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2022芸術の秋⑤東市来地域小・中学校音楽発表会

日置市にて、初めてのご縁

 ぼちぼち書いている2022年芸術の秋振り返りシリーズ。
 少し話が前後しますが、11月9日(水)、鹿児島県日置市の教育委員会から初めてのご縁を頂き、「東市来地域小・中学校音楽発表会」の講師を担当させて頂いた時のお話。

日置市ってどんなところ

 鹿児島市のお隣、日置市。
日置市と聞いて思い浮かぶのは、妙円寺詣(島津家由来の伝統行事)、吹上浜(壮大!)、江口浜と蓬莱館(ここの月日貝が大好物)、そしてお茶(これまた美味い)。足を止めて楽しむことはこれまであまり多くありませんでしたが、恩師からご紹介頂き、東市来地域の各小学校・中学校が集い音楽を発表する機会にお招き頂いたのでした。

審査員ではなく、講師

 今回任されたのは、講師。全ての演奏を聴いて、各校に講評を書いて、最後にまとめの講評をお話しするというもの。審査員ではないので順位をつける必要がなく、筆は進めつつ子どもたちによるスペシャルコンサートを存分に楽しむことができました。

日置市の子どもたち


 この日出演したのは以下の学校。
・上市来小学校(合唱)
・鶴丸小学校(合唱・合奏)
・上市来中学校(全校合唱)
・湯田小学校(ハンドリズム・合唱)
・東市来中学校(吹奏楽)
・美山小学校(リコーダー奏・合唱)
・伊作田小学校(手拍子&合奏・合唱)
 学校代表で参加したクラスだったり、全校生徒での演奏だったりと様々でした。

「こけけホール」にやってきた

 会場は、日置市東市来文化交流センター。通称「こけけホール」。地方の多目的に使用される会館ですが、響きの良いホールとして名前を聞きます。
 東市来のこの地域は、愛称として「こけけ王国」と呼ばれることがあります。いろんなところで「こけけ」の文字を目に。そんな私は混声合唱団「こけけ」の指揮者。こちらのこけけは鹿児島弁の「こっちにおいで」の意味。そんなこともあって混声合唱団こけけを東市来の合唱団だと思っておられる方がたまにおられますが、無関係なのです。鹿児島にはふたつの「こけけ」があるんですね。
 こけけの指揮者がこけけホールにやってきた。それだけです。言いたかっただけです。いつかこけけを連れてこけけに来たいですね(ややこしい)。

「校歌」を歌うということ

 どの学校も、全然物怖じせず堂々と演奏してくれたので、それはそれは素敵なコンサートになりました。子どもたちが全力で披露する音楽を、とてもとても楽しませて頂きました。
 どこも素敵でしたが、とても印象に残った演奏をひとつだけピックアップ。
 それは、上市来中学校による「校歌」の演奏。全校生徒20名ほどの演奏でした。
 聞けばこの中学校、統廃合により今年度で廃校になるとのこと。76年の歴史に幕を閉じるのだそうです。

 最後の卒業生・在校生となる生徒たちが高らかに歌い上げる「校歌」。初めて聴く曲なのに、じんと心に沁みて、涙が滲みました。

 「校歌」というのは、その学校に通った・通う子どもたちにとっては当たり前のものとしてそこにある曲。そしてそれ以外の人々は全くと言っていいほど出会うことのない曲。私は職業の特殊さから母校以外の校歌に触れることがありますが、そんなのは例外も例外なわけで。「校歌」を歌えるということは、その学校に所属したことの証。「校歌」はその人たちだけが歌える特別な曲でもあるわけです。
 上市来中学校の校歌は、今年度を最後に公的な場で歌われることがなくなり、歌える人の人数がここから増えることはなく、緩やかに減ってゆくのだと思います。そんな「校歌」を、誇り高く堂々と歌って聴かせてくれた。私が出会うはずのなかった彼らの大切な歌を、聴かせてもらえた。そのことに胸が熱くなったのでした。ありがとう。この「校歌」がいつまでも彼らの胸にあることを願います。

講評しました


 最後の務めは講評。はじめ「15分喋ってください!」と振られた時にはどうしようかと思いましたが、正味8分ほどお話して務めを終えました。東市来の皆さんがこれからも音楽を楽しむために、少しでもお役に立てることがあれば幸いです。

こけけ王国、よかとこ

 知っていましたけど、改めて実感しました。
 日置市、よかとこ。東市来、よかとこ。
 歌ってよし、聴いてよし。お茶もよし。
 お茶も音楽も、ご馳走様でした。ありがとうございました!





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