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私のおすすめ一般向け科学書

この季節のあるあるネタ、「私のおすすめ本」を書きます。
前に書きましたが、私の趣味嗜好は世の中の流行とは激しく異なるので、需要は無いかもしれないですが。いちおう忖度をしてリン・マーグリスの本なんかはおすすめしてませんw
下の記事に書いたように、私は過去には文学オタクだったけどその後は科学にハマったので、一般向け科学書に絞ってご紹介します。
(読んだ中でいちばん新しい文学作品って、ジュリアン・バーンズの『フロベールの鸚鵡』あたりかも?)

そうは言っても私が読むような本もちゃんと出版されて書店に並んでいるんだから、それなりに買う人がいるんだろうなと思ってます。
『サピエンス全史』とか『ホモ・デウス』とか、あんなに大騒ぎしてたんだから日本人の5%くらいは読んだんじゃないでしょうか?(適当)
これから紹介する本はどれも『サピエンス全史』よりは売れてなさそうだけど、私はすごく好きです。
というか、私は『サピエンス全史』を小説のネタにしたりしてるけど、特にすごい好きなわけでは無いんですよね…面白い本だとは思ってるけど。
いちおう、『簡単に読める順』に紹介していきます。下になるほど読むのが大変かなーと思います。

『ソロモンの指輪』コンラート・ローレンツ

ローレンツは《群淘汰説》を唱えた戦犯扱いされて進化生物学の分野ではかなり評価を落としてる気がしないでも無いですが、私は好きだったりします。なんといってもこの本は一般向け科学書としてはレジェンドじゃないですか?
私も科学にハマった最初期に読んだので思い入れがあります。すっかりローレンツが好きになったので『攻撃』と『鏡の背面』も読んでます。『鏡の背面』は激ムズですが、この本はマジで簡単で誰でも読めるし面白いです。

『双子の遺伝子―「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける』ティム・スペクター

最近、日本の双子研究の本も出てましたが、こちらはけっこう前からあるUKの双子研究の本です。日本の本も紹介記事で読む感じではけっこう過激っぽいですが、こちらの本も出版して大丈夫かと心配になる程度に過激です。
ナチスのせいで欧米では《優生論》はタブーだけど、遺伝子が人間の性質にどう関係するかという研究についてはわりとドライにやってるイメージです。内容はとにかく面白いです。

『脳の中の幽霊』V・S・ラマチャンドラン

脳科学について興味があるならいちばんにおすすめできる本です。初版からだいぶん経ってるけど内容はまだまだ全然古びてないと思います。それなりに専門的ですが読みやすくてぐいぐい引きこまれます。私は読んだときに『なんでもっと早くこの本を読んでなかったんだろう』と思うくらい衝撃を受けました。ちなみにラマチャンドランも好きになりすぐ名前を覚え、他の本も買いました。(オリバー・サックスも)
脳については現在でもわからないことだらけですが、かなり網羅的かつ個々の斬新なエピソードが面白く、理解が深まると思います。

『かたち・流れ・枝分かれ(3部作)』フィリップ・ボール

私は図書館で最初に『流れ』を読んだのですが、とにかくすっごく面白くて、でもちょっと難しいのでゆっくりと3部作を読破しました。
生物・無生物を問わず、自然界に存在する複雑な《形》に注目し、それがどのような物理的・化学的な要因によって形成されるのか?ということについてとにかく多彩な用例を出して説明していくといった内容です。
ベロウソフ・ジャボチンスキー反応とか、チューリング・パターンとか、そういうのがいっぱい出てきてワクワクします。
基本的に淡々とした内容ですが、最後のまとめは感動的で、壮大なドラマを見ている気分になります。

『量子力学で生命の謎を解く』ジム・アル=カリーリ、ジョンジョー・マクファデン

なんと新海誠監督がおすすめしているらしい。
《量子生物学》という新しい学問分野があるのですが、日本語で読めるほとんど唯一の量子生物学の本がこれです。
私は物理は苦手ですが量子力学は不思議で面白いですよね。世間的にもパラレルワールドとかシュレーディンガーの猫とか量子力学的世界観は人気がありますよね。
この本を読むとなんでもかんでも量子力学で説明できるんじゃ?って気分になるけど、やはりそう簡単では無いですねw でも想像力が刺激されます。

『膨張宇宙の発見: ハッブルの影に消えた天文学者たち』マーシャ バトゥーシャク

アインシュタインの一般相対性理論で記述された重力場方程式(アインシュタイン方程式)によって、「宇宙は静止しているのか、または動的に膨張・収縮しているのか?」という論争が20世紀初期に起こったわけですが、この本はそんな揺れ動く宇宙観を観測する天文台と天文学者の側からとらえた内容です。
主にアメリカを中心とした天文台建設ブームと、それによって天文学者たちが競うように次々と新しい発見をしていくさまがスリリングに描かれています。
この本の難しいところは章立てが《天文台ごと》になってる点で、時系列が行ったり来たりするのと、天文学者が天文台を渡り歩いてたりするので、あっちこっちに名前が出てくるわけです。なので索引を見ながら前に読んだ章を読み返さないと読んでる章の内容が頭に入らなかったです。そんな感じで読むのが大変だったけど、読み終わったときの達成感はすごかったですね。内容もすごく面白いですよ。じゃなきゃそんな苦行はやれないですw

『自己組織化と進化の論理―宇宙を貫く複雑系の法則』スチュアート・カウフマン

《複雑系》って今から30年前くらいに大ブーム?になったはずなんだけど、今はあまり聞かなくなっちゃいましたね。でもこの本に書かれている《自己組織化》とか《ネットワーク論》とかは着実に根付いていて、生物学、情報学、社会学なんかで成果が出ていますよね。
私はとにかく新しい概念とか新しい物の見方なんかが大好きなので、この本みたいな内容はすごく楽しいです。カウフマンの文章は頭の中にイメージが浮かんでくるのですが、そのイメージが楽しいんです。
と言ってもなかなか共感してもらえる人は少ないかもしれませんが…
科学における1つの金字塔的な著作になると思うので、ぜひ多くの人に読んでいただきたいです。

※またStable Diffusion Onlineで画像を作ってみたけど、仕様が変わってなんかイマイチうまく作れなかったので、みんフォトで見つけたステキな画像を使わせていただいてます。

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