フィンランドのコラムニストや専門家に言いたいこと
愚痴っぽい内容ですが一度は声に出しておきたい内容なので公開します。
フィンランドに住んでフィンランド情報を発信しているせいか質問される時があります。
自分の記事を読んで、そこから興味を持って質問してくださるのは嬉しいことです。そのためこれからもできるだけ質問には答えていきたいと思っています。
質問に対してはコメント欄で返事したり、もしくはその内容で記事を書くといった形で対応しています。メールやDMでもやり取りをします。
ほとんどの人が回答に対してお礼を言ってくださったり、スキボタンを押して何かしらのリアクションをしてくださいます。
質問してくれた方の中には「期待した通りの情報ではなかった」と思う人もいるでしょう。それでも反応をくれるのはありがたい限りです。
そう、質問しておいてその後何のリアクションも返さない人もいます。
記事に対するリアクションはもちろん、メールに返信しない人もいます。
そういった人たちはある分野の専門家や有識者、またはコラムニストを名乗っていることがあります。そのため、もしかしたら「自分が期待していたレベルのものが返ってこなかった」と思っての行動なのかもしれません。
もちろん謝意を強要するつもりはありません。
自分に至らないところがあった可能性もあるでしょう。お恥ずかしい話ですが私にとっては誤字脱字はもちろん、うっかりミスなんて日常茶飯事です。
しかし質問する、つまり相手に時間や手間をかけさせるのを依頼しておいて何も返事をしないのは人としてどうなのでしょうか。
的確な回答が欲しいなら
そんな方々は意外にも他の人たちとそう変わらない一般的とも言える内容で質問してくる場合がほとんどです。
そのため当然こちらも一般的な回答をするだけに留まります。
つまり「専門家である自分を納得させてほしい」と考えてる人はその要望を前もって相手に伝えるべきでしょう。
自分は何者で、何の情報が欲しいのか
なぜその情報が必要なのか
どれだけ深いレベルで回答してほしいのか
この伝達を怠る人は「希望通りの情報をくれなかった」と相手を評価する資格はないと思っています。
説明の場を選ぶ
質問の内容は簡単に答えられる時もあれば、非常に複雑な時もあります。
例えば社会について語ろうとすると政治や経済、法が絡んでくることが多いです。複合化しているとその説明の難易度は跳ね上がってしまいます。
記事にするならば質問者以外の読者にも配慮しなければいけませんから。
その場合は「出来るだけ分かりやすく」を目指すことが多く専門的な記事とは言い難くなる時もあります。そのため記事ではカバーしきれません。
専門家やコラムニストの方々が納得するような情報で、尚且つ他の人にも配慮した両立した内容で返事を書くのは難しいのです。
ではコメントで返したらいいのでしょうか?
社会というのはとても広い範囲で語れる分野です。
相手が一般的な内容の要望をしてきたのなら一般的に書くことになります。質問者が専門知識をどれだけ持っているかも分からないわけですから。
そうなると範囲が広くなり、様々な状況を想定して補足しようとすると膨大な情報量になります。
noteのコメントは1つにつき500文字までです。これも難しいですね。
敬意も対価も払わずご自分にとって有益な情報をこちらの都合を考えず求めることはしないでいただきたいのです。
もし専門的な話がしたい場合はメールやDMなど、一対一で情報交換できる環境でお願いします。ただし返信を怠らない人に限りますけどね!
難しさ
複合的な事象の解説は複雑になりがちと書きました。
それがどの程度なのか、どのように話が広がり情報量が増えていくのかの例を示したいところです。しかしここで自分の記事を引用するとただの言い訳に見えてしまうかもしれません。
そこで人様の記事をお借りして少しだけ解説させていただきます。
記事の内容は「フィンランドでの就職はなぜ難しいのか」です。
最初にある一つ目の理由「事業主の税負担が大きい」について、記事の一部を抜粋させていただきます。(抜粋していますができればウェブサイトに訪問して記事を読んでいただければと思います!)
フィンランドでの就職が難しい理由の内の一つとして雇用主が被雇用者に対して社会保障の負担をしなければならない点が言及されています。
雇用主の支払いから最終的に被雇用者の手元に残るのは半分以下。
これが「雇う側が採用に慎重になる」理由です。
雇用主が支払う額と被雇用者の手取り額の差額がどの程度なのかグラフも掲載されています。
この説明は正しいです。
そのためこれを見て「なるほど!」と思った方も多いでしょう。
しかし中にはこのように思った方もいるのかもしれません。
こう思われた方を対象に試しに説明しましょう。ただしフィンランド社会に対する知識がある前提で説明をしてみたいと思います。
(なんだか意地悪をしている気分です!)
雇用主負担が少なくなれば雇用が容易になる?
短いスパンで、かつ局所的に見るならば容易になりえるかもしれません。
しかし最終的には元の状態に戻るでしょう。
つまり長い目で見ると雇用主側の負担を減らしても雇用は容易にはならないとも言えます。
仕事が見つけにくい要因として見た場合、それこそ雇用主が負担する社会保険料を仮に被雇用者が負担したとしても変わりはありません。
どちらが負担しても経済学的には同じことになると言えるでしょう。
つまり雇用主および被雇用者、両方の負担を含めたVerokiila(税のくさび)ベースで本事例を見るのが大切になってきます。
給与が関係するので今回注目すべき点はもちろん被雇用者の生産性です。
次点でフィンランドの社会福祉と労働組合です。
どうでしょうか?
うーん、やっぱり自分は説明するのが下手ですね!精進しなければ。
こんな説明で分かってくれた方はどれだけいるのでしょうか。
(分かった方はそもそも解説無しでも問題ないかもしれませんが)
上記以外にもテーマと関連した疑問を思いつく方もいるでしょう。
これらを誰にでも分かりやすく解説するとしたらどんな説明をすべきでしょうか。ぱっと思いついただけで以下の説明が必要かなと思いました。
必須知識なのでまず労働協約について知っておきましょう。非常に大切な要素なので既にnoteで労働組合については書いてます。
そもそも給与がどう決まるのか、需要と供給についても話しましょう。
フィンランドの年金制度やEKなど、フィンランドの社会について知っておくと理解が深まるでしょう。
もし「フィンランドの失業率の高さ」についても言及するなら福祉社会の弊害、Kannustinloukku(Welfare trap)の説明も必要ですね。
全部書いたらすごいボリュームになる
自分では全てを書ききることは難しいです。どっかのすごい人が10行くらいで簡単に説明してくれるのを期待して待ちたいくらいです。
ちなみに先ほど例として引用させていただいたブログはどうでしょうか。
この記事はフィンランドに移住を考えている方を対象にしているでしょう。
社会学の専門家に対して書いているわけではないようです。
「興味を持ってもらいたい」「知るきっかけとなってほしい」といった目的があるように私は見えます。
そのため複雑な説明を避け、伝わりやすいように文章を短くし、分かりやすさを求めたかのような書き方です。
目的に合った正しい書き方だと私は思います。
自分が書いたものも含め、この手の記事は専門家やコラムニストの方からみたら主要部分を搔い摘んだだけの記事に見えるかもという話でした。
フィンランドの情報をブログやSNSで発信する人の大半がそうではないかなと最近思っています。
情報記事を読む人には「これしか情報がないなんて大したことないな」と簡単に判断しないで欲しいと思うわけです。
書いてある側も色々悩んで、あえて記載する情報を削り簡素化したりする可能性があることを忘れないでください。
おわび
ちょっと愚痴っぽくなってしまいました。
普段からフォローしてくださって自分の記事を読んでくれてる方、今度の記事は何だろうとわざわざこのページを開いた方には申し訳ないことをしたと思っています。
そのためお詫びとして何かないかなと考えたところ一つの動画を思いつきました。それの紹介です。
この記事では経済の話が出てきましたね。
経済というのは生活を豊かにするべく人類が生み出した知恵の産物です。
経済学は投資やビジネスのための学問ではありません。
金儲けのためではなく人々の生活や社会をよりよくするための学問です。
経済と聞いて難しそうと思った方も多いはずです。もちろん複雑になったりするときもあります。しかし本質自体は難しくないんですよ。
今回の話で経済に少しでも興味を持った方に是非見てほしい動画がこちらです。非常にシンプルに解説されています。ぜひ大画面で見てほしい!
ただ30分もある動画を一気に集中して見るのは難しい人もいるかもしれません。そういった人はこの考えだけでも覚えてくれると嬉しいです。
これは本当に大切な考えです。
特にインフレに不慣れな日本人にはぜひとも知ってほしいのです。
今まで話したかったのに中々できなかった経済の話を少しできたので今回ちょっと嬉しかったり。
フィンランド経済の話ならともかく、経済そのものの話は直接フィンランドと関係がないことも多いです。そのためブログで話すのも違うなとずっと思って書いてきませんでした。
書きたいことはあるのに話す場がない話題は消化が難しいですね。