食べてお得なハッピーアワー
今回のテーマ:ハッピーアワー
by 福島 千里
GWが過ぎ、日本では本年度の旅行ピークシーズンに一区切りがついたころだろうか。久しぶりの海外旅行。アメリカを訪れた人なら、現地での物価の高さ(加えて円安)をさぞかし実感されたかと思う。物価高騰にうんざりしているのは地元住民も同じ。そんな中、現地でぜひ活用していただきたいのが、ハッピーアワーだ。
ハッピーアワーとは、バーやアルコールを取り扱う飲食店が、一定時間(通常、平日の午後4時~午後6、7時までの時間帯が多い。お店がまだ比較的空いている、ディナータイム直前の時間帯)だけドリンク各種を格安で提供してくれるサービス。なんでも昔の米海軍兵士たちの間で「ハッピーになれる時間」という意味から今もそう呼ばれているそうだが、そのへんの真偽は定かではない。
何はともあれ、このお安くアルコールが楽しめる時間限定のハッピーアワーは、アメリカはもとより、欧州でもポピュラーな酒文化の1つとして浸透しており、街中を歩けば必ずと言っていいほどハッピーアワーの看板が店頭に掲げられている。
ほぼ酒が飲めない私にとって、この文化はあまり意味がないものに思われるだろう。が、実はそうでもないのだ。なぜなら、安くなるのはアルコールばかりではなく、おつまみなどの料理も含まれることが多いからだ。私はほぼ下戸だが、なぜか酒のつまみは大好きだ(特に塩辛いの)。よって、私はハッピーアワーではいつもつまみを楽しむことに全力投球している。
例えば生牡蠣。
著名オイスター・バーなどで、ディナータイムには1つ3~4ドルはする牡蠣が、この時ばかりは1ドルちょっとで楽しめることもある。小ぶりなくせにお高いラムチョップの赤ワインの煮込みが1皿(2切れ)たった5ドル、なんてこともある。他にもモッツァレラチーズをサクサクの衣でフライしたものや、シーズニングの効いたフライドポテトなんかもいい。夏場はワカモレたっぷりのさっぱりタコスも良いだろう。これらのメニューは本来、おつまみなので、量的には控えめだ。が、小皿料理をいくつか頼めば、それだけでなんとなくバル気分も味わえるし、酒が飲めない人でもそれなりにバーの雰囲気を楽しめる。
英語のサイトで申し訳ないが、将来の旅人のために、一例としてそのリンクを貼っておこう。*なお、情報は2023年5月時点のもの。実際に旅行する時は必ず事前に確認を。
加えてこのハッピーアワー。昨今は何も酒が飲める店だけが実施しているわけではない。”客の往来が比較的少ない時間帯”は、バーのみならず、レストランやスイーツショップにも存在する。ファストフードやチェーンレストランになるが、そうした店でも時間帯によって割引メニューを提供しているそうだ。
テレビやネットでNYの狂った物価高がしばしば話題になるご時世だが、地元の庶民はそれなりに日々のグルメを楽しんでいる。もしNYを旅する際は、大酒飲みも下戸もぜひハッピーアワーを活用してみてはいかがだろう。時間がフレキシブルな旅行者なら、地元民よりもきっと確実に人気店にもたどり着けるだろう。
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◆◆福島千里(ふくしま・ちさと)◆◆
1998年渡米。ライター&フォトグラファー。ニューヨーク州立大学写真科卒業後、「地球の歩き方ニューヨーク」など、ガイドブック各種で活動中。10年間のニューヨーク生活の後、都市とのほどよい距離感を求め燐州ニュージャージーへ。趣味は旅と料理と食べ歩き。園芸好きの夫と猫2匹暮らし
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