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ビッグマウス


少年の頃は、
わりと大口をたたいた。

自分がまだ幼稚園児だった頃
姉がもう小学生の半ばで、
学校の成績通知表”あゆみ”を
親に見せては
「あーでもない、こーでもない」
と話していたので、
それを目にした僕は
一息ついて
「僕が小学生になったら、
オールAだと思うよ」
と言い放ったのである。

その2年後くらい、、
1学期の成績表を受け取った僕は
おそるおそる中身を見てみた。

「あれ、、なんかBの方が多いかも、、」

家に帰ってから
しばらく成績表のことは
伏せておいたような気がするが、
一息入れてから母親に見せると、
彼女は「まあ、そうよね」
と僕の腹の中を
見透かしたような感じで受け取り、
それからは特に
咎めらることもなかったような。

まあ、小テストの点も良くはないし、
自己アピールもしないような
おとなしい少年は
”B”の方が妥当であろう。


そこからさらに数年後、
小学校高学年へと成長したわけだが、
国語か何かの授業で
”ディベート”という
「文系 vs 理系」のような
テーマが与えられて双方で言い争う、
といったゲームがあった。

このディベートが、
僕には結構ハマった。
小さい頃から姉との口喧嘩を
重ねてきた少年にとっては、
「こんなの、相手チームのエースの
弱点をつけば、一発でしょ」
という感じで”余裕綽綽”であった。

僕がいた6年2組は
成績が優秀な子が多く、
なぜかおとなしい性格の子が
”意図的”に集められたようなクラスで、
僕自身は決して成績トップではなかったが、
無駄に弁だけは立っていたような。


しかし、その後
大人になるにつれ
大学生くらいから
大口を叩くことは
減っていたように思われる。

実現できないことが多いし、
自分で実際に言葉として発してしまうことで、
自分のクビが締まっていくのを感じたからだ。


だけれど、それでも、
「自分でこうやる!」
というように
宣言してから闘う人の方が、
やはり”正義”なのかな
とも思っている。

チキンな自分にはできないから、
依然憧れの域なのかもしれないが。



だから、僕は、
正直に言いたいことを
まくし立てる感じの
HIP HOP を聴いている、
ともいえるのだろうか。







以上

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