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こけけ、コンクールに挑むの巻

初めてのコンクール

 2022年8月7日、混声合唱団こけけの指揮者として、第38回鹿児島県合唱フェスティバルの一般部門に出場してきました。
 このフェスティバルは、いわゆる合唱連盟のコンクールの鹿児島県大会。

鹿児島イチ、似合わないだろう

 こけけは、創団14年、ユーモアあふれるステージを得意とする若手の小さな混声合唱団。得意なのは合唱祭。九州大会と全国大会を目指して鎬を削るコンクールの場は鹿児島県イチ似合わないと言っても過言でない、そんな合唱団が、どうしたことか初めてコンクールに挑んだのでした。(実は私も指揮者として出場するのは初めて)

きっかけは「草原の別れ」


 阪田寛夫作詩、大中恩作曲「草原の別れ」。この曲が今年の課題曲になったのです。そのことを知った指揮者の私が「やろうよー」とワガママ言ってみたら、思いがけずみんなも乗ってくれたのでした。
 「草原の別れ」は、私にとって特別な合唱曲。私が青春を捧げた鹿児島大学混声合唱団ポリフォニー・コールが、その昔、大中恩先生から直々に楽譜を頂いた曲と伝えられており、代々大切に演奏していた楽曲なのです。私の所属していた頃は、常任指揮者の鎌田範政先生があたたかく指揮してくださる、定演の定番曲でした。先生のつくる「草原の別れ」が大好きで、いつかあんな風に演奏したいという憧れをずっと胸に秘めておりました。

大中恩作品に触れる


 自由曲に選んだのは、同じく大中恩作曲の「鬼の子のうた」より「つの」と「ふんどし」。鬼の子の目線で語られた宮沢章二のテキストが何ともかわいい楽曲。「なんでつのが生えた?」「虎のかわのふんどしはおふくろがくれた」などと歌うわけです。かわいいでしょう。
 コンクールですから、シビアに審査して頂く場に似合う楽曲をもちろん選ぶものですが、それでもこけけのキャラクターに似合うもの、みんなが喜んで歌えるものを懸命に探し出会った楽曲でした。しかも大中恩作品。こうしてこけけは、大中恩先生の世界に向き合うことになったのでした。 

壁は高かった

 県大会の一般部門は4団体が出場、うち3団体が九州大会への推薦を得られるということで弱小我々にもチャンスがあるかと思いましたが、結果は4位銀賞。初チャレンジで超えられる壁ではありませんでした。私たちは、失うものは何も無い!と開き直って大好きな曲を精一杯演奏しただけでしたが…いざ結果が出るとちょっと悔しく思うものですね。先輩方の壁はまだまだ高い!

忘れられない一歩に


 きっと粗がたくさんあったのだと思うのですが。
 こけけのみんなと、大好きな楽曲を、ここまで育ててもらった宝山ホールに響かせているということ、そして審査員の先生方とお客さまに聴いて頂けていることがとてもとても嬉しくて。とても楽しく演奏することができました。

 まさかこけけがコンクールに出場する日が来ようとは。コロナ禍で小さくないダメージを受けたけれど、懸命に耐えて、新しい仲間を迎えてこの日を迎えることができたこと。嬉しくて、楽しくて、私はこの日のことを忘れないと思います。私にとって、そして合唱団にとっても、我々の歴史に残るであろうステージでした。


挑んだから得られたもの


 頂いた結果と講評から、私たちの合唱に何ができて何ができないのかを知ることができました。私個人の反省もとてもたくさん。未熟さを突きつけられることは苦しくもありますが、全てコンクールに挑んだからこそ得られたもの。ロベルト・バッジオも言っていたじゃありませんか、「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」とね。せっかくたくさんのものを得たのですから、胸を張って受け入れ、これからの糧にしたいと思います。

ありがとうございました


 様々な感染症対策を講じながら開催してくださった鹿児島県合唱連盟の方々、演奏を受け止めたくさんのアドバイスをくださった審査員の先生方、お聴きくださったお客様、支えてくれた妻と息子、そして共にチャレンジしてくれたこけけのみんなに心から感謝しています。ありがとうございました!


 
 

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