見出し画像

「変わる組織」はどこが違うのか? 24

意見を言わない人たち対策 1

 ワークショップは変わる組織の必須アイテムだという話を前回しました。それに習熟することが重要なのですが、そもそもそのワークショップの場で口を開かない人が、日本にはまだたくさんいます。今回は、その原因と対策を考えてみましょう。

私の経験では、原因は大きく次の3つに分かれます。
原因1 思考問題:テーマについて考えたことがないので、何を話せばいいかわからない。
原因2 場の問題:
意見はあるが、差しさわりがあるのでこの場では言いにくい
原因3 コミットメント問題
:意見はあるが、自分の仕事が増えるので話さない

 それぞれについて対策を考えていきます。
 まず原因1です。人間インプットがないとアウトプットできません。英語にGarbage in Garbage out(ごみからはごみしか生まれない)という表現がありますが、原因1の場合、ただワークショップを続けても良いアイデアは生まれようがありません。
「だから、うちには向かないんだよな」という声が聞こえてきますが、そう悲観することはありません。組織が変わる大きな可能性を秘めているかもしれないのです。
 どうするのかって? インプットを促すところからスタートします。解決の材料は、現場(つまり組織の下の方)にあるものます。それを調査・観察・記録してもらうのです。ワークショップは一旦やめて、○○について調べてください、▢△を観察して、こういうフォーマットに記録して持ち寄ってください、と宿題を出します。それができたら、結果を持ち寄ってワークショップ再開です。
 定性的な観察ならそれをKJ法(親和図法)の要領で整理していくと見えてくるものが必ずあります。定量的なデータなら、みんなの前でそのデータを操作して分析を進めていきます。たとえば、パレート分析すると稼ぎ頭がどこかとか、逆に足を引っ張っているのが何かなどが見えてきます。
 通常、こういう分析は上長やスタッフやがオフィスの中でやって現場に指示を下す場合が多いですが、それでは現場が成長するせっかくの機会をつぶしているようなものです。指示に従ってくれればまだ組織は動きますが、そう動いてもくれない。現場には現場の事情がありますからね。上長・スタッフと現場の乖離。そんなことありませんか?
 解決策は、現場の人たちと一緒に分析を行うことです。すると現場の人たちにとって驚きの結果が見えてきて、問題解決の活動を始める動機が生まれるのです。

 私は、このプロセスをORAH(オラー)と呼んでいます。観察(Observe)・記録(Record)・分析(Analyze)・仮説(Hypothesize)の頭文字を取った呼び名です。

考えていない人に考えてもらう手順

  原因1が想定される場合、ファシリテーターは関係者と事前に打合せて、何を観察・記録してきてもらうか考えておきます。それを現場に任せてしまうと前に進まなくなります。
 そして調査結果を一緒に分析し、仮説を実行に移してみる。そしてまたその結果をORAHして次の手を考える。こういうループを回していきます。

 この方法いいところは、言われたことをするだけだった社員が、この過程で考える方法や面白さに気づき、身の回りのことを観察して考え始めることです。手足だけでなく、目と耳と頭を使うようになる。さらに自分たちのアイデアが採用されるとモチベーションが刺激され、自らORAHを回すようになる。組織が活性化するわけです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?