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映画『フォールガイ』はこの夏ピッタリの大アクション映画だった【映画感想】

スタントマン出身のデビッド・リーチ監督が手掛けた映画『フォールガイ』は、とにかくスタントマン愛に充満していました。

予告は、こんな感じ。

ネタバレなしの感想は、こんな感じでした。

本作の感想をつらつらと綴っていきます。完全ネタバレです。

まだ観ていない方は、映画館へレッツゴー!

ここから先は、ネタバレを含みます。



まず、結論。
とにかく、大味な作品でした。

あらゆる要素がてんこ盛りで、濃い味付けがされた味噌煮込みうどんを彷彿とさせます。

メインは恋のお話です。
ここが、正直、意外でした。

主人公はスタントマン。それを支える監督の女性が恋人です。

当然、スタントマンですから、表向きに出演しているスター俳優がいて、その裏には映画のヒットばかりを願うプロデューサーもいます。

要は、「使われる側と使う側」の構図がはっきりとしていました。

前半はスタントシーンを盛り込みつつ、恋愛要素が多めです。
とにかく、他の映画を引用したジョークが多く、これを知っているか知っていないかで、本作の魅力も大きく変わるだろうなと感じました。

あいつの記憶力は『メメント』並みだ

などなど。

本作には、名作映画をもじったジョークが数多く登場しています。

ちなみに、とけいは半分くらいしか分かりませんでした。

体を張ったスタントシーンに感じる生々しいスリル。これを味わえるのが、本作の何よりの魅力です。

開始数分で、主人公はスタントシーンに挑み、あっさりと事故に遭っています。

これもかなり高い所から落ちるタイトル通りの『フォールガイ』でした。

その後は監督となった恋人の手ほどき(本当はプロデューサーの独断)を受けて、スタントマンとして復活を果たしています。

スタントマンは顔を出さない仕事です。なのに、なぜか全身をスキャンされた後、彼女と再会。

最初は、ツンケンしていた彼女もいつの間にか、主人公にまたメロメロとなり、ゆるゆるの恋愛シーンが長く続いていきます。

テンポがいいとは、正直、口が裂けてもいえません。

スタントシーンにより、くるくる何度も横に転がる車、地面はそこら中でこれでもかと爆発しています。

その様子は、アクション映画全開です。

ただプロデューサーのお願いを受けていた主人公は、ホテルで死体を見つけてしまいます。

ここから一気に本作はミステリー要素強めになります。

後半戦です。それでもスタントシーンは目白押しです。

この男を殺した犯人こそが主人公ではないか、と疑惑をかけられたのです。

この死んでいた男。
主人公がケガをした後に、スタントマンをしていた男でした。

その後、重要証拠が入っているというスター俳優の電子機器を巡って、カーチェイスに、敵の股間に噛みつきまくるワンコに、その裏ではカラオケ大会に。

なんやかんやありながら、主人公は自らがスタントをしているスター俳優が、酒に酔ってふざけたあまりにスタントマンを殺していたという動画を発見したのです。

ところがテレビの映像では、スター俳優の顔が主人公の顔になっています。

『fall guy(身代わり』にされたのです。

fall guy

1.スタント用語の一つ。
「映画界ではかなり昔から使われていた言葉。
馬から落ちたり、バイクから落ちたり、階段を降りたりする時に、そのステップを踏む人のこと」
2.だまされやすい人、簡単に人に乗せられる人、かも
3. 罪をかぶる者、身代わり

わざわざプロデューサーが監督である彼女の名前を使ってまで、主人公をスタントマンとして復活させた理由に、このスター俳優の『fall guy(身代わり』がありました。

それで顔をスキャンしていた訳です。

この『fall guy(身代わり』の動きについては、スター俳優ですら何も知らず、プロデューサーの独断で実行されていました。

何も事情を知らなかった監督の彼女は、なんと映画のスタントシーンを使って、スター俳優に自供させようと試みます。

爆速の中、スタントマンが運転する車の中。怯え、ビビりまくりのスター俳優。

遂には、自らの罪を認めました。

ですが、プロデューサーはゴキブリなみにしぶとく、ヘリコプターを使ってスター俳優と証拠機器を手に取り、急いで逃げようとします。

が、失敗。あっけなく捕まります。

最終的には彼女が監督をした映画は主役を変えて、スタンディングオベーションを受けています。大ヒットを果たしたのでした。

大団円。じゃんじゃん。
と、目まぐるしい展開で、映画『フォールガイ』後半はテンポ感がよく、スタントマンのドライビングのように高速で、何度か横転はあったものの、話の勢いが衰えることなく、エンドロールまで一気に駆け抜けていきました。

個人的な評価は、86点。

スタントマンをしていたスター俳優の殺人容疑を『fall guy(身代わり』させられそうになる男という意味で、タイトルにセンスあるなあ、と思いました。

ただ話全体は、かなりの大味で、勢いだけで突き進んでいる場面も多く、前半のちょっとしたダラダラ感も否めません。

それでも頭を空っぽにしたまま、「なんか面白かったなあ」と思える映画は意外と珍しい。

そういう意味では個人的に、この突っ立っているだけでも汗がダラダラと流れ出してくる暑い夏を乗り切るためのエンジンとして、映画『フォールガイ』は、最高だと思えましたとさ。

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