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Psychedelic States 追補編

知ってた?まだ夢は覚めないって。

あらすじ

Psychedelic Statesとは・・・。
アメリカには50の州があるという・・・。
前世紀、二つ目の世界大戦が終わった後、アメリカではイカすバンド天国の時代が到来し、
各州、街、家のガレージでみなが楽器を持ち演奏する狂乱の時代となったのだ。
そして産み落とされた数多の音楽たち。
そのほとんどが忘れ去られて久しくなった21世紀。
忽然と編纂されたのがPsychedelic Statesと冠されたコンピレーションアルバム。
それは州ごとに編纂され、数多くのローカルバンドたちの知られざる音源が収録された
まっこと歴史的に意義のあるアルバムとなっているという・・・。

原文は不詳。

そんなわけで終わらないPsychedelic Dreamこと、Psychedelic Statesの追補編です。
たぶん、その1です。続編が編纂されると期待して。
追補編としたのは、久しぶりに指輪物語の映画を観直して、いろいろと調べていたせいです。

前回までのPsychedelic States

2021年のPsychedelic States

前回の三部作が2016年だったのですが、2017年に1枚そして2020年には2枚のアルバムが発売されております。
はい、もちろん購入しているのです。
すっかりそんなことをまとめていたことを忘れていたので、このタイミングでの更新となりました。
(ミズーリは前回のエントリ時に含まれていたようですが、今回も確認していたのでそのまま触れていきます)
今回もそこまでPsychedelicでもないバンドたちが揃っておりました。

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トラックリストはdiscogsを参照のこと。

Missouri in the 60s

まずはMissouri、ミズーリ州、戦艦ミズーリ。。。
アメリカ中央部に位置し、セントルイス、カンザスシティなどが有名な都市になるようです。
あとはチャック・ベリー。
とはいえ、全体的にチャック・ベリー感溢れるとか、ロックンロールっぽさを感じることはありませんでした。
ちなみに全編通しても、土地を感じるという意味ではテキサスとかミシガンあたりに若干あるかなというくらいの印象です。
前回の視聴編でも含まれていたのですが、ちょっと自分でも記憶や思い出があやふやだったので、あらためて聴き直してみました。
そしてミズーリの広い空と思い浮かべてみました。

気になった曲とバンド:ミズーリ編
全体的にサイケ感は薄目、かといってファズが強いものがあるわけでもなく、
緩めもソフトロック的な楽曲が多めの印象でした。

Everything's Gone Wrong / Larry Knight & The Upsetters
セントルイスのバンド、Larry Knightさんはローカルヒットを飛ばしたものの、
徴兵されたためにバンドは一時停止、70年代にLPを出したようですが成功はせず。
この曲の出だしはナチュラルなサイケ、醸し出す感じの真似できないやつかと思わせますが、
曲は特にトリッキーなところはなく。
でもやはり醸し出すところが、心地よく不思議と何度も聴ける曲でした。
ゆらゆら帝国の最後のほうみたいなの。というと言い過ぎか。うん言い過ぎ。

What You've Shown / Symbols
同コンピに収録のThe Squiresにいたリチャードさんがのちに組んだセントルイスのバンドです。
高校の時にThe Squires、大学に入ってSymbolsになったようです。
これも軽いファズ、Pebblesとかに入ってそうなポップさもあり。
単調な曲ながらもなんかそのまま聴いてしまっていると、最後にボカーン!で終わります。
センスの片鱗を見せて、全貌は見えない曲でした。
時折入る、重いものを持ち上げるときの声もいいですね。
後年はひとかどのおっさんになって、地元でカーディーラーの会社を経営しているに違いありません。

West Virginia in the 60s

ウェストバージニア州、アメリカ東部に位置し、ワシントンにも近く、州都はチャールストン。
ジョン・デンバーのカントリーロードで歌われるのは、このウェストバージニア州を通過しているときの心情とのことです。
まあ余談です。

Disk Unionの勢いあふれるレビューも参考までに。

気になった曲とバンド:ウエストバージニア編
Hey You / Evil Enc. Group
オークヒルのバンド、ドラマー兼リードヴォーカルのダグさんによって結成されたそうです。
モンキーズが採用しなかった曲みたいな始まりから、ポップに行くかと思いきや
程よくダウナー、程よく歪んだギターとサイケ感は十分。
その他カバー曲もレコーディングしているようですが、それらは未収録。
ポップに振り切れない、サイケに至らないというのが典型的なウェストバージニアっ子ですね。知らないけど。

Duh / Fantastic Emanons
ルイルイの亜流みたいな曲で、初めて作った曲です!というやつ。
このローカル感はかなりいいですね。地元じゃ負け知らず。
演奏とか歌とか曲とかそういうところは普通です。
だからこそいい。友達のお兄さんのバンドって感じです。
この曲はバンドメンバーのラスさんが作曲していて、その他レコーディングされた曲も彼が手掛けたとのこと。
ライナーに乗っていたウェブサイトは既になくなっていたようで、その後はわかりません。
YouTubeにあった、Sippy Sippy Sop Slop


これを聴くとやはり地元で人気のパーティバンドといった趣があります。
そうだよ、それでいいんだよ。
後年は中古自動車の販売業を手広く営み、ウェストバージニアっ子らしさを発揮していたに違いありません。知らないけど。

Go / Mojos
あれ、Mojos、割とメジャーじゃない。いやあれはイギリスのバンドですね。
それを知ってか、知らずか同じバンド名に。けっこうMojosって見かける気がするので、これはなんとかのMojosみたいに言うべきかもしれません。
下町のダルビッシュ的な。
確認してみた。
Fuzz, Acid and Flowersによると、The Mojosは二つだけでした。意外と少なかった。
コネチカット州のMojosと、ウェストバージニア州のMojos。
で、こちらは後のThe Muffettsでおなじみの方です・・・。おなじみなのか?
オハイオに移ってから、マネージャーの勧めで改名したようです。
The MuffettsになってからのLostという曲はなかなか良いサイケポップでした。
オハイオはウェストバージニアのお隣なんですね。

Tryin' To Come Back / Plastic Menagerie
サイケディラン参上!といった趣のある曲でした。
メロディはボブ・ディランのなんかの曲に似てる感じで、
後ろでずっとシャワシャワと何かが鳴っているんです。
これは「マスターテープの問題」なのか、狙った音なのかはよくわかりません。
ライナーにも詳細はなく、よくわからないということでした。
友人に配るようでプレスしたやつとかそういうレベルなのかもしれません。

The Dakotas in the 60s

Dakotasとなっているのは、North DakotaとSouth Dakotaをまとめた表記。
実際に両州はもともとはダコタ準州としてひとつだったものが、1889年に北と南に分けられてそれぞれ州になったのです。
アメリカ中央部の北に位置し、隣はカナダ。面積は大きいものの人口や、人口密度は低く、46位、47位あたりに並んでいるようです。
North Dakotaといえばファーゴ、そうコーエン兄弟のファーゴ。
でもファーゴの舞台というわけでもなく、実際は冒頭の酒場のみがファーゴで以降はミネソタ州でのお話とのことです。
South Dakotaはスーフォールズという都市が一番大きいようですが、あまり有名ではないような。

気になった曲とバンド:ダコタ編
Wine, Wine, Wine / The Bleach Boys
南ダコタはスーフォールズの2つのバンド(The JaguarsとThe Catalinas)のメンバーが合流してできたバンド。
そうスーパーバンドですよ。南ダコタのThe Moveとでもいいましょうか。
これはまあ普通のカバーです。特別素晴らしいとか、アレンジがどうとかいうことはないんですが、
個人的にWine, Wine, Wineが好きなもので。
他にもこういったパーティ向けのヒット曲を演奏していたそうです。

You Rule Me / The Cornerstones
北ダコタはグランドフォークスのバンド。オリジナル曲を中心に活動していたそうで、
このYou Rule Meがデビュー作でローカルチャートのトップになったとか。
ローカルチャート、どのくらいローカルなのかよくわかりませんが。
いい声、そしてガチャガチャしたポップな曲で耳に残りました。
サイケ感はあまりないけど、楽しい曲です。
他のオリジナル曲も気になるところですが、本作には収録されていません。
YouTubeにB面のOur Love Is All Throughはありました。
Alan Bown Setがアメリカにやってきた感じの曲でした。

Artificial Rose / The Lost Souls
北ダコタはディッキンソンのバンド、オハイオの方ではありません。アーカンソーの方ではありません・・・。
いや、ちょっと確認したらアメリカだけで7ついたんですよ。
オハイオのThe Lost SoulsはのちのThe Choirのメンバーを含むので本家として覚えておきましょう。
この曲オリジナルはErnie Marescaという人の曲らしいですが、ちょっと見つかりませんでした。
それを「今夜は眠れない(12時くらいまでは)」といった感じでアレンジ。
割と途中で眠れそうな今夜は眠れないに仕上がっています。
たぶん、根はいいやつなんでしょうね。ダウナーを気取っても本質的ないいやつが顔を出しています。
多分生粋の北ダコタっ子らしく、過ぎたことは気にしない性格だと思いますよ。

Chains On My Heart / The Trenchmen
北ダコタはマイノットのバンド。高校生にしてこのレベル、曲もギターのグレッグ君(多分今は70過ぎ)が唯一のシングルの両面を作曲したとのこと。
シーケンサーでも使っているようなミニマルなオルガンの音が印象的な曲。
これは・・・、サイケだ。
ローカル感といい、このPsychedlic Stateを象徴するような、程よいサイケ。
B面の曲Travel With Meも本作に収録されています。
地を這うような掠れたファズがのたうつ佳曲です。悪くない。
総じてローカルバンド感が感じられるので好きなバンドです。
こういうバンドが一歩違えばThe Count Fiveみたいになっていたのかもしれません。
そう、そんな可能性がここにも合った。
バンドは卒業とともに解散してしまいますが、グレッグ君は前述のThe Lost Soulsに参加したそうです。

果たしてまだ続編がでるのか、さすがにもう終わりなのか・・・。
こっちは白地図塗りつぶして待っててやるからな。
目指せ、全州制覇。

サポートをしていただけたら、あなたはサポーター。 そんな日が来るとは思わずにいた。 終わらないPsychedelic Dreamが明けるかもしれません。