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カメラに画素数を求めなくなった話し

カメラに高解像度を求めなくなって久しい。ここで言う「高解像度」とは、レンズの解像度や解像感ではなく、センサーサイズによるファイル容量、すなわち画素数のことだ。デジタルカメラで撮影した際に生成される写真の総ピクセル数を指している。

解像度を気にしなくなったのは、フィルムで撮影していた時期が長かったからかもしれない。フィルムを使うと、プリントは直接フィルムから行うし、スキャニングしても市販のスキャナではそれほど高解像度で取り込めないという制約がある。

デジタルカメラではもっぱらJPEGのMサイズで撮影している。これはNoteでも以前に書いたが、Leica M10-Dを使い始めた頃からだ。それまではどのカメラでも必ずRAWで撮影していたが、M10-Dでフィルムライクな撮影スタイルを追求するうちに、JPEG一発撮りのほうがよりフィルムライクに近いと気づいたからだ。このM10-Dは背面液晶がなく、撮影後に写真を確認できないカメラだ。

24MPほどの写真であれば、Lサイズだと6000×4000ピクセル、Mサイズだと4000×2500ピクセルくらいになる。このMサイズが非常にちょうど良い。データは軽くなり、PCなどの高解像度モニタでもそこそこの画質で見られる。スマホなら十分なサイズ感だ。

解像度を必要としなくなった理由の一つには、AIによるビジュアルソリューションの進化がある。例えば、Adobe Photoshopのスーパー解像度機能は、画素数の低い写真を品質を保ちながら拡大できる。この機能は、デザイン素材の写真がプリント用に画素数が足りない場合に利用される。おそらく、フォトグラファーよりもデザイナーにとって便利な機能であり、積極的に使用しているのはデザイナーが多いだろう。

最近のiPhoneは、何もせずとも十分に綺麗に撮れるし、ピントの調整も撮影後に可能だ。さらに、Appleの動画編集ソフトであるFinal Cutでは、AIによる分析と調整機能が追加された。素材を分析し、自動的に露出とカラーバランスを整えてくれる。ハイスピード撮影していなくても、足りないフレームを補完してスムースなスローモーションを生成することもできる。これは、撮影時の作業や機材を半減させる可能性がある。

Final Cutについて言えば、自動文字起こし機能はまだ搭載されていない。Adobeでは搭載されているが、Appleが意図的に省略している可能性がある。YouTubeやPodcastでは自動字幕・自動翻訳機能が備わっており、数年前とは比べ物にならないくらいに使えるレベルになっている。プラットフォームの自動文字起こしや翻訳が進化すれば、コンテンツはどの言語でも良くなり、字幕も不要になる可能性がある。もしこれを見越してのことなら、さすがAppleと言えるが、真相は不明だ。単純に搭載できないだけかもしれない(笑)。

話が逸れたが、画素数の話に戻ると、軽いデータのほうがハンドリングしやすく、ストレージの容量も圧迫せず、保存枚数も増える。さらに最近では、AI技術のおかげで画素数が足りなくてもカバーできる範囲が広がっているので、軽いデータにするメリットが大きい。

現行のiPhoneもついに24MPになり、デジカメ並みの大きなファイルになってしまった。しかし、設定で12MPが選べる。まさにJPEGのMサイズだ。設定から「カメラ」→「フォーマット」→「フォトモード」→「12MP」に変更することで、データ量は半分になり、4032×3024ピクセルの軽やかで、かつ鑑賞やSNS使用には全く問題ない写真が得られる。写真を撮りすぎてデータが一杯になり、何かを消さなければならない状態に陥っている人には、ぜひ試してみてほしい。

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