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ネタボケライフ30連戦

ウス、とけつだいこんです。きまぐれさんが企画してくださった、ネタボケライフ2691回から2720回までの合計pts.で競争するネタボケ30連戦(便宜上こう呼ばせていただきます)に参加しました。きまぐれさん企画・集計など大変だったと思います、ありがとうございました!
結構真面目に考えてやってた回もあるのに加え、最近私の1年前くらいのネタボケに関する記事(https://note.com/toketoketsu_dai/n/n567bf360e748)がなぜか紹介されるというありがたい出来事があったので、最近はどういう風に大喜利やってるのかを軽く言語化していこうかなと思います。

第1章 企画概要

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https://twitter.com/kimagure2525/status/1384849955848966148?s=20

大体のことはこのツイートに書いているのですが、まとめると
「2691回〜2720回のうちpts.の高い20投稿で合計pts.を競う」ということです(自分は2692回から途中参加して、仕事とかで忙しくて未投稿も割としてしまいました)。

第2章 回答の作り方

最近の自分の回答の作り方について、最初に説明したいと思います。思考の言語化を嫌う人もいると思うんですけど、こういうのを残すのはネット大喜利という文化の発展にも意味があると思うし、他の人の考え方を見てみたいから自分からやっていこうと思っています。それに、私は大喜利を体系的に学べるモノだと思っているので、言語化にはそれだけで価値があります。それではなるべく丁寧に説明します(めちゃくちゃ長くなるけどすみません!)。

2.1 お題の読み解き

 私は大喜利は「お題」があってこそだと思うので、いわゆる「お題無視」の回答は好きではありません。つまり、「お題に沿う」という必要があります。では「お題に沿う」ためにはどうすればいいかというとお題の「要素」を加味する必要があります。「要素」というのはお題に含まれる「回答に加えるべき条件」みたいなことを指します。これはなんとなく分かる人がほとんどではないでしょうか?例えば、「ドラゴンに乗って通勤している人にありがちなこと」というお題があった場合、「ドラゴン」や「通勤」などがお題の要素となります。そして、この要素を回答に加味することを「(要素を)拾う」と言います。
 お題の要素には、どの要素をより拾うべきかという優先順位があると私は思っています。それを分かりやすくするためにお題を「抽象化」することがあります。例えば「アホアホスイミングスクールの先生は、水が怖い子供にこんな言葉をかけている」というお題があったとき、私は「水が怖い子供にかけた言葉」くらいに抽象化します。こうすることで無視できる要素は「アホ」「先生」です。まず大喜利をしている時点で、普通とは違うことをいうので「アホ」は必要ありません。そして、水が怖い子供に声をかけるのはその子を泳がせようとしている人なので「先生」の要素をわざわざ考える必要もありません。このように、お題の「抑えておくべき最小限の要素」だけにお題を抽象化する作業をします。

2.2 ボケの方向性

 まず、回答には「お題に対して適切なボケの方向性」というものがあると思っています。こういうお題に対してはこのようにアプローチできるよね〜、という風なことです。この「方向性」ごとに回答を作るようにしています。本回答を出すために候補回答をたくさん作るのですが、無闇やたらにボケを考えるのではなく、方向性の違うボケをなるべく出すようにしています(言葉で説明されても分かりづらいと思うんで、後で自分の回答に触れながら説明します)。人間は何も意識しないと自分の脳の引き出しの近いところからアイデアを持ってこようとするため、何も考えずに回答を作っている場合、方向性が同じ回答をたくさん作ってしまっている可能性が高いです。
 これらを踏まえて自分が最初にやるのが、とりあえず脳死で一つボケを作るということです。その回答の方向性を後から言語化することで再確認し、その方向性を省いて、また脳死でボケを作ります。いけそうだな思えるボケの方向性が出るまでこれを繰り返します。「脳死でボケる」というのは、さっきと真逆のことを言っているようかもしれませんが、ボケの方向性から回答を考えていく、というやり方も以前はやっていました。その頃の考え方を書いている記事があるので2つ紹介させていただきます。
『ネタボケ日記(第2500回)』(https://note.com/toketoketsu_dai/n/n567bf360e748
『ネタボケ日記(第2456回)』
https://note.com/toketoketsu_dai/n/n4f65449e559b
上の記事については、嬉しいことに結構読まれてて、実際に読んで1位を取ったとの声をいただいたりしているんですけど、回答の作り方について詳しく手順を追って説明しています。そして、下の記事については、あまり読まれてはいないのですが「ボケの方向性」についてはかなり分かりやすく書かれているのではないかと思われます。この方向性は本当に自分の中では重要なものなので、もしこの時点であまりイメージが湧かないという方がいましたら目を通していただけると今後の説明が分かり良いかと思います。
 話は戻りまして、どうしてこの「ボケの方向性」から考えて回答を作っていくという方法をやめたのかというと、
・単純に労力がかかる
・そうしなくても今まで必要だったことができるようになった

からです。こういうボケの方向性を最初に考えて回答を作るより、回答を作った後にこれがどういう構造になっているのかを言語化する方がはるかに楽だと気づきました。しかしそれを可能としたのは、自分が2年弱ネット大喜利を続けたことによるある程度の量のインプットとアウトプットです。このインプットとアウトプットの積み重ねが「それなりの回答を脳死で作り出す」ことを可能とし、方向性を言語化することに「意味」が生まれます。そういう積み重ねがないまま、脳死で回答を作っても、その回答の方向性(お題へのアプローチの仕方)が正しいかが分かりません。正しくもないアプローチを言語化してもなんの意味もないのでこれにはある程度の経験が必要かと思われます。正しいとか正しくないというのは、点をもらえる発想であるかどうか、ということです。積み重ねがない場合、脳死で回答を作ると確固たる方向性が入っていないボケができてしまう可能性があるので、ボケの方向性から意識的に作った方が無難ですね、と言うだけの話です。3分大喜利みたいな瞬発系の大喜利を「考えながら」沢山やったり、先述した記事(https://note.com/toketoketsu_dai/n/n567bf360e748)のような「方向性を考えてから回答を作る」というようなことを反復していたら、深く考えずに意味のある回答をなんとなく作れるようになると思います。まだ経験が浅いという方は、単純にボケの方向性から回答を作っていけばいいと思うので、第2500回の記事を参考にしてください。最終的にやることは変わらず、より簡単にできるようになったから今は別のやり方をやってるというだけです。繰り返しになりますが、このように様々なボケの方向性を出して、この方向性おもしろい!となったら、その方向性に絞って、いろんなボケを出してみます。そうしないと、そもそもその方向性がダメだったらどれだけ考えても面白くするのは難しいと思います。

2.3 回答の具体化

 ここでは、上で決まったボケの方向性をベースに、その方向性のより良いボケを練り上げるという作業のやり方について説明します(もちろん私が実践してるだけでこれが正解のやり方!というわけではないですからね)。
 私自身でも説明しますが、おうかさんがこの「具体化」について実践している記事がありますので紹介しておきます!
『大喜利八国志 -ツボ上げ・振り返り-』
https://note.com/oukalog/n/n2b3724e47266
ここでは、後々この記事でも出てくる「ズラし」というテクニックについても解説されているので読んでみるとイメージつきやすいと思います!

2.3.1 シチュエーションの切り取り

 ボケの方向性を壊さないようなシチュエーションの切り取りをします。これはめちゃくちゃ簡単にいうと、「あるある」です。ボケの方向性をいかせそうな、お題に関連のある「あるある」を探します。しかし、厳密にいうと、お題に関連のある「あるある」を探すのではなく、関連させられそうな「あるある」を探します。
 どういうことかというと、あるあるをそのまま回答に組み込んでも、その回答はあるあるでしかなく、大喜利の回答としてはイマイチ評価されづらいです。ネット大喜利では、おかしな発想だったり、純粋に笑える発想が求められる場合が多いです。つまり、そういう場では「あるある」のようなただただ共感性が高いだけの回答というのはニーズに沿っていないのです。別の角度から見てもただのあるあるを回答に組み込むべきではない理由は挙げられます。そのお題に直接的に関連するだけのあるあるというのは、少し大喜利を続けると、意外と簡単に見つけられるようになります。むしろ、真っ先に思いつきます。これが何を意味するかというと、自分以外の回答者も同じことを思いついているということです。大喜利は発想の勝負なので、回答が被るというのは致命的です。つまり、あるあるを探すにも工夫が必要なのです。
 この工夫は多分色々パターンがあると思いますが、何個か紹介すると、
・まだ言語化されていないあるあるを探す
・みんなが知っているあるあるをズラす
・みんなが知っているけど、そのお題で関連してなさそうなあるあるを探す

などが挙げられます。
 「言語化されていないあるある」というのは、こういうことあるけど、こういうことがあるあるだよねってことはまだ誰も言っていない現象のことです。これは、単純に普段からの観察力とかが必要になってくるのでそういうのが得意な人にはかなり向いたやり方です。
 次に、みんなが知っているあるあるをズラす、というやり方ですが、「ズラす」について説明します。これは、「正常な状態(またはそれに準ずる状態)からそうじゃない状態にする」です。ちょっと例を出してやってみます。「校長先生の話が長い」というあるあるがあると思います。この状態が今正常な状態ですが、これをそうじゃなくします。
・校長先生のお母さんの話が長い
・もうすぐ死ぬ校長先生の話がまだ長い
・校長先生の話が終わったら全員下校してた

どれも、正常な状態ではなくなっていると思います。こういう風に元あるものをちょっとイジって変な状態にしてあげることを「ズラす」と言います。ただ、この言葉はもしかしたらそれほど一般的なものではないかもしれないので、「こういう概念があるんだ」というくらいに理解してもらえると幸いです。「崩す」なんていう言葉もあるんですが、おそらく似たようなもので、もしかしたら「崩し」の中に「ズラし」が含まれているかもしれません。単純に元ある状態の一部を改変するというイメージなので「ズラす」という言葉が使われているんだと思います。話は戻りますが、このように、みんなが知っているあるあるをズラすという方法が、回答に組み込むあるあるを探す際の工夫のひとつになります。
 そして、みんなが知っているけど、そのお題に関連してなさそうなあるあるについてです。これは、例えば「こんな学校は嫌だ」というお題があったとき、学校に関連しないようなあるあるを無理矢理回答に使う。という手法になります。これをするときにもズラしだったり、他のテクニックだったり、色々必要なのですが、最初に

お題に関連のある『あるある』を探すのではなく、関連させられそうな「あるある」を探します。

と言ったのは、これが理由です。直接的には関連していないんだけど、どうにかしたら使えそうだな、というあるあるを引っ張ってきます。これが被り防止にかなり効いてきます。採点者からはその回答を考えるときに通る思考のルートとしてはあんまり一般的じゃないように見えるので工夫をしている、と思わせることが期待できます。
 この3つのやり方以外にもシチュエーションの切り取り方についてのやり方はあると思います。ただ、あるあるというのはネット大喜利をしている人もそうでない人もとっつきやすいと思うので、このシチュエーションの切り取りという概念を意識したことがなかった人にはまずお勧めしたいかな、と思います。

2.3.2 お題との距離感

 ある回答が、お題から「遠い」とか「近い」と言われているのを聞いたことがあるかと思います。ネット大喜利をしていたらちょこちょこ話に上がるフレーズです。回答には、お題との「距離感」というものが存在します。これは概念的であり、各人にそれを感じる個人差もあります。ですので、かなり言語化しづらいのですが、今回は私にできうる限り丁寧に、その言語化に挑戦したいと思います。
 まず、お題の要素について考えます。その回答のお題に対する距離感というのは、この要素の拾い方で決まると言っても過言ではないと思います。「要素を拾う」と言ってきましたが、どのようにして要素を拾うかというと、(みなさん当たり前に分かってると思いますが、)その要素から連想できるワードやフレーズを回答に組み込みます。「こんな先生は嫌だ」というお題があった場合、拾うべき要素は「先生」がメインになってきて、要素の拾い方としては「黒板」「指導」「呼び出す」など、無限に挙げられると思います。しかし、よくよく考えると、その連想できるワード・フレーズには、そのお題との「関連度」があるのではないでしょうか?お題の要素とどの程度の関連度で要素を拾っているか、というのを「距離感」と言うのではないかと思います。つまり、「(距離感が)近い回答」というのは関連度の高い拾い方をしていて、逆に「遠い回答」というのは関連度の低い拾い方をしている回答を指します。
 長々と「距離感」を言語化したわけですが、距離が近い、遠いだけではなく、もう一つ次元を増やして回答を作ろうよ、というのが私のやり方です。もう少し説明すると、その「距離感」を数値化しています。もちろん絶対的な値ではなく、なんとなくの経験に基づく自分なりの数値化ですが、そのワード・フレーズがお題の要素をどの程度拾えているのかというものを数値化しているということです。例えば、「先生」に対して、「指導」はほぼ90~95%クリアしていると思います。しかし、「スリッパ」は50~60%程度しかクリアできていないワードです。しかし確実に要素を拾えてはいます。これが0%でない限りは、お題無視とは言わないと思います。便宜上、このどの程度お題の要素を拾えているかというパーセンテージを「クリア率」と呼ばせてください。そして、厄介なことに、このクリア率は経験や普段から意識しているかどうかで認識できる範囲に差が出ると思います。例えば、ネット大喜利を始めたばかりの人はクリア率を70%ほどまでしか認識できないかもしれません。それより低くなってしまうと、そのワードがお題の要素を拾っているように感じず、「意味がわからない回答」に見えてしまいます。これが、ネット大喜利を始めたばかりの人が上位の回答をみても意味がわからない・全く面白くないと感じる要因の一部であり、経験などによってこの認識できるクリア率が向上することがあるため、ネット大喜利を続けるとだんだん上位の回答が面白く感じてくる、ということが起こりうるのだと思います。
 という前置きをした上で、私が回答を作るときに考えているのはこのクリア率を「回答全体で」どのくらいにするかということです。例えばクリア率90%のワードを使った回答はそれだけで「お題に沿っている」と思われます。そして「お題に近い」と言われる可能性が高いです。しかし、回答に組み込むワードやフレーズは決してひとつだけではありませんから、クリア率というのは合算することができます。クリア率30%のワードを3つ組み込んで回答を作ると、同じく回答全体ではクリア率90%になり、「お題に沿っている」と思われます。しかし、おそらくですが、その回答は「遠い回答」と言われるのではないかと思います。その回答がお題に沿っているかを判断されるのは「お題の全体のクリア率」で、近いか遠いか判断されるのは「ワード・フレーズひとつひとつのクリア率」ではないかと思われます。
 ネット大喜利では様々なサイトがありますが、そのサイトごとにどのような回答がウケるか、というのが少しずつ違います。そして、その「ウケるかどうか」の指標の一部となっているのが回答のクリア率ではないかと思っています。例えば、ネタボケライフだと全体のクリア率が70~90%の回答がウケやすいと思います。他にも様々なサイトもありますが、ネタボケライフはクリア率が比較的高い回答がウケるイメージです。では、一つのワードやフレーズで大きくクリア率を稼いで回答を作るのと、低〜中程度のクリア率のワードやフレーズをいくつか組み込むことでクリア率を稼ぐ回答は何が違ってくるのでしょうか?それは、さっきも言ったように、認識できるクリア率に個人差があることがポイントになってきます。
 ネット大喜利に馴染みがあまりない人にとって、低〜中程度のクリア率というのは認識しづらい場合があります。そう言った場合、自分の中では全体のクリア率が80%とかになっていても、そういう人たちにとっては40%くらいにしかなっていない、ということがあります。そしてクリア率の認識が低い人たちは当然、高いクリア率の回答を好む傾向にあるので、その回答が評価される可能性が下がります。つまり、クリア率を小分けにして作り上げた回答というのは見る人によっては、かなり評価が分かれてしまいます。逆に、高クリア率のワード・フレーズをひとつ入れておけば、それがお題に沿っていると誰でも認識できるため、万人に評価されやすいです。じゃあ、高クリア率のワードをぶち込んどけば無難じゃねえか!と思うかもしれませんが、単純にそうとは言い切れません。最初の方に言ったように、クリア率の高いワードというのはお題に深く関連しているワードであるということなので、要素を拾おうとしたときに多くの人が思いつくアイデアである可能性が高いです。その場合、発生するのが「被り」のリスクです。ネット大喜利では、回答が被ることをかなり嫌がられます。ワードが被るだけでも、多かれ少なかれマイナスの印象は持たれるでしょう。つまり、そのような「タブー」がある限り、高クリア率のワードやフレーズを使うのにもリスクは伴います。ですから、私はそのサイトによってここではどういうクリア率で回答を作ればウケやすいかな?みたいなことを考えています。もちろん、それを考えたからと言って、じゃあもう安心!滑ることはない!というわけではありませんが、そういう風に指針を作ったりはします。低クリア率でも伝わる人が多そうなサイトだったら、クリア率を小分けにする回答も考慮に入れますし、それが無理そうなサイトであれば高クリア率のワードから回答を考えたりします。高クリア率のワードやフレーズを使うときに気をつけることは、なるべく他の人が見つけてこなさそうだけど、クリア率が高いものを探すということです。これは多分得意不得意があると思いますが、まあ心構えくらいの感じですかね。ガッツリ被ることもたまにあります。

2.3.3 具体化の実践

 具体化の実践といっても、実際に回答を作って見せるというわけではありません(それは以降の第3章でやるので第2章だけだとイメージつきづらい人は是非読んでみてください)。
 「シチュエーションの切り取り」と「お題との距離感の考え方」これをどのようにマッチさせて回答を具体化していくのか、という話をしたいと思います。
 まず、順番についてなのですが、実のところこれはどっちが先でもいいです。というより、どっちが先のパターンもあります。
 シチュエーションの切り取りからする場合、あるあるなりなんなりから、回答に使えそうなシチュエーションを考えます。そのあと、そのシチュエーションを言語化するときに、どのようなワード・フレーズを使おうかということをクリア率を気にしながら考えていくという流れになります。この手順だと、回答に納得感が生まれやすくなると思います。ボケの方向性に合うシチュエーションをダイレクトに考えているので、無理のない回答になりやすいです。ただ、シチュエーションまで固定してしまうと使えるワードがその分限られてくると思うので、クリア率を意図的に操作するのが難しくなってきます。
 逆に、お題との距離感がいい感じ(クリア率とか)のワード・フレーズから考える場合は、そのワード・フレーズを使えそうなシチュエーションを考えることになります。この手順だと、とりあえずお題に対するクリア率を意識してワードを選べます。しかし、ボケの方向性に加え、使うワードも固定されると、お題にマッチするシチュエーションを見つけるのがかなり難しくなります。
 これらはその時の気分とか、得意不得意とかがあるかもしれません。クリア率と、回答が生み出す納得度、どちらが重要視されるフィールドなのかで変えるといいかもしれません。ちなみにこれは私はあまり意識しておらず、後者のワード・フレーズから考える場合が多いです。シチュエーションを見つけるのが難しいと言いましたが、とにかくクリア率がいい感じのワードを持ってきて、それを使えそうなシチュエーションを考えて、ボケの方向性に合致しているかを確かめる、というような作業を脳内でたくさんしています。なのでボツのアイデアがたくさん脳内で生まれるイメージです。メモに書くのは「回答として成立しているもの」だけなので、このように脳内で大量に生まれるゴミは書きません(ガチの大会とかなら考えのヒントにするために書く時もあります)。
 そして、最後に、後から気づいたんですが、方向性をとにかく出している途中でいい感じのワード・フレーズを思いついた場合、そのワードを使って方向性出しと具体化を同時並行でやっているときがあります。この状態は非常に複雑なのであまりいいやり方ではないのかもしれませんが、時間がない時とかにやっちゃってるかもしれませんね。

2.4 回答の作り方まとめ

 以上が、私が回答を作るときに大きく考えている3つのことです。他にも細かいことはありますが、太い指針としてはこの3つかなと思います。まとめると、

①お題を抽象化する(拾うべき要素を取捨選択)
②とにかく色々な方向性のボケを出す(いいボケの方向性を探る)
③方向性を元に具体化する(シチュエーションの切り取り、クリア率意識)


このようになります。あくまで私がこういう風にやっているというわけで、これが正解というわけではありません。なので異論は認めるし、真似しろとは全然思っていません!でも参考にしてもらえたらそれはそれで嬉しいです!

第3章 回答の振り返り

それでは、本当に長くなりましたが、30連戦で出した実際の回答を振り返るとともに、どのようにしてその回答を投稿するに至ったのかを説明していきたいと思います。第2章でまとめた、回答の作り方についてもの実際のお題と回答を用いて具体的な考え方を示しているのでよかったら気になる回だけでも読んでください。

第2692回(新入社員の自己紹介)

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いきなりお題と結果を貼ります。
お題についてですが、「君明日から来ないで」と上司に言われた新入社員の自己紹介です。お題を抽象化しますが、要するに「マイナスな自己紹介」を考えます。
あと少し余談(?)なんですけど、私が言ってることって必ずしも私が0から思い付いたことではなくて、他でもすでに似たようなこと言ってる方もいるかもしれないのでそこはご了承ください。自分なりにまとめているつもりではありますが!

お題の抽象化が終わったところで、とりあえず何も考えずに1つボケ出します。以下に私のメモを晒します。

【「君明日から来ないで」と上司に言われた新入社員の自己紹介】

・ラップで会話するので、意味のない発言もあります
・首が千切れてるのに死ねないんです
・上手に怪我をしていたら、内臓だけが残りました
・おかわり大好きです!
・僕が拳銃のポーズをしたら、伏せてください
・一番になれなきゃオフィスで死んでやりますよ
・みんなから少しずつ貰えば、弁当が一つ増える
・死ぬのは怖くない、怖いのは誰も守れないこと
・人生は選択の連続。どうも新入社員です!
・僕が韓国語で電話してる時は無視してください
・私に似た日本人が来年入ってきます
・私と同じ顔の韓国人が、韓国で有名です
・手首の傷は私の誇りです

基本的には思い付いた順に書いてるので一番上の回答が一番最初にとりあえず出した回答です。
ラップで会話するので、意味のない発言もあります
仕事の場で意味のない発言をするのってやめてほしいし、ラップに意味のない発言があるという偏見を持ってるのが、ラップするのにラップに愛がなくて気色悪いなと思います。
というわけで、一発目に出した回答の構造を言語化して、回答の方向性を再確認します。そして、いけると思える方向性のボケが出るまで別の方向性の回答を出す作業を続け、その後、その「いける方向性」でより良い具体化をするという作業に入ります。
 まあ何個か回答を出したら、やっぱ新入社員なのに偉そうにしてるのが分かりやすくていいかな〜と思いました。あとはどうやって偉そうに見せるかってところなんですけど、新入社員なのに自己紹介で指示だとかお願いだとかをしたら図々しくて偉そうだなと思ったので、自分の自己紹介をした上で、こういう事情だから配慮してくださいね、みたいな回答にしようとしました。そこでできたのが
僕が韓国語で電話してる時は無視してください
なんですけど、韓国人と交流が深いということを匂わせつつ、新入社員のくせにみんなと仲良くしようとする姿勢を全く見せないのがかなり気色悪いのでこれはかなりいいんじゃないか?と思ったんですけど、だいぶ順位悪かったですね。でも別に今見ても面白いと思うので反省しませんけどね。CGIならそこそこは取ると思います。
 でも、ネタボケ30連戦に参加したからには順位も上げなければ、という気持ちはあったので早く今のネタボケの環境を見定めないとな〜ということくらいは考えていたと思います。

第2693回(あり得なさそうな恋の芽生え方)

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 申し訳ないんですけど、没ボケがありませんでした。忙しかったので多分出せなかったんだと思います。
 考えていたこととしては、こういう例文みたいなものがあるお題って結構それに引っ張られる人が多くて、なんなら例文の中のワードを変えただけみたいなボケも多く出るイメージがあります(ネタボケとかだと特に)。それを踏まえると、あえて型にはまらないことをやった方が得するな、という感覚はありました。だから、例文の形をなんとなく残しはするものの、文の意味するところについてはがっつりズラすことにしました。今回は以下の手順でズラしました。
パンをくわえて走ってたらぶつかる
これが「正常な状態」です。基本的な文構造(これはさっきから言ってる「構造」とは違う、ただの文の形のことです)としては、前半と後半に分けられます。「〜したら、〜する」みたいな形ですよね。前半と後半どっちもズラします。
自分が最終的に出したものは
テレビにつば吐いたら綾瀬はるかが喜んでた
です。パンをくわえて走るって恋芽生えのフラグだと思うんですけど、自分はそういうフラグがあえて立たないことを前半に持ってくることにしました。テレビにつば吐くを選んだんですけど、まじで時間がなくてなんとなく手癖でこういうのを出してしまったと思います。あとは無理矢理後半で恋芽生えるか…?くらいの感じに持っていこう思ってました。たまたまですけど、テレビの中で喜んでる人にたまたまつばが命中して勘違いするみたいなボケにできる!と思い付いたのでそれで考えました。誰につばが命中するか明確にした方が面白いように感じたので固有名詞を使うことにしました。なんでそう思ったのかというのは割と感覚っぽいとこがありますけど、だいぶ乱暴なことを前半でしてるので、前半と後半のバランスを保つことをちょっと意識すると固有名詞くらい出さないとパワー負けするかもなと思っていたのかもしれませんね。誰につばかけるか考えてたんですけど、まあ恋するくらいなので可愛い人がいいんですけど、新垣結衣とか有村架純って可愛すぎるんで綾瀬はるかにしました。俺は綾瀬はるか大好きですけど、めっちゃ笑ってる印象あるので理不尽に喜んでると思われるにはちょうどいいくらいかなと思いました。あと、名前にひらがなが入ってるので視覚的な印象が堅くなりすぎないのでいいですね。
 本当は、こういう風に、「ここになんでも入れていいですよ!ボケになるんで!」みたいな部分を作って、それに合うようなワードを後から考えることって自分としてはあんまりしたくないんですけど、時間がないのもあって少し手を抜いてしまいました。入賞したので助かりましたけど。

第2994回(家出娘が帰ろうと思った理由)

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 こういうお題は家出娘は何があったら帰りたくなるかな?という風に当事者意識を持って回答を考えます。面白いことを言おう言おうとすると、お題無視と取られてしまう場合があり、評価が分かれやすくなります。どうすればその現象が起きるのかを抽象的に考え、それをズラしながら具体化するという手順を取ると自然な回答になる可能性が高いです。とりあえず、メモを貼ります。

【家出娘が「やっぱ帰ろう…」と決心した理由】

・海賊がこっちみて笑ってる
・笛の音がないと何すればいいか分からない
・双子は揃ってないと全然喜ばれない
・痴漢されたいなら拳銃は置いてこよう
・序盤で刺青の人と仲良くなってしまった
・お母さんがいないから刺青を入れられた
・いちいち刺青の説明するの疲れる
・刺青についての質問が多すぎる
・好きな刺青をお母さんに入れていい日だった
・お父さんがお母さんに刺青を入れることが決まった
・お母さんで色々な刺青を試す日だった
・今、家族でお母さんに入れる刺青選んでるらしい
・家族みんなでお母さんに入れる刺青選んでるらしい
・家族会議で、お母さんに入れる刺青決めるらしい

さっき当事者意識を〜とか言ってたんですけど、例のごとく私はとりあえず何も考えずひとつ回答を作ります。
海賊がこっちみて笑ってる
という回答ですが、まあ要するに「身の危険を察知する」みたいなボケかなと思います。やっぱりこういう風に後から言語化すれば、どういうボケ方があるかを後付けで把握することができますね。で、今度はこれ以外の方向性でボケてみます。
笛の音がないと何すればいいか分からない
が出てますが、これは笛の音で犬みたいに躾けられてて1人じゃ何も考えられない、という感じですが、端的に表すなら「家族の影響力が強すぎる」みたいなことかなあ?でも、「何すればいいのか分からない」が単純にむこうみずに家出をして途方に暮れてる、「家出あるある」と似たような形になってしまって、文の構造として雑魚い回答に見られそうだからそこまでいい回答ではないですね、何も考えてないからそんなもんですけど、とりあえず違う方向性のボケは出せてますね。
ここから色々回答を考えているんですけど、結構序盤から「刺青」に拘っているのが分かります。なんとなく出した「刺青」がお題に対する距離感としてかなりちょうどいい感じがしました。「自分の刺青について言われるのが鬱陶しい」感じのボケを考えてましたが、自分以外が刺青してて、それをプラスに感じてるのかなり面白い気がしました。普通、刺青の怖い人を見かけたとか、自分の刺青のせいで白い目で見られる、みたいなマイナスな理由で家出をやめるだろうと思ってたんですけど、プラスの感情で帰りたい!って帰る方がみんなやらないだろうし、刺青をプラスの感情にできればかなり変な回答ができると思いました。結果、「家族に刺青を入れるイベントに参加したい」という感じのボケを思いついて、これはいけると思いましたが、
家族みんなでお母さんに入れる刺青選んでるらしい
という回答になって、結果は57位でした。もう少しいけると思ってました。「らしい」なんかで文を締めると回答が弱々しくなってしまうのであんまりしたくなかったんですけど、主語が自分じゃない上に言い切りの形にしたら、どういう状況なのかパッと理解できないのではないかと思って、LINEとかでそういう楽しそうなことやってるのを知った感じを出すために「らしい」を入れました。順位的にはそこそこって感じですけど、まあ自分的にはそんなに嫌いじゃないのでいいです。

第2695回(水中でしか生きられない人の楽しみ)

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お題の抽象化をします。
水中でしか生きられない人間の唯一の楽しみ

水中でできそうなこと
こういうお題だと、「楽しみ」から考える人もいると思うんですけど、もちろんそれもいいと思います。でも私は、「楽しみ」も意識して拾っていこうとはあまり思いません。なぜなら、お題に「楽しみ」と書いてあると採点者は「楽しみ」の回答があるんだな〜、という先入観を持っているわけです。聞かれたことにそのまま回答するのは質問に対する返答でしかないので、大喜利というのはどっかの部分で「変」なところを作るのが普通だと思います。お題に「楽しみ」という先入観があれば、「楽しみじゃないこと」を書くことで、必然的に採点者からは「それが楽しみって変だな」と思われます。なんと、「楽しみ」を無視するだけで大喜利をすることに成功してしまうのです。こういう理由で、お題に含まれる「感情」の部分をそこまで意識しないようにしてる場合があります。
 それでは、抽象化が終わったところでメモを貼ります。

【水中でしか生きられない人間の唯一の楽しみ】

・伊勢海老の頭には、少しだけ空気が入っている
・何回もクラゲに刺されて体に絵を描いてる
・太ももでクラゲに絵を描いてもらう

 あまり没ボケがありませんね。2つめでクラゲを出して、このワードでいけると思った痕跡がありますね。お題を抽象化した時点でかなり簡単なお題になったので、ボケの方向性とかをあんまり考えず、距離感で勝負することにしたんだと思います。水中でクラゲときたらクリア率90%くらいあるので、あとはクラゲに何をさせるかということですが、ここでクラゲの要素出しみたいなことをして、その要素をまた拾っていくという作業をします。シチュエーションの切り取りとかってこういう風にして、偶然「いいじゃん」って感じのものができたりします。クラゲに刺されたらめっちゃ痕がつくんですけど、それで絵を描いてもらうというのを思いついてますね。「絵」がいい感じに「楽しみ」っぽくなってるので結果的に納得感が強い系統の回答になってます。回答のボリュームも多少意識しているのですが、クラゲに絵を描いてもらうだけだと少し淡白かなと思ったので太ももに描いてもらうことにしました。一番描きやすそうですよね。しいて後からボケの方向性を言語化するとしたら、人間が相当いかれちゃってる系、と言ったところですかね?純粋な楽しみというよりは、普通だったら嫌がることとかもプラスの面を無理矢理見つけて楽しんでるという感じ。よっぽど娯楽がねえな!と思わせられるのがいいと思っています。順位悪かったけどな!!(おそらく「クラゲ」は結構被ってると思います。それが分かった上で、それでも面白いと思って出しました。発想被りもあったのかな?)

第2696回(売り上げ最下位のホストの口癖)

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お題の抽象化します。
売り上げ最下位のホストの口癖

ダメなホスト「〇〇」

こういう「売り上げ最下位の」とか、お題の中で中心となるワードを修飾している部分については、なるべく簡単にしたほうがいいと思います(考えやすくなるので)。もちろん、修飾されている中で無視するべきでないワードが入っていることもあるのでそこは臨機応変にすべきですが。今回の場合は要するにダメなホストでいいだろ、と思いました。また、「口癖」ですが、私はもう「〇〇」にしちゃいましたけど、残すのもありだと思います。それは、口癖あるあるみたいなのがあれば、そこからズラして回答にできるからです。私はあんまりそういう引き出しがなかったので、単純に出現頻度が高そうなセリフなら口癖にできるだろ、と思いました。メモを貼ります。

【売り上げ最下位のホストの口癖】

・ベーコンのからあげ
・天井見てるとすぐ時間過ぎるよ
・天井見てるとすぐ時間経つよ

 ベーコンのからあげ結構おもしろいけどネタボケで点をとるようなボケじゃないので出しませんよね。要は、突拍子もないフレーズが口癖だったら売上伸びないだろ、という考え方です。こういう、突拍子もないこと言わせるのはかなり距離感が大事です。今回は30%くらいがちょうどいいかな、とは思いました。まあ、出しませんけどね。
 次に考えたのは、「仕事が嫌い」という方向性です。仕事が嫌いだったら時間が早く経って欲しいと思うだろうから、そういうコツみたいなのを発見していて口癖にしていたら気持ち悪いな、と思いました。一発で出している天井見てるとすぐ時間過ぎるよがかなりよかったのでこれでいくことにしましたが(語呂がもう少しいいと感じたので過ぎるよ→経つよにしましたけどね)、本来であれば「すぐ時間経つよ」を固定して、
〇〇するとすぐ時間経つよ
でちょうどいいクリア率や納得感のフレーズを探すところでした。今回は天井見てるとは自分の中でだいぶ良かったのでそのまま出しました。大会とかならもっと色々出してみてると思います。
 順位はもう少し伸びて欲しかったけど一位とか面白かったしまあいいです。

第2697回(苦情殺到のカレー屋の問題)

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お題の抽象化します。
苦情殺到のカレー屋さん、何が問題

こんなカレー屋さんは嫌だ

大喜利のお題として一番シンプルな形にまで抽象化できました。さっきのお題でもいったけど、「苦情殺到の」みたいな修飾語は余裕で抽象化していいです。これが、「カレー屋さんに寄せられた苦情」とかいうお題だったら「苦情」の要素はある程度必要になってくるかもしれませんが、マイナスのイメージをただ具体化しているだけなので今回はあんまり意味ないです。
 メモを貼ります。

【苦情殺到のカレー屋さん、何が問題】

・全部「カレー①」みたいな名前になってる
・加工されてない木の皿にかなり染み込んでる

 結論から言うと、今回出した回答はあんまり好きじゃありません。これは構造とかの話じゃなく、単純に「自分の中のおもしろ」みたいなところとズレているからです。それでも出したのは、単純に忙しかったからということと、それっぽい回答にはなったと思ったからです。カレー屋さんを拾えるワードとして、「皿」を選びました。クリア率は70%くらいかなと思います。その上で、皿の正常な状態を「皿からカレーが漏れてない状態」とし、それをズラしただけの回答です。「加工されてない」とか「木の」とかで納得感を増していますが、小手先のテクニックですね。順位がそこそこ良くて助かりました。自分が好きじゃない回答をわざわざ出した上に滑ったらマジで後悔します。

第2700回(電車で席を譲ってくれない若者に一言)

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 記念回ですね。たくさんの人が参加したし、50人が採点した特別な回なので、第4章で上位の回答について考察したいと思います。よければ読んでくださいね。
 お題の抽象化と行きたいところですが、結構全体的に意味があるお題だと思うので今回は省略します。では、メモを貼ります。

【老人が、電車で席を譲ってくれない若者に一言】

・お前のこと便座と思うこともできるけど
・私、野良の蛇飼ってますけど
・俺ジジイだから何にでも餌やるよ、お前は死ね!
・俺は虎に餌をやったことがあるジジイだ

 記念回にもかかわらず、メモの量が少ないことを見るとこの時期相当忙しかったように見えますね。理由は忘れました!
 とりあえず出した一発目のボケもかなり弱い回答ですね。ボケの方向性をたくさん出す余裕がなく、「脅しをかける」という方向で回答していくことに決めてますね。クリア率がいいワードから攻めてるように見えます。「蛇」です。これを元に、「餌をやる」というフレーズに可能性を見出してます。あとはこれをどう脅しのシチュエーションに落とし込むかですね。
俺ジジイだから何にでも餌やるよ、お前は死ね!
この回答は優しいジジイもお前には餌あげないからね、というボケだと思いますけど、書き方でなんとかしようとしてますね。このボケは老人が若者を「餌をやる」対象としてみていますが、この視点を切り替えました。
俺は虎に餌をやったことがあるジジイだ
これは、猛獣に餌をやったことがあることを武勇伝のように語り、虎が自分のバックについているぞ、という脅しをかけるジジイです。気持ち悪いと思いました。これはそこそこいけるんじゃないかと思ったような気がします。忙しいのもあってこれを出しましたね。だ→だぞにすることで語気を少し強めて脅し感を高めました。あと、自分のことをあえて「わし」とかじゃなく「俺」にしたのは、みんな一人称をわしにしてキャラクター付けしてくると思ったのであえてやりませんでした。あと、「俺は虎に餌をやったことがあるんだぞ」とかにしなかったのは、あえて客観視してるのが本当にすごい伝説のように思ってそうで気持ち悪いからいいなと思ったからです。結果は32位でまあまあでした。割と王道な感じでボケたわけではなかったので安心しました。

第2702回(最悪なスーパーマーケット)

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 シンプルなお題ですね、抽象化する必要ないと思います。メモを貼りますが、めちゃくちゃ申し訳ないことにまたしても没ボケがほとんどありません。

【最悪なスーパーマーケットの特徴】

・糖尿病のおじいさんがお菓子売り場で泣いてる
・糖尿病のおじいさんが思い出を作りに来てる
・糖尿病のおじいさんが色々思い出して泣いてる

 メモにあるのは、「邪魔な人がいる」という方向性のボケですかね?「おじいさんが泣いている」というフレーズを思いついて、もう無理矢理使おうと決めてる感じですね。あとはその泣いている理由をスーパーマーケットに寄せるんですけど、糖尿病のおじいさんがお菓子売り場で泣いてるが思いついて、これだとストレートすぎる(因果関係が強過ぎる)のでクリア率が高過ぎるような状態になってしまってるなと思ってもう少し因果性を下げることにしました。2個目結構いいけど、ちょっと伝わるか不安で3個目でまた上げにきてますね。今思えば、2個目くらいの方がいいかなーと思いますが、そもそも方向性をもっと挙げてない時点でやる気を感じられませんね。

第2703回(特撮ドラマが予算少ないと思った理由)

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 お題を抽象化します、というより、シンプルに言い換えます。
「この特撮ドラマ、予算少ないんだな」と思った理由

予算の少ない特撮ドラマ
 ネット大喜利始めたばかりの人がやりがちなんですけど、理由お題のときに回答の文末を「〜だから」とするのは特別な意図がない限りあまりおすすめしません。理由という前提で回答しているという認識が採点者にはあるので、わざわざ「〜だから」という必要がないし、少し素人っぽさが出てしまって見るときにちょっとフィルターがかかってしまいます。
 ネット大喜利は文字の文化なので、もちろん回答の「ビジュアル」もかなり重要です。私もかなり留意していることが多いのですが、これは企業秘密とさせていただきます!しかし、ネット大喜利のほぼ全体の共通認識としてあるのは、
・国語の回答みたいな文末の意識は不要
・文を句点で締める必要はない
この2点だと思います。句点を使うのもなんとなく蛇足感が出てしまいますから、これも何か意図がある場合を除いてはつけないことをお勧めします。
 それではメモを貼ります!まじでごめんなさい!

【「この特撮ドラマ、予算少ないんだな」と思った理由】

・止まらないコピー機に5人で説教してる

 一個しかないですねぇ!!でもこれはちょっと自信ありました、自分の中でめっちゃ好きという回答ではないのですが、こういう回答がとるというのがなんとなくイメージできていました。もちろん忙しいのもあったので、妥協した部分はありますが。回答の方向性としては、予算の少なさをどう表現していくか、みたいなことですが「特撮ドラマでありがちなシーンに極端にお金がかかっていない」という本当にストレートな方向性で考えることにしました。
 シチュエーションの切り取りとして、「ヒーローが怪人を倒す」というシーンをズラすことにしました。分かりやすくバカっぽくすればこのお題は取れるなと思いました。
怪人→無機物
倒す→それの下位互換の行為
 このようにズラしていますね。無機物を相手取るとお金ないイメージが簡単に与えられるかなと思いました。あとは、それを「倒す」理由を考えるんですけど、簡単に「故障した〇〇」みたいなのを思いつきました。何を故障させるか考えて、故障しがちってところからコピー機を思いつきました。あとは倒すの下位互換を考えるんですけど、無機物に物理的ダメージを与えるより、お金がかからないことを考えると言葉責めみたいな方が面白いかなと思って「説教する」にしました。予想通りと言ってしまうのは簡単ですが、まあそれなりの順位がとれてよかったです。

第2704回(ドラゴンに乗って通勤している人)

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 お題の抽象化はあまり必要ありませんね。強いていうなら、「ありがちなこと」をどう捉えるかです。ありがちなところから「あるある」を持ってきて、それをズラすというやり方はできそうです。私は、こういう架空の世界のことを問うようなお題のときは、「ありがちなこと」と言われていてもあまりあるあるを意識しない場合が多いです。なぜなら、そもそも架空の世界なので「あるある」なんて出さなくても、「起こること」を書いておけば勝手にあるあるだと解釈してもらえます。誰も知らない世界なので否定のされようがありません。
 そして、本当に申し訳ありませんが、この回はとうとうメモがありませんでした。出した回答もかなり弱いので、方向性としては「ドラゴンを躾けている」みたいなことなんですけど、まじで出す時間がなかったから適当に手癖で出していますね。ごめんなさい。いうことはありません。

第2705回(画像お題)

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 初めての画像お題が来ました。画像お題については、得意な人と苦手な人がいると思います。苦手な人におすすめしたいのが、画像お題を言語化するということです。まず注意したいのが、採点者は画像を細かく見ずに採点・投票するので、画像の細かいポイントでボケるのは避けなければいけません。つまり、画像を言語化するときも、大まかな概要だけを抽出することが必要です。画像お題を言語化すると、勝手にお題が抽象化されますが、ボケの方向性も少しだけ狭める可能性があるのでそれは理解しておいた方がいいかもしれません。
 ちなみに、実際にこの画像お題を普通お題に言語化するとしたら、「数式を見て一言」とか「数学のことばかり考えているおじさん」とかそんな感じになるのでしょうか。とりあえず、メモを貼ります(今回はちゃんとあります)。

・ヨールグルト食べすぎて死ぬ
・お昼には死んでしまう
・キチガイに勉強させるべきじゃなかった
・娘が頭いいと気持ち悪いな
・こんなんされたら娘と縁切るしかないな
・バカと結婚したのに娘が最悪に育ってきた
・消防士は命をかけて住民を守る、俺はこれとうんちをする
・うわーどれから消していこうかな
・俺をxとすると、俺はヨーグルトのせいで死ぬ
・水着を売って金持ちになれるかもしれないぞ
・今年の夏は水着買うことに決定
・消すために書いた
・貧乏なのにこんなことしてていいのかな
・刑務所に行ってたからなんとなく分かる
・こんな子を叩くとどうなるんだろう

一発目に出した回答はヨーグルト食べすぎて死ぬですが、これはクリア率10%もない回答なのできついですね、方向性としては「自分の死因を数式によって導いた」みたいなことです。しょうもない死因であればあるほど賢いのに可哀想と思われていいかなと思いましたが、もう一つくらいこの方向性で考えてますね。お昼には死んでしまう分かりやすくしたつもりですが、これだと、数式と関係なく、「頑張ってるけどお昼には死ぬ」みたいな無情な回答と思われそうだし、あんまり強くない回答だと感じたのでやっぱこの方向性はきつそうです。
 次に考えてるのは、「自分以外が書いた数式を見ておじさんがなんか思ってる」パターンです。これはボケの方向性というよりかはシチュエーションの切り取りかもしれませんね。この方向性で4つ出してますね。
・キチガイに勉強させるべきじゃなかった
・娘が頭いいと気持ち悪いな
・こんなんされたら娘と縁切るしかないな
・バカと結婚したのに娘が最悪に育ってきた
ボケの方向性としては、「勉強のことを悪だと思ってるこの男が、勉強の痕跡をみて悪態ついてる」感じですかね。対象を娘にすることで理不尽さを出そうと頑張ってます。娘が頭いいと気持ち悪いなに関しては最後まで出すか迷ったんですけど、ちょっと前に出した回答となんとなく被るのでやめとくかーと思って出しませんでした。
 他にも、「数式によってなにかバカっぽいことを導き出す」回答はいくつか考えてますが、あんまりしっくり来てませんね。
・消すために書いた
・貧乏なのにこんなことしてていいのかな

この二つに関しては他と違う感じでボケてます。上はガワをいじった回答です。数式とかあるけど、これを「ただの書いてるもの」として扱っています。スカしっぽい回答かもしれません。下は「学問は富裕層のもの」みたいな大昔の常識を引きずってるという解釈や、単純に「貧乏は勉強してはいけない」という偏見を持っているという解釈ができる回答です。このように、解釈がブレる回答はあんまり好ましくないかもしれません。自分が意図しない形でウケてもスベっても意味がないからです。ただ、自分の中でこういう何パターンかの解釈ができて、どっちで捉えられたとしてもおもしろいと理解して出す場合は戦略的でいいなと思います。
 いくつか回答を出してみて、やっぱり「他人が書いた数式をみて悪態つく」のをやりたいなと思いました。
 シチュエーションの切り取りをするのですが、「この男が先生で、生徒の書いたノートみたいなのを読んで何か考えてる」という設定にしようかなと思いました。あとは本当なら「天才を見て、この子の頭の中はどうなってるんだろう」と感心するところを、「こんな子に暴力振るったらどうなるんだろう」という気持ち悪い好奇心を発揮してるのいいかなーと思って出したんですけど、まじで順位低すぎて草!でしたね。要因としては、シチュエーションの切り取りが画像から読み取りづらくてあんまり伝わってないんじゃないかなと思いました。みんな数式使ってるのに変なこと考えてるみたいなボケしてくると思ったので少し別の角度からいったつもりでしたが、あんまりだったみたいです。

第2706回(本当に何もなかった日のニュース)

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 この回は30連戦の中で一番好きな回答が出せた回です。お題は本当に何もなかった日のニュースですが、こういうお題はコツでそれっぽい回答にすることはできます。こういうお題というのは「ニュース」とか「レビュー」とか、ありものの媒体(?)を考えるお題です。「ニュース」は助詞を減らして簡潔な文にすれば見出しっぽくなるし、レビューはちょっと話し言葉みたいにするとそれっぽくなります。こんな感じで文体で要素を拾えるお題は、中身を自由に考えられるので逆に難しいと思う人もいるかもしれません。 
 今回のお題は特に、「何も無い」が要素になってるので本当に自由だと思います。これがまだ、「全国の主婦が怒りまくったニュース」とかなら要素を考えるのが楽だったでしょう。しかし、こういう自由なお題こそ、クリア率が重要になると思います。それではメモを貼ります。

【本当に何も無かった日のニュース】

・ガソリンを吸った雑巾、激重か
・サッカーファン、大きい拍手のやり方明かす
・天井が低い家、不便との声

 メモは少ないです。なぜなら、2つ目のやつが自分の中でかなりよくて、もう考えなくてもいいと思ったからです。このお題をどういう風に考えたのか説明します。
 真っ先に出した回答はガソリンを吸った雑巾、激重かです。この回答は何も考えずに出してますね。本当に意味がないということしかないので、あまりいい回答じゃないと思います。ただ、書き方としてはこのパターンで正着だろうな、と思いました。「(ニュースの主題となること)、(これに対する見解など)」という文構造です。
 先程、こういうお題ではクリア率が重要になると言いました。要素が抽象的なお題を「自由(フリー)お題」とか、「自由度の高いお題」と表現することが多々あります。このようなお題は普通のお題のように、要素に対するクリア率を考えてワードを持ってくるのが難しくなります。クリア率が重要なのにクリア率を考えるのが難しいとなると、どうすればよいのでしょうか?それは、回答の中のワードやフレーズ同士でクリア率を考えることです。
 私はまず、「何もなかった日のニュース」では何が報道されるべきか考えました。ニュースというのは「何か重要なことを伝えること」だと認識しているので、重要なことがなかったら、「重要ではないことを重要っぽく伝える」のではないかなと思いました。ですから、何かやってそうで何もやってないことを考えました。真っ先に思いついたのが「拍手」です。拍手をするときは「祝福」だとか「賞賛」など意味があるけど、拍手単体ではなんの意味もないのであとは不自然すぎない文を考えれば結構いい回答になりそうだと思いました。
〇〇、拍手のやり方明かすこれがかなり簡単にでました。拍手なんて誰でも知ってるし、何にもないにしてもそんなニュースはやりすぎだと思ったので、〇〇な拍手のやり方を教える方向で考えました。まあ拍手と言えば音なので、大きい拍手のやり方明かすになって、あとは誰が教えるか?ということを考えました。拍手と言えばの人を考えたんですけど、政治とか、アイドルとかを思いつきました。政治は大喜利の回答に入れるの個人的にちょっと避けたいので却下。アイドルについては回答が少しチープになるかなと思ったので、同じ方向でアイドル以外のファンを考えました。サッカーのファンってすぐ起立して拍手してるイメージあったので、これや!とすぐ思いましたね。最後に、「やり方明かす」がなんかアカサカサカスみたいな早口言葉っぽくなっていて気持ち悪かったのでやり方→コツにしました。「大きな拍手のコツ明かす」で7・5になってて読みやすいのでよりニュースの見出しっぽくなったかなと思います。
 このように、回答の中で繋がりを考えながら横に伸ばしていくことを回答の中のワードやフレーズ同士でクリア率を考えるというのは意味していました。順位はそこそこでしたが、かなり納得のいく回答ができました。

申し訳ないのですが、ここまででかなり最初に説明した私の大喜利の考え方と、その実践を実際に出した回答と照らし合わせて説明できたと思うので、あとは1位をとった回だけ説明します。文字数もかなり増えてきて疲れてしまいました・・余力があれば今後ちょっとずつ追加できればと思います。

第2711回(師匠から怒られた落語の内容)

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 30連戦をはじめた時、絶対に一回は1位取ろうと思ってたのでとにかく取れてよかったです。あと今見たらいいねの数が100になってて驚きました。嬉しいです、ありがとう!
 お題の抽象化をします。
あとで師匠からめちゃくちゃ怒られた落語の内容

怒られる落語
怒られるを「ダメな」とかにしようかと思ったけど、このマイナスの「性質」みたいなのは大事にした方がいいなと思ったのでそのままにしました。なぜ大事にした方がいいのかというと、「怒られる」にも色々と方向性があるからです。「苦情殺到のカレー屋」を「最悪のカレー屋」とかに変えてもおそらく方向性はほとんど重複してると思います。でも、「怒られる落語」は「ダメな落語」と重複というよりかは、含まれているに近い気がします。この場合、「ダメな」で考えた回答は、「怒られる」からするとちょっとお題からズレてるというイメージを持たれるかもしれないので残すのが無難だと思いました。

【あとで師匠からめちゃくちゃ怒られた落語の内容】

・契約書を折り畳んで蕎麦すすってた
・正座崩すために不良の登場を多めにしてた
・悪口のシーンで英語使って、白人だけ笑ってた
・病人の役で喋る時、師匠の真似してた
・ヒゲ剃ってる間、何も聞こえなかった

 この回のタイミングは、結構同じ採点者が採点してて、割とがっつりクリア率高めた方がウケそうな感じかな?と思ったので、クリア率ががっつり高いワードを一つ入れてあとはさっきみたいに横に伸ばしていく感じにしようかなと思いました。一発目に出したのは契約書を折り畳んで蕎麦すすってたですが、「蕎麦すすってた」がクリア率90%近くあると思います。これだけだと死ぬほど被ると思ったので、あえてクリア率低めのワードで横に伸ばしました。扇子を使うところを契約書を折りたたんで使ってるというものですが、これはめちゃくちゃ簡単な「ズラし」ですね。まあ、ちょっと弱いかなとは思ったけど回答の作り方はこれでいい気がしました。
 二つ目に1位を取った正座崩すために不良の登場を多めにしてた回答が出たんですが、まあ被ってなければだいぶいけるかなとは思いました。落語家に問題がある前提で考えて、「正座崩す」を思いつきましたが、これもクリア率90%くらいなので多分何個か被ってたりするんじゃないでしょうか?でも、ワードだけの被りなら、シチュエーションの切り取りによる納得感と距離感で勝負できると思ってるので、どう横に伸ばすかを考えました。横に伸ばすときのテクニックとして、お題から伸ばすのと回答に含めると決めているワード(フレーズ)から伸ばす方法があると思っています。
 お題から伸ばすというのは、例えば「正座崩すために客席に降りた」みたいな感じで、「客席に降りた」の部分も「落語」というお題の要素から拾ってくるようなやり方です。
 私が今回やっているのは後者の回答に含めるフレーズから伸ばす方法です。今回回答に含めると決めているのは「正座崩す」です。だったら、一旦お題のことは忘れて、「正座を崩すのはどんな状況(や人)かな?」ということを考えます。それで、不良は正座なんかしないだろう、というのを思いつきました。今回はお題が落語ということもあって、不良の役を登場させれば簡単に文を繋げることができました。おかげでめちゃくちゃ納得感が出てるのでやはり被らなければいけると思いました。一応、お題が「落語の内容」なので、落語家の行動だけで回答していいものか・・とも少し考えていたので、「不良の役を登場」と書くことで内容っぽくもなってるのがかなり助かりました。最初から全部計算したわけでは決してないですが結果的にお題にかなりまっすぐ回答できました。

30連戦総合結果

 きまぐれさんが集計してくださって、ネタボケ30連戦の結果が出ました。

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https://twitter.com/kimagure2525/status/1399727804393132037?s=20

 結果は3位でした。最初に言った通り、30連戦と言いつつ私は7回も未投稿していたので、上位20投稿だけを評価されるルールでこの順位に入れたのは素直に嬉しいです。
 すじこさん1位おめでとうございます!あとで知ったんですが、すじこさんネタボケ300回くらい連続投稿してるらしいです。意味がわからない!
 個人的な感想としては、1位も一回取れたしサッカーファンの回答も出せて結構満足しています。もう少し伸びてもいいんじゃないか!?という悲しい回答もいくつかありますが、仕方がありません。なによりこんなに運営が大変なことが最初から分かってる企画を最後まで完遂してくださったきまぐれさん、本当にありがとうございます。お疲れ様でした!

第4章 記念回における上位回答

 めちゃくちゃ終わる雰囲気だったと思うんですけど、自分の回答ばっかり喋ってたって面白くないので、他の人のどういう回答がウケているのかを見ていきたいと思います。参加者も採点者も多い記念回でやります。見出しから記念回のページに飛べるのでぜひ。それでは見ていきます。

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 お題は、老人が、電車で席を譲ってくれない若者に一言です。老人がどういう角度で発言するのかを考えるお題な気がしますが、シチュエーションの切り取り方がものを言うかもしれません。
 では1位から10位まで順番に見ていきます。

🥇1位】 これは本当に悔しいが、君みたいなワインが一番美味しくなる
 しーやさんの回答です。これは「席を譲ってもらえなくて思ったこと」を書くという割と回答の仕方としてはまっすぐなやり方だと思います。
 「悔しい」という感情を回答に含んでいるけど、先に持ってくることでフックにしている気がします。椅子を譲られないこと自体にマイナスな感情を抱いているわけではないっていうところで老人の気持ち悪さが出ていておもしろいですね。

🥈2位】 杖12本はもう椅子、という意見もあるとは思いますが
 電球金魚さんの回答です。これは「老人が状況を説明している」パターンですね、私はこういうお題でこういう回答をしないので新鮮でおもしろいですね。この状況で老人が若者に文句を言うでもなく、若者が席を譲らない状況を正当化するようなシチュエーションを考えるのって普通にどうやってるのか不思議です。
 そういう、場面の不思議さと、回答のバカっぽさで上位にきているんじゃないかと思います。「思いますが」で締めて含みを持たせてるのもテクニックですね。

🥉3位】 これがもし喫茶店ならお互い変な話ですよね
 pokopokoさんの回答です。このように、一言お題で「〇〇が〇〇だとしたら、」みたいなことを言うのって結構見たことあって、普通後半で上手いこと言おうとするんですけど、この回答は後半で何も言ってないのが気持ち悪くて好きでした。おもしろい。
 なんでもできるだろ、と思えなくもないですけど、喫茶店とか距離感がちょうどいい気がします。「席」に対してクリア率でいうと30~40%くらいなんですけど、文構造で意味が補完されるようになってるのでそれだけクリア率が低くてもちゃんと分かるようになってます。

🌸4位】 このドングリ持ってみて
        リスなら許せそうなんじゃ

 guniguniさんの回答です。この回答は私が思いつくとしたら「許す」から横に伸ばしていく感じでしょうか?guniguniさんがどういう手順でこの回答を作ったのかわかりませんが、自分なら「〇〇なら許せる」を最初に思いついて、可愛いものを考えて、「リスなら許せる」ができて、これだけだとボリュームと納得感が足りないからドングリを持たせる感じです。この回答が一発で出てくるんだとしたら発想がすごいですね。
 「〇〇なら許せる」が結構点取れそうなフレーズなので正解のパーツを選んでてすごいです。

🌸5位】 せめて病気だけでも座らせてやってくれないか
 ミソ吉さんの回答です。こういう物理的に不可能なことを書いているボケのことを「存在しないボケ」と私は呼んでいます。「存在しないボケ」は非常にパワーがあるので、回答に組み込むとバランスが悪くなっていまいちまとまりが悪くなることが多いと感じています。しかし、今回のお題だとおかしいのは若者だというのが一般的な解釈だと思うところ、老人が変なことをいっているので「存在しないボケ」のパワーとマッチしているのかもしれません。回答がスパッと無駄がなく短いのもいいですね。

🌸6位】 まったく揺れないじじいも怖いだろ
 温かい図鑑さんの回答です。これは2位と部分的に似ていて、「状況を説明している」回答になります。しかし、2位と違うのは「だからなんなんだ?」というところに帰着することです。2位の回答は理屈を通すための状況説明で納得感をあげるものでしたが、これは逆に、状況を説明したところでよく分からない上に、変な圧がけをしていて、じじいの気持ち悪さに磨きがかかっていますね。これまたスパッと言い切っているのがいいですね、おもしろかったです。

🌸7位】 席を譲るための施設みたいなもんだろうがよ
 頓田さんの回答です。これは偏見と言い換えのテクニックを組み合わせた回答だと思います。偏見ってのは「そんなことないだろ」って感じのことをわざと言い切ってるところです。そして、電車のことを「席を譲るための施設」と言い換えています。単純な偏見であれば、「電車なんて席を譲ってなんぼだろ」みたいな感じになると思いますが、「電車」を言い換えることでより強いフックにしてます。これはかなりテクニカルな回答だと思いました。ちゃんと考えてないと出ない場所にあると思います。

🌸8位】 どこの高校生か知らんが智弁和歌山高校を失格とする
 白銀さんの回答です。この回答は「高校を聞いて通報する」という正常な状況をズラした回答だと思います。前半も後半もズラしてるのがすごいですね、こういうことするとバランス取るのがむずかしくなるんですけど、「怒りを感じている」という筋が一本ちゃんと見えているのである程度変なこと言ってもちゃんと理解される範囲に残るようになっているのが構造として綺麗だと思いました。

🌸9位】 譲らないならその敬語もやめろ
 ドクローネさんの回答です。入賞回答の中でこれが一番好きでした。まず、個人的に好きなポイントは「若者に怒っていること」です。このお題を見て、一番ストレートな回答の仕方は若者に対して文句を言うことだと思います。他の回答も若者に怒っている回答はありましたが、この回答が一番それが分かりやすいなと思いました。
 でも、「譲らないこと」に直接キレてるんじゃなくて、「譲らないのに敬語を使ってくるとこ」にキレてるのがじじいのプライドみたいなものを感じられて最高でした。こういう、お題に書かれてない映像を書くのって説明っぽくなって難しいんですけど、無駄なく最小で表現できてるのがかっこいいです。

🌸10位】知らん駅で降ります、クリームチーズ饅頭とか売ってたらいいな
佐野さんの回答です。これは今までのと違って譲ってくれないから諦めてるんですけど、プラス思考なのが気持ち悪いですね。老人の冒険心いらんな〜と思ったので術中にハマってしまいました。他と違いそうな切り口で回答作るっていうのが大事だとよくわかります。

 とまあ、こういう感じで大雑把にですが記念回の上位回答を見ていきました。やはり、上位にくるのはそれ相応の理由があるということがわかりますね。他人のボケの方向性や作り方を言語化するというのはかなり勉強になります。ボケをそのまま使うのはパクリですが、作り方を取り入れるのはパクリになりませんから、パクリが得意な人はぜひやってみてください!

第5章 おわりに

第5章!なんていうほど書くつもりもないのですが、今回30連戦を通してというよりも、この記事を書いて私自身の大喜利について言語化できたことが少しでも自分の中でプラスになればいいなと思っています。
 そして、この記事はネット大喜利が全く分からない人にも読めるようにと思って一応書いています。ボケクエスト5という大会が間近に迫っています。ネット大喜利のチーム戦では最大規模の大会です。この大会は毎回、ネット大喜利に親しみがない人たちがネット大喜利に触れるきっかけとなります。そういう人たちがボケクエに出る前に少しネット大喜利を練習しておこう、となったときにまず間違いなく壁にぶち当たると思います。ネット大喜利は一つの大きな文化だからです。しかも、ニッチな。ユーモアに多少親しみがある人でもあまり見たことがないようなユーモアが多く存在し、それが評価されています。そんな環境に入って、「なんだこれ、つまんねー」「なにをどうすればいいのか分からない」となっている人にも読んでほしいと思って書いています。
 何度も言いますが、これが「正解」などではありませんネット大喜利の第一線で活躍されてる方達はみなさん自分のスタイルというものがあります。ただ、そんなものが確立されていくのはある程度経験を積んでからなので、まずはどういうやり方があるのか、という参考程度に読んでほしいと思います。この記事を自分のスタイルを作っていく足掛かりにしてほしいです。自分の記事をたいそうな言い方してるという風に思われるかもしれませんが、ネット大喜利のやり方を言語化している人は決して多くはありません。この文化がこれ以上に発展していくためにはこういう「記録」みたいなものも必要だと思っています。
 もちろん、この記事は既にネット大喜利にずぶずぶな方々にも読んでほしいと思っています。今までになかった概念や考え方を少しでも与えられたら私は満足です。そして、よければ自分のやり方を言語化してほしいと思います。noteにするのとかが恥ずかしかったら私にだけでもこっそり教えてください!
 あと、この記事に書いてあるところで疑問に思ったところや、間違っていると思ったことは遠慮なく聞くなり指摘するなりしてほしいと思っています。自分の考え方をより整理できるし、新たに取り入れられる要素が見つかると嬉しいです。
 もう3万字近くになっているので、この記事の全てに目を通してくださった方はほとんどいないかと思いますが、一部でも見てくださった方、本当にありがとうございます!とけつだいこん、今後ともがんばります。

とけつだいこん
(28845文字)

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