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椅子から始まるコミュニケーション:TOKECOM教員、動画をつくる

一つ、二つ、三つ。椅子が並べばなにが始まる?ものがたりが始まる。

だれかがやってきた。腰を下ろす。一人、二人、三人。

「どうも」「こんにちは」「暑いね」

会話が生まれ、発想は交わり、そこに新しい、ものがたりが始まる。

コミュニケーションが、動きだす。

梅雨明け、いきなりの猛暑となりました。長期休みを控えたTOKECOMでは、長引く感染症対策と生活制限に耐えながら、知恵と情熱で最大限、休暇を充実させようという学生さんの「夏の計画」話に花が咲いています。先例なき状況を柔軟に突破しようとする学生さんの感性に、こちらが学ばされてばかりです。

そんななか、TOKECOMの近未来、「コミュニケーション学部新体制」を語るコンセプトムービーが公開されています。TOKECOM教員の大岩直人先生(広告論)が総監督をつとめ、大橋香奈先生(グローバルコミュニケーション基礎)が指揮をとり(脚本から絵コンテ制作、道具集めまでなにもかも!)、本学広報課の職員さんやいつもお世話になっている制作会社さんらの協力によって完成したものです。佐々木裕一先生(ソーシャルメディア論)、光岡寿郎先生(メディア空間論)に加え、わたし松永智子(ジャーナリズム論)が出演させてもらいました。よろしければ、ご覧ください。…自分の声や顔を直視するのは苦行めいていて居たたまれず、大変申し訳ない気持ちになるのですが、制作チームによる構成、編集が素晴らしいのです。

この動画、本当に椅子を並べて、出演の三人がシナリオなき座談会をすることから組み立てられました。緊急事態宣言下の六月。メンバーのスケジュール調整も難しく、ぶっつけ本番の収録第一弾(6月2日)。本学メディア工房に三つの椅子とマイクが並べられ、そこに座る佐々木先生、光岡先生、松永の三人を、大岩先生、大橋先生、議事録作りにご尽力いただいたライターさんらが囲みます。当時は遠隔授業期間でしたので、教員同士も、顔を合わせるのは久しぶり。距離をとり、アクリル板越しの対面でしたが、空間を共有して話すのはやっぱりいいな〜と思いながら、三人でアレコレ自由に議論していました。そこに時々、大岩先生がふわりと入ってきて、まるで即興演劇の演出者のようにささやき、台本のネタを引き出すのです。例えば、こんな感じ。

「ここに椅子があります。さあ、椅子ってどんなメディアでしょう」

「TOKECOM(トケコム)は、溶け込む。何に、溶け込んで欲しい?」

「メディアと国際の掛け合わせ。かける、かける、メガネをかける。もしここに虫眼鏡があるとすれば、そこからなにが、見えますか。レンズになにが、映っていますか。」

さすが、数々の傑作CMを手がけられてきた巨匠・大岩先生。クリエイティブ・デザインの技法に触れるような体験でした。さて、ここからすごいのが、大橋先生の台本と絵コンテ作り。ライターさんの議事録に基づき、ものの一週間で約5分ものの動画構成が仕上がってきました。我々が喋り散らかしたことが、ちゃんとストーリーになっている!!大橋先生の編集に舌をまきました。

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6月9日。小道具もそろえて、いざ撮影です。台本はあるが、アドリブも積極的に取り入れる是枝監督スタイルで、という大橋先生の指示に従い、ピンマイクを付けて収録に臨みました。これが予想外に、難しい!セリフを落とすわ、舌を噛むわで、NG続出。やっと言えた!と思ったら、「ピーポーピーポー」「ガタンゴトン、ガタンゴトン」「コチラハ、コクブンジ シヤクショデス」…ノイズが入ってまたNG。普段意識しないけれど、私たちがあまたの生活音に囲まれ生きていることを実感しました。「音があるってことは、人が生きている、この街で暮らしているってことだよね〜」そんな話もしながらの、チームワーク約3時間。日が暮れる前に、なんとかクランクアップ!

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途中、TOKECOM教務主任の北村智先生(モバイルメディア論)がふらりとやってきて、大人の学芸会さながらの撮影を見守ってくださったり、通りすがりの学生さんの好奇のまなざしに晒されたり。パーテーションが風で吹き飛ぶNGシーンも、今ではよき思い出の一コマです。「本当だったら、このまま打ち上げなのにね」と言って、心のなかで乾杯をし、この日は散会。映像の編集は主に制作会社さんが担ってくださり、そこに総監督、総指揮者、出演者がコメントしながら、短期間での完成・公開まで漕ぎつけたのでした。皆さん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

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ある日の授業コメントに、こんなものがありました。「先日キャンパスで、コミ部の先生方が撮影?のようなものをやっているのを見かけました。和気藹々として、楽しそうで、仲が良さそうなのにビックリしました。なにかと孤独になりがちな遠隔授業期間中、先生たちの人間性に触れ、あたたかい気持ちになりました」。これは嬉しい、オマケでした。

感染症問題は引き続き予断を許さない状況ですが、TOKECOM夏のオープンキャンパスは、対策を講じた上で、来場型・WEB型両方で実施の予定です。キャンパスで、あるいはWEBで。どうか一人でも多くの皆さんにお会いできますように。「椅子」を用意して、お待ちしています。

(松永智子)


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