相談を"される側"ではなく、"する側"で関わる
人材サービス業で差別化をするための表現方法の1つに「伴走支援」というものがあります。ただリソースを提供するだけじゃなくて、お客さんの課題に対し一緒に取り組みますよ、のスタンスを表現した良くできた言葉だと思います。最初に言い始めた人、天才です。
例に漏れず、私も事業紹介をすると「いわゆる、伴走支援サービスってやつですね!」とコメントされ、「まぁ、だいたいそうです」と回答しているわけなのですが、よくよく考えると全然違う気がしています。伴走も支援もやっていないし、そもそも伴走支援ってなんなんや。
ということで、伴走支援の言葉の意味を理解した上で、自分の仕事のスタンスについて考えてみることにしました。
伴走支援、誰が言い始めたのか
「今でこそサービス業で伴走支援って言葉は頻繁に聞くけど、もともとソーシャルワーカーの人たちが使っていた言葉なんだよね」。
過去に知り合いのソーシャルワーカーの方から、そう教えてもらった記憶があります。
出どころと定義を調べている中で、連合総研レポート(2023年5月号)で連合総研研究員の石川 茉莉氏が紹介していた、伴走支援に対する2人の研究者の引用がしっくりきました。
サクッと調べた中でのなんとなくの私の所感だと、金銭的・人間関係的な孤立に対する打開策として生まれた、機能的に課題解決に向き合うことと、当事者を孤立にさせないためのアクションを両輪で回そうのスタンス、それが伴走支援なのかなと感じました。
社会問題だけではなく、ビジネスの場での課題解決手段としても有効な考え方だなぁと、広く伴走支援言葉が使われるようになった背景に私も納得がいきました。もしこの手のトピックに強い方いらっしゃいましたら、ぜひ私に教えてください。
私がお客様先で求められるのは、伴走支援される側、相談する側でいること
さて、話を自分の仕事に戻しますと、東海HRでは建設現場向けロボット、需要予測AI、就活アプリ、3D CAD ECサイト、プラスチックハンガー…と、多くの新製品開発プロジェクトに入らせて頂いております。
前述した伴走支援が意味する、機能的な課題解決と孤立させないアクションの両輪でいうと、どちらもやっていない気がしています。むしろ、自分が課題を抱えており、孤立しかねない側の人間で、周りの方に伴走支援をしてもらっている自覚すらあります。普段助けて頂いている周りの方に改めて感謝です。
具体例を挙げてみます。東海HRの担当する新製品開発プロジェクトでは、ほとんどの場合、MVP(Minimum Viable Product)を以て顧客ニーズの検証(≒営業)をしています。有償契約が発生すると、最前線にいる営業窓口は、
製品が上手く動作しない(原因例:取扱説明書がわかりにくい)
予定していた日に製品が届かない(原因例:郵送オペレーションが不十分)
効果が出ないとクレームがでる(原因例:顧客と期待値調整していたつもりが出来ていなかった)
売りたいのに在庫が不足している(原因例:生産が追いついていない)
などなど、顧客側にも社内側にも四方八方に課題を持ち歩く爆弾人間になります。爆弾人間の表現は、決して盛っているものではありません。
トラブルシューティングと開発スケジュールへ反映する仕組み/インフラが出来上がっている会社では、営業窓口が各担当者と自動的に相談し、恐れずに爆弾を1つ1つシステマチックに処理することが出来ます。
一方、ノウハウが溜まっていない会社では、1つ1つの爆弾に怯えながらの対応が余儀なくされます。この過程では、例え平均以上にポジティブ思考な組織でも、「面倒な相談を持ってくるんじゃないよ」と、営業窓口が社内で孤立してしまい闇落ちするケースは多いと感じます。当該の現象を私は勝手に「新製品プロジェクトの営業窓口闇落ちしがち問題」と呼んでいます。
上記はあくまでも一例です。営業の職種でなくても、課題が集約してしまい孤立するポジション(他には設計職など)は、新製品開発プロジェクトの場では生まれやすいです。このようなケースでは、前述した伴走支援のアプローチは非常に有効かと思います。
伴走支援をする側の人材は、意外にも供給が足りている(気がする)
私の狭い視界の観測範囲内では、意外にも伴走支援をする側の人材は、採用市場のボリューム的にも割と一定層存在している気がします(実際にできるかどうかはさておき)。
むしろ、最前線でチームを前に進めるための面倒な相談を持ち込む当事者、本記事中の一例では営業窓口を例に挙げましたが、こちら側の担い手は不足しがちなイメージです。時代背景や組織との関わり方の変化による影響なのでしょうか。(いずれにせよデータは無いので、あくまでも私の感想になります。)
私ができること、やりたいこととしては、(面倒な)相談を見つけてきてチームのあらゆる部門に持ち込む側が、決して孤立しないようなボトムアップの文化をつくること、そのポジションの魅力付けをすることです。
プロジェクトが進み課題が増えてくると、間接部門で課題解決を伴走支援する側に回りたい人材が、当事者よりも増えてしまう傾向はあるかと思います。あえて経験ある人材を前線に置く選択肢を、私は提唱したいです。
まとめ
執筆を通して、自分が提供しているサービスが伴走支援ではないこと、むしろ前線に立ち相談を"する側"で関わりたいスタンスであることがわかりました。いまお客様とお取引を継続できているのも、こういったスタンスだったからだといいなと、改めて振り返る機会となりました。
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