【忠告】
教室でボーとしている冷夏に声をかける。
「おはよん」
冷夏はビクンと体を震わせ振り向く。
「何よ、そんなに驚く事ないじゃない」
昨日、冷夏は彼にあったのかな。
だって、彼が冷夏を見てる。
「昨日、彼と何かあった?」
「え?何が?」
目をぱちくりしてる冷夏。
「何とぼけてるのよ。彼、さっきから冷夏の事見てるよ」
冷夏は視線を私の牛をに向ける。
「彼は、ダメだよ。私が・・・」
よけいなことは言わない方がいいかな。
「気のせいじゃないの?昨日はずーと黙っていただけだよ。」
「ホントに?」
夢でも会ってないの?
夢の事なんて言ってくれる分けないか。
「ほんとだよ」
冷夏は慌てて否定する。
「なぁーんだ。そう言えば冷夏ってば人嫌いだもんね」
あんまり疑っててもしょうがない。
「ね、冷夏これ教えて、今日あたるの」
私は本来の目的に話題を逸らした。
「どれ?」
頭の上で声がした。
ひょいっと顔を覗かせたのは、あの転校生だった。
「教えてくれるの?」
ちょうどいいや。
彼の方を探ろうっと。
「ああ、そのつもりだけど」
「あのね、ここなんだけど・・・・」
・・・・・・。
結局上手く交わされて何も聞き出せなかった。
はあ、収穫無し。
あれから、なるべく2人にしないようにした。
だって、冷夏に何かしようとしてるのは分かってる。
「冷夏、帰ろうよ」
私はいつものように冷夏を誘う。
「あ、ちょっと待っててくれる?日誌を書いて、職員室に持っていくから」
冷夏は黒板を消している。
日誌は私が書いていった。
「日誌は書いてあるよ」
「ありがと、雷那」
冷夏は日誌を持って廊下を出ていく。
「さてと・・・」
私は秋月君の方を向く。
「何?怖い顔して」
秋月君は私を不思議な顔で見つめる。
「冷夏をどうするつもり?」
探って分からないなら、正面から聞くしかない。
「どうする?」
とぼけ顔の秋月君。
「夢の者がわざわざこっちに来るのはどうして?」
秋月君の顔が変わる。
「何の・・・」
明らかにうろたえている。
「とぼけるのはいい加減にして。冷夏は気に入ってるの」
「フゥームだよ。そう言う君こそ何者だい?」
諦めたように、本性を現した。
声が冷たく教室に響く。
「さあね。とりあえず、彼方と同じ異界の者でしょうね」
「だったら、君と僕の目的は同じじゃないのか?」
ククッと口の端をゆがめて笑う。
「同じ?」
「彼女を同じ世界に連れて行く」
!!
それは冷夏の死を意味する。
「そんな事させない」
私はぎゅっと拳を握りしめた。
「僕を消すことは出来ないよ。僕の主は彼女だもの」
やっぱり・・・。
「だったら、夢に行かせないようにするわ」
彼女が望まなければ、行けない。
「頑張ってね」
嫌味たっぷりに彼が言った。
ガラリ
と、冷夏が入ってくる。
聞かれてた?と思ったが
冷夏はぼうっと自分の机に向かった。
「おそーい。何してたの?」
私は冷夏に近づく。
秋月君も私の後ろからついてくる。
「先生に、呼びとめられてて・・・・」
ボーとした声。
「どうかした?元気がないみたいだけど」
そう言ったのは秋月君の方だった。
先に言われた・・・。
「先生に何か言われたの?」
何言われたかは想像つくけど。
「別になんでもないよ」
「そう?気にしてないんだ。じゃ、帰ろ。ハイ、冷夏のかばん」
にっこり笑う冷夏に私は苛立った。
私には何もいってくれない。
誰にも何も言わない。
冷夏は何時だって一人で答えを見つける。
それが寂しかった。
私は冷夏にかばんを差し出す。
「ありがと」
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