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街歩き

今回のテーマ:私の一押しニューヨーク
by 茂山薫子

 ニューヨークに来る前と来た後で印象が大きく変わったことが1つある。それは、「ニューヨークは『世界最高のもの※』が集まる世界一の都市である」ということ。間違ってはいない。ただ、来る前は「ニューヨークは世界で最もレベルが高い・質の高いものが集まってくる場所」だと思っていた。でも実際にすんでみて、その印象が変わった。最近思うのは、「ニューヨークには世界一を目指して様々なレベルのものが集まり玉石混交、レベルの高いものから劣悪なものまで、有象無象にひしめき合っていて、その中で何か一角尖ったものがあり抜きん出るものが世界一とされる」のではないかな、ということだ。ニューヨークに来る前はアートでも食でもビジネスでも、どんなジャンルにも「世界一」とされる1つの正解やセオリーのようなものがあって、あらゆるジャンルにおけるその「世界一」がニューヨークには集まっているのだと思っていた。でも今は、①どんなジャンルでも自分が世界一だと思うものを持ち込み挑戦したい猛者たちがニューヨークに日々乗り込んできて思いのままにやる②それを許す土壌がニューヨークにはある③だからこそ制限を受けずに自分の道を追求して抜きん出ていく人がいる(ことがある。通用しなくて沈んで二度と浮き上がってこない人もきっとそれ以上にいる)。④そういった環境が「世界一」をニューヨークから生む背景になっているのじゃないか、と感じる。

 あくまで私の感じたことであって、私以外の人が同じように感じているのかどうか、わからない。むしろ人それぞれ違う印象を持っているのではと思う。とにかくニューヨークには一言で定義づけられない様々なものが詰め込まれていて、だからこそ切り口が違えば見え方が全然違う、いくつもの顔がある。そんな気がする。
※ここでいう「もの」は、商品やサービス(=物)はもちろん、実際には様々な技能やそれをもつ職人・アーティストなど人(=者)も含めた意味で使っている。

 そんなニューヨークでの私の一押しは「街歩き」だ。「え、世界一の都市で街歩き?」「もっと何かあるでしょう?!」と思ったそこのアナタ。それが一番、「貴方にとっての世界一」を見つける近道なのです。

 先ほども書いた通り、ニューヨークには簡単には言い表せない程、様々なジャンルのものがとにかく集まっている。中には本当にひどいと感じるものもあるが、それはきっと他の誰かから見たら最高と評価されるものだったりするのだと思う。それだけ多様な価値観が共存している。だからこそ誰が、どんな価値観を持った人がきても、自分の好みにフィットするものを掘り出せる可能性がある場所なのだ。

 私はというと、特に「かわいいもの」と「建築」には目がない。例えば「かわいいもの」。カラフルなものとキャラクターものに弱い私は、
 
パッケージにドゥーボーイが描かれた商品を見ると買わずにはいられなかったり、

クリスマスシーズンには街角でコスプレしたベビーヨーダに出会えたり、

ブライアントパークのクリスマスマーケットでアルパカ毛100%のアルパカのぬいぐるみに出会えたり、

ユニオンスクエアのクリスマスマーケットで手作りのオーナメントに目移りしたり、

クリスマス一色のイータリーでカラフルなパネトーネのパッケージに写真を撮る手が止まらなかったり、

クリスピークリームのポップなマグ、量販店で無造作に積まれるスタバのマグ、マディソンスクエアで夜中に光るゴディバのハート型ディスプレイにときめいてしまったり、

アンスロポロジーで見つけたキャンドルのデザインに一目惚れしたり、

ライラックチョコレートのクマ型チョコによだれが出たり、

チェルシーマーケットでは雑貨のディスプレイのセンスに惚れ惚れしたり、

グッゲンハイムのミュージアムショップでは1本で何色も楽しめるマルチカラーなクレヨンに手が伸びたり、

老舗本屋のバーンズアンドノーブルに平積みされた名作文学たちの装丁にキュンとしたり、

その他、日々「なんでしょう、この可愛い生き物は?」と思うイラストやキャラクターに出会えたり、

 
などなど、挙げるとキリがないぐらい街を歩いているだけでたくさんの「かわいい」に出会うことができる。私の偏愛に耐えうる沢山の「かわいい」が街中に溢れている、そういう意味でニューヨークは私にとって世界一だ。貴方にとっては「え?それの何が楽しいの?」と思うものがあったでしょう?大丈夫。私とは違う貴方の偏愛に応えるものも、ニューヨークには沢山散りばめられている。

 とにかくどんなものでも沢山あるだけに、ただ漫然と街を歩いているだけでは何も見つからないのではないかと思う。逆に、「自分はこれが好きなんだ!」「このジャンルでニューヨークでしかお目にかかれないもの、出会えないものに会いたいのだ!」というアンテナを張って歩いていると、街を歩いているだけでかなりの確率でお目当てのものが目に飛び込んでくるはずだ。ぜひそんな貴方ならではの「世界一」を探す街歩きをニューヨークで楽しんでほしい。

プロフィール:
茂山薫子 東京暮らし33年。それなりに学校に行きそれなりに社会人をしてそれなりに幸せだったけど、幼少期からの夢があきらめきれず急に渡米。自分も周りもまだ驚きが冷めやらぬ中、日々ニューヨークの楽しさと厳しさを噛み締めながらマンハッタンの片隅で生息中。

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