見出し画像

書く時に大事なこと、Ulyssesの使い方

最近のUlyssesの使い方。

と言ってもほぼ以前から変わっていない。一時期はApple純正の「Notes」だけをエディタとして使うことにして、離れていた。写真日記を出版してから、自分の中でひとつの書くプロジェクトが終わった気がして、シンプルにノートだけにしてみようと思った。

しかし出版のプロジェクトが終わっても、書くことはいつも僕に付きまとってくる。今もこうして書いているように。何も持たない生活をしているというのも大きい。電子機器類はカメラと、PCとスマホくらい。部屋には洗濯機と炊飯器と小さな冷蔵庫がある。しかし彼らはあまりに業務的で、自分の仕事以外の遊びができそうもない。あるいは僕の遊びへの探求とか想像力が足りていないだけかもしれないが。

だからキーボードの付いたマックブックで行うことと言えば、必然的に書くということになる。もちろん他のことも色々できてしまうのがラップトップコンピューターというものだけど、ワープロという原始的なデザインをそのまま継承して進化してしまったが故、それは画面があって、キーボードがあるというアフォーダンスが故、書くということが一番行いやすい道具であると思う。Logicでキーボードをピアノにして打ち込んだことがある人なら、それを楽器にするには厳しいというか、また別の身体的訓練が必要なことを知っているはずだ。

で、Ulyssesの使い方だった。まずプロジェクトフォルダの中に、自分なりのプロジェクトを作る。僕の場合であれば、依頼原稿とか、メルマガとか、noteとか、そのような項目が左側のメニューに並んでいる。一番上には「タイプライター」というフォルダを作る。これは作業場のようなもので、千葉雅也さんのUlyssesの使い方をどこかで読んだのを真似ている。このフォルダ名がタイプライターである必要は全く無いのだが、実際に機能的にタイプライターモードで書くということが使い方のひとつの重要な点ではあるので、タイプライターでいいと思う。

まず何かを書き始める時は、必ずタイプライターフォルダの中に新規の文章を立ち上げる。最初から原稿やnoteフォルダでは書かない。この理由としては、書き始める時に、はっきりとしたアウトプットの場所が決まっていないことが多いからということがある。これは自分の場合だけかもしれないが、例えばnoteのために書いていたものが、完成してみたらこれはブログのほうがいいなとか、メルマガの方がいいなというようなことが起きる。書き始めた時には、その文章がどういう結末になるかわからない、というのが良い文章のような気がする。これは全く、ただの気のせいかもしれないが、とにかく、自分の予想しなかったものが出来上がるほうが驚きがある。それは写真に近い。予定調和で、なんとなくこのように撮れると予想がつくものは、セットアップの業務的な写真だけでよくて、撮った自分も驚く写真に出会うために写真を撮っているようなところがある。それが継続のモチベーションになったりもする。

タイプライターモードは、書いている部分のカーソルが中央に固定されて、上に文字が流れていく仕様。タイプライターモードかつ、全画面表示で、文字だけが画面上に表示されるので、書くことに集中できる。

ある程度文章が形になったら、とりあえず右上の校正モードで誤字脱字をチェックする。もちろん開発や使用想定が英語ベースに作られているので、日本語にはそこまで強くない。だけど、ある程度、冗長な表現とか、間違った表現の訂正をサジェストしてくれる。このボタンを押しての校正モードを最近は一発でクリアできるようになってきた。なんだかUlyssesの枠に抑え込まれているみたいでそれも嫌なのだけど、ちょっと嬉しいゲーム性がある。

Ulyssesではマークアップ言語が使えるので、ブログ記事を書くのにも適している。ザクザクとタイプライターモードで書いた後に、マークアップして、そのまま共有から自分のワードプレスアカウントにつなげる。その過程では、カテゴリやタグや写真やURLの設定も出来てしまう。下書きで保存されて、ブラウザに飛ぶので、その後細かな設定をしたらそのまま公開できる。

書く時の見え方も、掲出先のフォーマットに合わせて、文字数や行間を設定できるので、本番原稿と同じ見え方で書けるというのもいい。書くことが、彫刻に近くなっていく。アウトライナーで行うフリーライティングを、そのままUlyssesに持ち込んで、本番原稿を雑談のように一発書きする。個人ブログというのは多くがそういうスタイルで始まったと思うが、そのような原始的な思考と文字の偶然性の発露が、今あらためて大事なのではないかと思っている。それは書くこと以外でも、何かを作ることに全てにおいて。

いつも応援してくださる皆様に田中常丸は支えられています.本当にありがとうございます.