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Lost Innocence - Garpax 1960s Punk & Psych / V.A.

なんかすごい時間がかかった記事です。

信頼のBIG BEAT、何より音質がいいのがBIG BEATのコンピ。
もちろん曲も悪くないはず。

今回は何気なくAmazonで購入した、60年代カルフォルニアのガレージバンドコンピ、Gary Paxtonさんがプロデュースした曲をまとめたものでした。
全12バンド、1つは不詳でした。

いつも通り勢いのあるディスクユニオンのレビューも参考にどうぞ。

Lost Innocence

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トラックリスト

01 Our Love Should Last Forever - The Whatt Four
02 Be A Cave Man - The Avengers
03 Guaranteed Love - Limey & The Yanks
04 Lost Innocence - The Buddhas
05 Grey Zone - The Fog
06 I Need Love - The New Wing
07 See If I Care - Ken & The Fourth Dimension
08 In The Heat Of The Night - Mental Institution
09 When It's Over - The Avengers
10 You're Wishin' I Was Someone Else - The Whatt Four
11 Flight Of The Dead Bird - Limey & The Yanks
12 My Dream - The Buddhas
13 I Told You So - The Avengers
14 Peddlers Of Hate - Don Hinson
15 Melodyland Loser - The New Wing
16 The Highly Successful Young Rupert White - The Chocolate Tunnel
17 Tomorrow Never Comes - Limey & The Yanks
18 You Better Stop Your Messin' Around - The Whatt Four
19 Shipwrecked - The Avengers
20 This Freedom I Have Found - Unknown Artist
21 Leather Coated Cottage - Limey & The Yanks
22 Brown Eyed Woman - The New Wing
23 My True True Love - The Avengers
24 I'll Never Let You Go - Carl Walden & The Humans

ある程度ちゃんとしたところが編纂しているというのに演奏者不詳なんてあるんですね。
ライナーはちょっと充実しすぎてて、なかなか小難しい英語でした。

Gary Paxtonさんとは

すいません、全然存じ上げなかったけど、けっこうキャリアのある人でした。
Gary Paxtonさん、本名はLarry Wayne Stevens。え、全然名前違うのね。
幼少期はいろいろあって名前が変わったりしたそうです。
レコーディングプロデューサーでありエンジニア。一人で全部やっていたそうです。
プロデューサーとしては、Alley OopやMonster MashをビルボードのTop 100ヒットにしたり、有名なところでは、The AssociationのAlong Comes Maryでグラミー賞のエンジニア賞にノミネートされたりしました。
Tommy LoeやPaul Revera & The Raidersなんかのプロデュースもしていました。

もともとは50年代にSkip & Flipとしてヒット曲を出した後、60年代はプロデューサーとして活動します。

どっちがPaxtonさんかな。右かな〜、左かな〜。
まずは曲を録音しデモを持って売り込んでから、グループ名を決めてリリースという営業方針だったようで、
自宅にレコーディングスタジオがあり、そこに気に入ったバンドを見つけては録音していたそうです。

70年代以降はゴスペルに傾倒して、それらの音楽のプロデューサーとして活動していったようですが、それはまた別の話。興味がないので読んでません。

Kenneth Johnsonさんとは

もう一人、このコンピレーションに関して重要な人物が、Kenneth Johnsonさん。
Paxtonさん絡みで地元のバンドに数多くの曲を提供していたそうで、
このコンピレーションに関連したところでは、
Ken & the Fourth Dimensionの “See If I Care”、The Avengersの “I Told You So”、“You Can’t Hurt Me Anymore”
Limey and the Yanksの“Love Can’t Be a One Way Deal”
まさにズブズブの関係!

あとでわかったんですが、この人の父親Lloyd Johnsonさんというんですが、地元で手広くやってた人らしく、Paxtonさんと一緒にレーベルを立ち上げていたようです。

そんな二人によって若者たちが集められてはレコーディングをしていったわけですね。

それでは気になったバンドに触れていきましょう。

The New Wing

The New WingはDavy Petersをメインに据えるためのバンドのようです。
もともとはカナダのThe Sons of Adam(LAのとは別物)というバンドだったところに、Gary Paxtonさんが連れてきたDavy Petersさんをボーカルとして、The New Wingとバンド名も変更して作り上げたようです。
そしてPentacleからデビューとなるのですが、このPentacleはPaxtonさんのレーベルで、
デビュー曲となる“The Thinking Animal”を書いたのはKen Johnsonさんら。
ズブズブの関係!

I Need Loveはファズとシャウトにまみれたガレージナンバーです。

Ken & The Fourth Dimension

Kenneth Johnsonさんのバンド自作の曲をThe Trippersという自身の兄弟がメンバーのバンドに演奏させて、
Paxtonさんと自身の父親Lloyd Johnnsonさんのレーベルからリリースしたズブズブの局地のようなバンドです。
曲は・・・、ピンとこなかったです。

The Avengers

The Avengersといえばオーストラリアのバンドも有名ですが。こちらはカルフォルニアのThe Avengers
このバンドはカルフォルニアのベーカーズフィールドというところのバンドで、そこそこの人気を誇ったものの、シングル数枚をリリースする程度で解散となってしまいます。
バンドは健康的なThe Seedsといった感じで、明るめ、ポップな音でした。
Be A Cave Manはまさに健康的なThe Seeds、少し歪んだボーカルとオルガンが特徴的です。この曲はPaxtonさんが作曲に入っていました。
When It's Overはオリジナル曲で、前述のBe A Cave Manとは明らかに歌が違いますね。
もしかするとボーカルは別かもしれません。
そして音も以前のような歪んだものではなく、割とストレートなブリティッシュビートのようになっていました。悪くはないんです。でもBe A Cave Manのようなのを期待してしまうぼくがいます。
ということはPaxtonさんに魅了されているのかも・・・。

The Buddhas

The Buddhasも地元ベーカーズフィールドのバンドで、本作収録の2曲が唯一のリリースとなったシングルになります。
Lost InnocenceはPebblesにも収録されていたので有名曲ですね。
そしてこのコンピレーションのタイトルにもなっています。
バンドのオリジナル曲で、勢いがあってガレージ!って感じの曲ですよね。
The Buddasとしてのリリースはシングル1枚のみ、のちの活動も不明です。

Limey & The Yanks

Limey & The Yanksはこのコンピレーションアルバムのジャケットを飾っているバンドです。
地元はもちろん、幅広く人気があり、テレビ出演なんかもあったらしいですが、アルバムを出すことなく消えてしまったバンドです。
肝心のリリースは極端に少ないんですよね。

Guaranteed Loveはソフトなストーンズといった趣のある曲です。悪くない。
ただどっちつかずな感じもあります。
Tomorrow Never Comesはよい曲。曲としてはこちらの方が好きですが、どちらも今ひとつ決め手を欠いており、シングルヒットするような曲ではなかったようです。

このコンピレーションには入ってないのですが、Love Can't Be A One Way Dealもいい曲です。

あれ、これが一番好きかも。
こういうしっとりした曲あっていたのかもしれません。

The Whatt Four

作詞・作曲を担当したGreg SandersさんといとこのTom Ferenceさん、そしてTomの隣人であるTom Bittersさんは幼馴染、のちにJohn Langdonさんが加わりメンバーが揃ったのが1965年ころのようです。
バンド名の由来はWhattって綴りにしたらかっこよくない?っだったとか。
バンドは主にカルフォルニアのリバーサイドにあったMystic Eyeというクラブで箱バンドとして活動していて、ロサンゼルス、サンディエゴあたりでもライブをしていたようです。
バンドがGary Paxtonと出会ったのはLAのデッカレコード。
彼らがデモ音源を売り込んでいたところ、彼らにPaxtonさんが興味を持ち自身のレーベルでのリリースを提案したそうです。
そしてPaxtonさんが持っていたデモ曲(Dandelion Wine)でマーキュリーに売り込んで発売となったのでした。
ところが、その矢先、メンバーのGregさん、そしてドラムのTomさんが相次いで徴兵されたため、バンドは活動停止し自然消滅してしまいました。
退役後、Johnさん以外のメンバーが集まり“Allis Chalmers”というバンドを組んでレコードもリリースしたそうです。

Gary PaxtonさんのレーベルESPからリリースした彼らのデビューシングルがYou Better Stop Your Messin' Aroundで、これは地元でヒットします。
これは緩急をつけた曲とコーラスワークで、なかなか良い。

総括すると

最初はちょっと怪しい人かなと思ったPaxtonさん。でも昔ヒット曲出してるし、有名なバンドのプロデューサーだったり、レーベルもやってるし、ちょっとお世話になってみてもいいんじゃない?なんて思いました。

何度も聴いているうちにこのコンピレーションは中毒性の高い曲が収録されているなと感じています。今回取り上げていないバンドも、聴き直したら好きになるかもしれません。だから記事にするまで時間がかかったのかな・・・。

もうPaxtonさんのことが気になってしまった人には、もう少し売れ線のやつをまとめたコンピレーションも出ていました。


音源

これまるっと全部Spotifyにありました。Be A Cave Man以外も知ってください。

ついでにPaxtonさんの作品を集めたやつもあった!ぼくはまだ聴いてません!


サポートをしていただけたら、あなたはサポーター。 そんな日が来るとは思わずにいた。 終わらないPsychedelic Dreamが明けるかもしれません。