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私的に満足できる医療とは

今回のテーマ:医療
by 阿部 良光

「Covidですね。今のご時世、そう考えるのが自然でしょ?」 2020年4月、微熱のみの症状でテレ診断を受けた時の医者のお言葉。

「簡単に済んでラッキーだったわね!」 そして5月にも同症状で再受診時の更なるお言葉。

この時分はコロナに関する知識など専門家さえもがあまりなく、ハイリスクグループとカテゴライズされた我々年寄りグループは、知人で逝去された人もいて結構心配だった。患者はなんらかの安堵や”後押し”をも求めて医者に行くもの。 微熱が出たり収まっただけの症状でこの診断は、本当にビビった、というより憤慨した。

友人のカイロプラクティック・ドクターは、「絶対に違う。散歩して太陽の光を浴び、ビタミンCを補給すれば大丈夫」とサプリと食料を運んで来てくれた。彼が正解だった。 2週間後くらいで微熱も治まり、抗体検査に行ったら当然と言えば当然の陰性反応。この時の検査時の医者は「その年齢には見えませんね、今の生活を続けてください」とポジティヴな激励。結局はピロリ菌だった。

多くの友人たちが感染して苦しんだりしたと聞きながらも、ワクチンの効果かその時から始めたジョギングと早歩き散歩が免疫性を高めているのか、未だ感染は免れている。 そして徐々に対面で医者にかかる時がきた。Covid以前からだが、医者は相変わらず患者の顔をあまり見ず、コンピューターを見ている時間が長い。データを参考に診断するのは否定しないけど、東洋医学を習った身としては、もっと問診(質問)や聞診(顔色や患者の様子を見る)も大事にして、隠れ潜む愁訴を探ってほしい。データに合わせて症状を決めていくのなら、誰にでもできるだろうと言いたくなる。

もちろん全ての医者がそうではないだろうし、運、不運もあるだろうけど、アメリカでは”良い医者”を探すのはとても難しい。保険などにもよるが、大企業が従業員に提供する良い保険所持者でも、それなりに難しいだろう。 嘘か誠か、その所持保険で請求できる範囲までの処置しかしないという話も聞いたことがある。

11年前、網膜剥離手術を受けた。フリーランスになって保険を持ってはいたものの、何年も病気知らずで運悪く放置したままの契約切れの1年目に起こった。しかし担当医自らがスタッフへ指示し、救済の道を探ってくれた。低収入者が入れる保険や病院が関係している慈善部門への働きかけなど対象外だったが、結局半額は免除された。こちらの収入や銀行預金など、当然提出しなければならなかった。

それでも分業制のアメリカ、ドクターの手術費、麻酔医の費用、看護婦のアテンド費、病院の施設使用費、血液など諸々の検査費など、何処か他所の州10箇所ぐらいから請求書が届く。 医療費が高いアメリカでもNYはその最高峰。入院費1晩で$1500〜$2500などから推し測ってみたら、その総額に予想がつくだろう。$1=100円のレートでも400万円は超えていた。 それでも例えば実費の10分の1で済ませた知人も知っているし、いわゆる”取り立て屋”の電話にめげもせずに払えません、ありませんと粘り続けて結局、支払い能力なしの判断になって払いを免れた人もいると聞く。

かと言って緊急搬入されたにも関わらず、放置されたまま長時間も待たされた話や、無収入者用の保険しか持たず精神科に入院となると、安定剤など種々の投薬を浴びるとの話も耳にした。 考えてみると、自分が満足できる医療とは、医師の確信に満ちた質問への解答と態度だ。費用が半額ですんだことにはもちろん救われたけど、テレ診断の医師に比べ、手術をしてくれた医師の質問に対する答え方が確信をもっていて、こちらが安心するに十分だった。もちろん医師も人間、完全は求めていません。

参考までに、アメリカの医療費に関する興味あるサイトです。




[プロフィール]
阿部 良光
1980年10月自主留学で渡米。しょうがなくNYに住み着いた、”汲々自適”のほぼリタイアライフ。

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