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営業力の身につけ方

久々に営業の電話がかかってきた。

普段は電話に出ることはほとんどないのだが、今回は気まぐれで出てみた。かつて自分のTシャツブランドを展開していたことがあり、それは綿のTシャツをメディウムとして、インクジェットでプリントし経年劣化を観察するという写真プロジェクトの一環だった。ある企業の営業マンが、その情報をどこかで見つけ、Tokimaru TanakaをTシャツブランドだと思って電話をかけてきたのだ。結果としては、ウェブサイトやSNS運用を行い販路を拡大するという提案だったが、彼の話し方が上手で、色々と聞いてしまった。

営業力と聞くと、不動産の営業や販売員のようなプロを連想しがちだが、身近なところにも営業力のヒントはたくさんある。子供のおねだり、カフェのバリスタやバーテンダーのおすすめ商品を勧める一言、おばあちゃんや主婦の道端での会話・コミュニケーション力。何気ない人の仕草や会話の中にも、営業のヒントが隠されている。

営業という職種でなくとも、あらゆる職業に営業は必要だと思う。自分が活動している写真の範囲では、特にピンで活動しているカメラマンには必須で、どんなに良い写真を撮っていても営業力が無ければ仕事を受注できない。良い作品こそが最大の営業力であることは確かだが、東京だけで2万〜3万人のフリーのフォトグラファーがいる中で、作品の力だけで仕事を受注できるのはごくわずかだと思う。

営業力を分解してみると、コミュニケーション能力、プレゼン力、交渉力、関係構築力、問題解決力、マーケット分析力などに分けられる。多くの力を一括りにコミュニケーション力とまとめることもできるが、営業という職種がひとつのプロフェッショナルとして成立しているように、実際は細かく繊細で技術的な要素が含まれている。

ヨガにおける営業のジレンマは、営業や販売を行うほどに、自分のヨガの実践が疎かになることだ。多くのヨガ教師たちがこの問題に悩んでおり、あのDavid Swensonですら、ヨガティーチャーでいるよりも実践をしていたいと語っている。おそらく大学教員の研究と教育が別物であるように、ヨガ教師の実践とレッスンも別物である。しかし、どちらか一方では生活は成り立たないため、そのバランスの取り方を模索する必要がある。写真においては、その点、作品と仕事の境界が曖昧であり、営業との親和性はまだ高いように感じる。

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