デジタルトランスフォーメーションの落とし穴

(2020年記載の記事から、一部抜粋再編集して掲載)
ピーターセンゲの書籍「学習する組織」と絡め、私が生業としている「デジタルトランスフォーメーション」の失敗の一因(あるいは成功の要諦)について記載してみたいと思います。
「わが社はデジタルトランスフォーメーションを進める必要がある」最近よく聞きます。
コンサルやシステム会社さんの提案を聞き、よいプランを実装していく。
実際は、社内に詳しい人間がいないから、「詳しい人の提案から良いものを取り入れる」という実装が多いのかもしれません。

話がとぶように感じられると思いますが、世の中の見方には4つの視点があります。
これはケン・ウィルバーからの引用になります。
個人 or 組織 × 内側 or 外側 の掛け算でできる4象限です。

ウィルバーの4象限

個人の内側の視点 には、たとえば、モチベーションや、キャリア、ビジョンをどう考えるか などがあたります。

個人の外側の視点 には、業務を遂行するのに必要なスキルが備わっているか などがあたります。

組織の内側の問題 には、組織間のわだかまり、など、顕在化・共通認識されていないものがあたります。

組織の外側の問題 システムの刷新や給与制度の仕組みの変更など、制度、システムの変更があたります。 デジタルトランスフォーメーションもここを指すことが多くあると考えます。

ものごとには、上記の4象限があります。

ポイントは、何か問題を解決しようとした場合、その問題に相互に影響のある他の領域の問題も認識/解決しないことには、本当の解決には至らないケースがある、ということです。
例えば、会計システムの刷新。
新しいシステムを導入したが、背後にある組織の内側の問題を対話などで浮かび上がらせ、解決策を策定することをしなかった。
結果、新しいシステムが導入された後で現場が大混乱というケース、耳にされたこともあるのではないでしょうか。

先ほどの4象限のお話から推測できるのは、デジタルトランスフォーメーションでも、同じことが起きているのではないか、ということです。
詳しい人たちを呼んで提案を聞くだけでは、デジタルを活用した新しい会社には生まれ変われない。 組織をそれに応じた形に成長させる必要がある。 そこには、以下3軸のアクションが必要です。

・デジタルを活用し、そもそも私たちは何を目指したいのか、どうありたいのか、社員全員が共感できる「目指すもの」を明らかにする。

・デジタルの活用方法や現在の問題を論じる際など、 自分と他人、あるいは自組織と他組織のコミュニケーション時に「自分を正当化したい」など、変な前提条件が働いていないか。 これを、内省することで認識する。

・組織の中にある課題点を、 「犯人捜し」の視点ではなく、「共通認識を持つ」ための視点で、 「対処療法」という浅さではなく、その裏側の根本原因に迫るかたちで あぶりだす。 (課題といういい方も適切ではないのですが、便宜上の表現として)

この3つの軸は、ピーターセンゲの名著「学習する組織」の中で述べられてます。
真にデジタルトランスフォーメーションを推進するためには、「学習する組織」のエッセンスを活用し、日々上記3軸の実践を続けPDCAを重ねていく、そのことが必要だと、強く感じます。

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