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この身ひとつで舞台ができるー演技ワークショップ入門

山笠、宵山、学期末。オイサァ、オイサァ、コンチキチン。ひとつ、また一つと前期の授業が締め括られる七月も下旬、私(TOKECOM教員、松永)は、気になっていたある授業の最終回にお邪魔してきました。特命講師・堀口剛先生担当の身体表現ワークショップです。

この授業の「教室」は6号館地下のスタジオ。
何もない空間に、「ベッド」が二つ。
やがてそこは「真夜中の病室」という舞台になり…

本授業は、俳優の成清正紀氏をゲスト講師に迎え、プロに演技指導を受けながら身体を動かし、「コミュニケーション」や「自己表現」について学んでいくという大変魅力的なワークショップ。私がお邪魔した最終回では、「ある日真夜中の病院で、入院患者の二人がふと出会い、急激に距離を縮め…」という筋書きの二人芝居の発表会が行われていました。

同じ脚本でも、演じ手や組合せによってこうも違う「味」が出るのかと驚愕。学生さんの表現にすっかり魅せられました。それぞれの声や振る舞いが放つメッセージがあり、それらの掛け合わせで創られる表現があり。なかでも、演者たちの「距離感」が見せる表現の豊さに目を開かれました。

成清先生による熱い講評と、傾聴する履修生

すべてのペアの演技が終わると、成清先生による丁寧な講評がありました。ほんの数ヶ月だけれど、回を重ねるごとに変貌/成長していく履修生を見守ってこられたのであろう成清先生の言葉には、学生一人一人に対する愛にあふれ、「演技に対して、何か構える必要はない。体を動かし心を開けば、人とコミュニケーションできる。その喜び、楽しみを味わってもらえたならば」という想いは、飛び込み参加者の私の心にも大いに響きました。いわんや、受講生をや。

そして最後に、担当者である堀口先生の講評で授業は終了。先生自身も一緒になって身体を動かす、学ぶ、楽しむことを重視していたと振り返り、何より、授業を通して学生同士のコミュニケーションが活発になっていく姿が印象的だった、それがよかったと、本年度初めて開講されたワークショップを締めくくられました。先生の話に何度も頷いていた履修生からは、「また来年も受講したい」という声が聞こえてきます。

熱冷めやらぬ雰囲気のなか、次の授業へと足速にスタジオを去っていく学生たち。あとにはがらんと、空っぽの空間が広がります。ああ、なるほど。何もないところでも、この身一つで舞台ができる。物語が始まる。そして終われば、無の世界。夏の夜の祭のごとし。

オイサァ、オイサァ、コンチキチン。
また来年のワークショップが楽しみです。

(松永智子)

※ワークショップの舞台であるスタジオも、夏のオープンキャンパスで見学可能です。高校生の皆さん、ぜひお越しください!





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