Action! Action! Action! / The Guiloteens
サイコゥ!サイコゥ!サイコゥ!という邦題がお勧めです。
ふと棚にあったCDで目についたので取り上げて見ました。
The Guilloteensは音楽の街テネシー州はメンフィスのバンド。
これはThe Guilloteensとその前身バンドや関連音源を集めたコンピレーションアルバムで、
なんと2枚組なんですよ。いわゆるコンプリートレコーディングス、全音源を網羅したやつです。と言いたいところですが、微妙に欠けてはいました。
Action! Action! Action! トラックリスト
Disk 1 - The Guilloteens
01 Hey You
02 I Don't Believe
03 For My Own
04 Don't Let The Rain Get You Down
05 I Sit And Cry
06 Crying All Over My Time
07 Wild Child
08 You Think You're Happy
09 Dear Mrs. Applebee
10 I Love That Girl
Disk 2
01 Standby - The LeSabres
02 Risin' Mercury Blues - The LeSabres
03 Summer Nights - The LeSabres
04 Heaven In My Arms - The LeSabres
05 A Million Miles From Nowhere - The LeSabres
06 Knee Beat - The LeSabres
07 Markin' Time - The Memphis Marks
08 Just Jam - The Memphis Marks
09 I Love How You Love Me - Nino Tempo And April Stevens with The Guilloteens
10 Girl - Buddy Delaney And The Candy Soupe
The Guilloteensっていう名前と、Action! Action! Action!というタイトルからして、ファズがブリブリ、オルガンがファオファオしていると思うでしょ?
してないんです。思ったよりも地味なんです。ヘッダー画像のようなサイケ感もないんです。でも、悪くないよ。実力派のいいバンドだよ。
The Guilloteensを振り返る前に
ターニングポイントってありますよね、あの時こうしていたらその後が変わっていなんじゃないかという。The Guilloteensには他のガレージバンドとは異なる明確なターニングポイントが2つあるとライナーを読んで感じました。
彼らの歴史とともにターニングポイントを感じてもらえると、より彼らへの愛情が湧いてくると思います。
The LaSabres - 高校時代
もともとは高校生の仲間で作ったバンドで、1961年にはThe LaSabresとして活動していました。
後のThe GuilloteensのメンバーはLaddie Hutchersonさんのみでした。
この頃はわずか16、7歳だったにも関わらず3枚のシングルをリリースするほどの実力があったようです。
ただこの頃はサックスやトランペットを含んだ編成で歌は一部でしかなく、プロムとかで演奏してるバンド的な音楽スタイルでした。演奏の技量そのものは高いなと感じましたが、そこまで先を見たバンドではなかったような印象です。
結局バンドは1963年には解散となってしまいます。
The Guilloteens - 結成からロサンゼルス期
その後、Laddieさんはバンドの活動で知り合ったLouisさん、当時15歳のJoeさんを誘って三人でバンドを始めることにしました。
髪の毛を伸ばして、イギリス人っぽい服に身を包み、名前をThe Guilloteensとして。
バンド名は「なんかイギリスっぽいから」とのこと。イギリスっぽい?のか?
いずれにせよThe Guilloteensが始まったわけです。
1965年になると、マネージャーが当時人気のあったShindigに出演させるため、
オーディションに参加させようとロサンゼルスへと向かいます。
そこでRed Velvetというライブハウスに出演するようになります。
なんか、思ったよりも見通しがいいですよね。
そこでライブに出演していた、Righteous Brothersが連れてきていたPhil Spectorと出会います。
え?Phil Spector?本物?神無月のモノマネじゃなくて?もしかして誇張してるやつ?
そして気に入られたThe Guilloteensは彼のプロデュースでI Don't Believeを録音することになります。
ビッグチャンス!
ところが録音したものの、仕上げをする前に仕事でPhil Spectorがニューヨークに行ってしまいます。
Wall of Soundの前に・・・。
マネージャーはPhil Spectorが帰ってくるのを待てず、勝手にレーベルと契約をしてしまいます。
Habana-Barberaというフリントストーンなどで有名なカートゥーンの会社で、結局そのままリリースされてしまったようです。
このI Don't Believeは悪い曲ではないのですが、なんかもっさりしてますよね。この後Phil Spectorがなんかしてたら、なんて考えるともう少し違ったものになっていたかもしれません。
とはいえプロモーションの成果でWhere The Action IsやShindigといった番組にも出演することができたそうで、成果はあったと言えそうです。
そんな時の映像らしきものがありました。
Shivareeっていう番組のようです。
やった!成功間違いなし!
なんて側から見ると思いますが、彼らはなぜかここで一旦帰郷します。
なぜ全国放送の番組に幾つも出たのに帰郷してしまったのか。この時の勢いのまま、次のシングルそしてアルバムとリリースしていければ良かったと思うのですが。
The Guilloteens - メンフィス期から解散へ
ライナーでは帰郷した彼らが持て囃された話があるんですが割愛。
なんかエルビスの家にも招かれたとか。まあ、どうでもいいですよね。
1966年になると、Louisさんが脱退、メンバーの入れ替えが起こります。
この頃はPaul Revera & The Raidersとツアーに出たりしていたそうですが、肝心の音源のリリースは今ひとつ。
1967年は心機一転、Columbiaとサインを交わしますが、ここでも今ひとつ。
1968年、オリジナルメンバーのLaddie Hutchersonさんが体調を理由に脱退。
バンドはなんとか継続されますが、それは過去の栄光にすがるだけのものでした。帰郷してからはパッとせず、徐々に消えていったという印象です。
振り返ってみると、なぜPhil Spectorとの出会いを大事にしなかったのか。なぜ全国に売り出す機会を得たのに地元に帰ったのか。という二つのポイントが見えてきます。
そしてなぜLPがリリースできなかったのかという疑問も残ります。
うーん。なぜでしょう。まあライナーを読む限りではその答えはなく。LPを出せなかったという点については、オリジナル曲を作っていたがあまり曲が揃わなかったということなのかもしれません。
それでも他のガレージバンドと同様にカバー曲を半分くらい入れてでもLPを出せればまた結果は変わっていたのかなと思います。
The GuilloteensのOdds & Sods
このコンピレーションアルバムには、The LeSabres、The Guilloteensの音源はもちろん、関連音源も収録しています。
The Memphis Marks
これはLaddieさんを中心にメンフィスにいたミュージシャンが集まってなんとなくスタジオで録音したジャムをThe Guilloteensのマネージャーがリリースしたやつとのこと。
歌もなく、なんとなく曲になってるけど、特にこれといった感想はない・・・。
Nino Tempo And April Stevens with The Guilloteens
これはロサンゼルス時代に出会ったNino TempoとApril Stevensの二人と録音した未発表曲とのこと。
印象的なバグパイプを吹いているのはThe GuilloteensのLouisさん。
ファズギターのソロもいい味ですが、バグパイプの音がでか過ぎて邪魔ですね。個人的にこの曲が好きというのもあります。
ほら、偶然にもLes Sauterellesもこの曲のカバーをしています。
ついでに。Nino Tempo And April StevensをYouTubeで確認したら、怪しい映像が。
どういう意図なのかわかりかねますね。
音源
YouTubeにもいくつかありますが、Spotifyの方を。
なんか若干バージョン違いな感じがする、よりワイルドな奴がありました。この曲Hey Youは割と人気の曲らしく、他のコンピでもカバーしているバンドがいました。
サポートをしていただけたら、あなたはサポーター。 そんな日が来るとは思わずにいた。 終わらないPsychedelic Dreamが明けるかもしれません。