともあり、「世界観」からゲームを作っていました。
しかし今回オンラインマルチプレイアクションVRゲームを作るにあたっては、「対戦アクション」というジャンルがゆえに、まずは「ゲームメカニクスから作ろう」ということ決断しました。
そして、それにはさらにVRゲーム特有の問題もありました。
VRゲームは、VRヘッドセットのみならず、コントローラーが両手にある、という以下の画像のような身体性を最も伴うゲーム体験の一種です。
そしてそれがゆえに、
「企画書など資料で書いたことを実際にゲームで実装しても全く面白くない」
ということがこれまでの開発で多発していました。
そこで新作のゲーム開発においては、日本で一般的に言うプランナーや企画、などの従来の職種の考え方は捨てて、
ゲームの実装と企画的な思考の両方をできる人、
つまりエンジニアでありながらゲームデザイナーである人物を
開発の中心人物の一人に据えたいと決めました。
それが本作のディレクターの一人となる池谷さんという人でした。
彼はエンジニアでありながら、ゲームメカニクスを考える、ゲームデザイナー的な思考が強く、知り合いの紹介で僕らMyDearestに入社しました。
そして僕らは本当に世界一となるようなマルチプレイアクションVRゲームを作りたかったため、
なんと・・・
スウェーデンに行ったのです。
入社2日目だった池谷さんを連れて。
「スウェーデンで学んだDay1からグローバルのゲーム開発」
当時VRゲーム界において最も成功している企業を輩出していたスウェーデンに、世界一のVRゲーム作りを学ぶべきだ、と強く思い、実際にメールで連絡したところ訪問を許可してくれました。
スウェーデンではDemeoという大ヒットVRTRPGゲームなど多数のゲーム開発を行うResolution Games
https://store.steampowered.com/app/1484280/Demeo/?l=japanese
そしてFast Travel Gamesという自社VRゲームでもヒットを出しながら、多数のパブリッシングタイトルを抱えるVRゲーム企業、
この2社にメインで訪問をしました。
そして上記の二社からきいた話に共通する点は以下でした。
Day 1からグローバル
ゲームはメカニクスから作る。
開発チームの人種は多様。想いは一つ。
世界中で遊ばれることを想定した
ゲームシステムの開発
「日本語を話す人は1億人以上いるだろ?でも、スウェーデン語を話す人は1000万人程度しかいない。だからこそ最初から10億人を超える英語話者に届けるんだ」
スウェーデンの上記二社の開発スタイトルは徹底して、
「ゲームメカニクス」から作り、ストーリーや世界観に紐づく言語や文化依存の度合いを下げる開発を行っていました。
素晴らしい世界観を持つゲームを作るとしても、まずはゲームメカニクスから作り、その上に世界観を載せる、それを徹底していました。
そしてこれは北欧の企業によく共通するスタイルとして耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、
「少数精鋭」開発を行うことが彼らは基本でした。
普通の日本の企業だと20人くらい必要そうなゲームをだいたい半分の人数以下の8人で作っていたり、
「なんでそんなに少数精鋭でスピード感を持って開発ができるの?」
ときくと「逆になんでそんなに人が必要なの?」と言われてしまい、説明をすると、
「ゲーム開発でなんでそんなに資料作る必要があるの?」
資料を作る人を減らして、実際にゲームを開発する人たちでやればいいじゃない、と言われました。
これは一緒にスウェーデンに一緒に行った池谷さんを中心とする開発で思い描いていた仮説「エンジニアでありながらゲームデザイナーである人物を開発の中心人物の一人に据える」という考え、そのものだったので、僕らは自信を深めました。
「ゲームメカニクスから作ることがVRゲームで世界一をとることの勝ち筋だ」という仮説を持っていた僕らにとっては大変な収穫だからのスウェーデン出張で、自信を持って池谷さんを中心として
まずは少数精鋭でプロトタイピングを重ねながら自信を持てるまでゲームメカニクスを何度も作り直して、その上でキャラクターや世界観を作っていく、というスタイルで、
僕らMyDearestのオンラインマルチプレイアクションVRゲームの開発に着手することができるようになったのです。
そういった学びや経緯もあり2022年7月から開発がスタートし、
僕らはこの「Brazen Blaze(ブレイゼンブレイズ)」というゲームを自信を持って2024年7月19日に世の中にリリースしています。
しかしこの7月19日の正式リリース前に行われた4月~7月のオープβテストは実はかなり苦戦があったのです。
④威勢よく始めたオープβテストでめちゃくちゃ苦戦した話。ゲームは面白いだけでは不十分なのか。
ブレイゼンブレイズは前日単のnote「明日から人生を懸けた3か月が始まる社長の話」、で書いた通り、もともと4月リリース予定であったものを延期して「4月から、3か月間に渡るオープンβテスト」を行い、プレイヤーコミュニティの世界中の人達のフィードバックを受けてゲームをアップデートし続けました。
正直、この3か月のβテストの前までは、開発はとても大変でありつつも、
「ゲームのメカニクスから作る」という方針のおかげで、自信を持ったゲームメカニクスがすでにあったため、迷うことなく突き進むことができていました。
しかし、オープβテストで実際にプレイヤーに遊んでもらって初めてわかることがあったのです。
「オープンβテストのプレイヤーがなかなか増えない」
ということです。
βテストに参加してくれた人たちから以下の英語版と日本語版のDiscordを通じてフィードバックをもらって、その都度アップデート、大きなアップデートを2週間に一度入れる、ということを行っていました。
2週間に一度のアップデートではキャラクターを増やしたり、ステージを増やしたり、パラメータ調整など本当に大きなアップデートから細かいアップデートも沢山行いました。
そしてマーケティング施策としては、SNSも、広告も、インフルエンサーマーケティングも、本当にありとあらゆることを行いました。
少しずつ、少しずつユーザーは増えていきました。
プレイヤーの人々は確かにゲームを楽しんでくれてのめり込んでいました。
しかし、それでも決定的にユーザーが増えることは起こらず、
しだいに会社のメンバーの間には焦りの気持ちが目に見えてわかるようになりました。
そしてもうどうやってもユーザーが伸びないんじゃないか、
このまま本当に正式リリースするのか?のような声が聞こえてきました。
役員の中でも非常に頭を悩ませてしまうほど危機的な状況でした。
この状況を打開すべく中心メンバーによる会議が開催されました。
そこで、
どうすればいいんだ、と頭を悩ます中心メンバーの会議で、
ある一人の開発メンバーが以下の言葉を言ってくれたのです。
「面白いゲームはできた。ただそれだけではダメだ。
"面白そうに見える"ゲームにしないといけないんだよ」
その言葉こそがユーザー激増に"間接的に"つながる
「アシストアイテム」アップデートと言われる機能追加に繋がりました。
「アシストアイテム」アップデートとは、
競技性が非常に高いゲーム内容だったものを、
プレイヤーにランダムでアイテムが入手できるようにして、
上手いプレイヤーに対しても一発逆転できるような要素を入れた、
ゲームをカジュアル化する、
そして何よりも「ゲームが楽しそうに見える」アップデートだったのです。
➄百一回目の打撃。岩が割れた。ユーザーが激増した。
ではどうやって以下のような7月のユーザー数の"直接的な"激増が起こったのか?
それは
ブレイゼン公式TikTokで以下の投稿がオーガニックでものすごくバズったからです。
上記のTikTokは味方にりんごを食べさせた後で、
バッドで敵をぶっとばす、TikTokらしい10秒でものすごく面白い
ショート動画が投稿され、これがものすごくバズりました。
その結果このバズでユーザーが激増した後の、βテストのユーザーの国別のシェアが上記のようなものとなりました。
海外比率が94%でなんとアメリカが64%もいます。
これは現在のメインのVRゲーム利用者である「アメリカの10代」にもろに届いてユーザー激増したことがわかる動画です。
しかし、このTikTokがバズったのは、
単に一つの投稿が奇跡的にバズったわけではないのです。
「面白いゲームはできた。ただそれだけではダメだ。
"面白そうに見える"ゲームにしないといけないんだよ」
この言葉から生まれた「アシストアイテム」アップデートが、まさにリンゴとバットでふっとばすTikTokのショート動画を生み出してくれたのです。
そして、
そこに至るまでのユーザーがなかなか伸びない期間で行った全ての施策が積み重なって、その試行錯誤が、
このTikTokのバズを引き起こしてくれたのです。
そこでこのnoteの冒頭で書いた以下の言葉を僕は強く思い出すのです。
「何も効果がないように思えるとき、私は石切り職人が岩を叩いているのを見に行く。おそらく百回叩いてもひび一つ入らない。
しかし百一回目の打撃で岩が割れる。それが最後の一撃でなく、それまでの全ての打撃がその結果をもたらしたのだと知っている。」
これはアメリカプロバスケNBAのスパーズのロッカールームに掲げられた言葉だそうです。
この言葉を初めて知った時、まさに染み入るような思いがしました。
そうなのです。「百一回目の岩を破壊する打撃」に至るまで、僕らは叩き続けないといけないのです。
そして「百一回目の岩を破壊する打撃」ばかりが華々しくフォーカスされがちですが、その過程の「百回の打撃」がどれほど大事か、
それがどれほど必要だったか、それを感じ入るのです。
それが人から無理だと言われるようなこと、
岩を砕くようなことを成し遂げるために、
絶対必要な思考方だと強く感じます。
⑥面白いってなんだ?
このnoteの最後の話です。
そもそも「面白いってなんだ?」と
このnoteを書いていてすごく考えました。
ゲームを作る企業として、エンターテインメントに携わる者として、
この問いは毎日自分に問いかけないといけないものだと感じました。
その上で現在7/19にリリースされてブレイゼンが世界中の沢山の人に遊ばれて「面白い!」と言ってくれる人たちのツイートやレビューやDiscordのコメントなど様々なものを読み込みました。
https://x.com/charchanght/status/1814393239761498254
そして「面白い!」と言ってくださる沢山の中で気付いたことがあります。
このブレイゼンブレイズというゲームはどこにもない、新しい体験を持った作品なのです。
上記のコメントの中でも「はじめはよくわからなかったけど、三試合プレイしてものすごく面白いことがわかった」のようなコメントや、
「VRでリリースされた中で最もユニークなゲーム。VRの可能性を広げてくれる」
と言ったコメントがあったのです。
ただ、もともと「ゲームメカニクス」から最初に作った作品です。
プロトタイプタイピングをしながら何度も作っては壊してを繰り返して、
一番自信のあるゲームメカニクスを作り上げてから、このゲームの開発がスターとしました。
そのため「ただこれが最も最高なゲームメカニクスだ」という作りから始まったため、世の中の何にも似てなく、ものすごく新しい体験を提供しています。
もちろん、コメントの中には「スマブラとオーバーウォッチの間に赤ちゃんがいたら、それがブレイゼンブレイズだ」という声がいくつかあります。
しかし、それは人間というものは「新しすぎると何が面白いかわからなくなる」ため、自分の知っているもので比較的近いものをあげてくれているのだと思います。
そもそも「面白さ」というものは人によっても違いますし、
時代によっても変わるものです。
その中で僕らMyDearestは、ブレイゼンブレイズという全く新しい体験のVRゲームを「これが最高に面白いんだ!」という自信を持って生み出しました。
ただ僕ら開発者だけが面白いと思っていても全然足りないのです。
遊んでくれる人が、コミュニティの人たちが「面白い!」と言ってくれないといけないのです。
つまり「面白いとは何か?」
という問いの答えは、
「面白いとは、遊んでくれる人(コミュニティ)と共に作るもの」
というのが現時点の僕の答えです。
今回のブレイゼンブレイズの開発とリリースを通じて心の底から思いました。思い知らされました。
そしてブレイゼンが新しい体験だからこそ、
遊んでくれる皆様と一緒に「これがブレイゼンの面白さなんだ!」
と一緒に発見して、一緒に広めていきたいのです。
どうか皆様、ブレイゼンをプレイして、あなたの言葉で、僕らと一緒に、
このゲームの面白さを作っていっていただけませんか、
「ソウルライク」「メトロヴァニア」のような
新しいゲームジャンルをあなたと一緒に生み出したいのです。
ちなみにVRゲームはロングタームで売れる、というのはMetaからも言われたことですし、僕らMyDearest自身がこれまで体験してきたことです。
そしてつい先日VAIL VRというFPSVRゲームが、あるデータを以下のツイートにて明らかにしていました。それはリリースしてからユーザーが一番伸びたのは、リリース月ではなく、そこから数か月経った2024年5月であった、というものです。
VRゲームはゲームをアップデートすればするほど、コミュニティの人たちが、そのゲームを開発者を長い目線で信用してくれるようになり、その信用が口コミとなりさらに沢山のプレイヤーを引き連れてくれます。VAIL VRはその良い例をデータによって示してくれました。
だからこそ、このブレイゼンブレイズというゲームは、
長い長い期間続くゲームにしたいです。
それこそ10年も20年も続くような。
そしてVRゲームにおける世界一の作品にしたいのです。
遊んでくれる皆様と一緒に
最後に
僕はブレイゼンブレイズにおいて以下のツイートで主役となっている「サンシャイン」という無限爆弾が武器のキャラクター使いです。以下のツイートを見て嬉しくなってしまいました。
このnoteを読んでブレイゼンブレイズに興味を持ってくださった方、ぜひブレイゼンブレイズの世界で、僕のヘイゼンボム爆撃をくらいに来てください。
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