見出し画像

Psychedelic States 試聴編

ここまでのあらすじ
膨大な量のアメリカのローカルバンド音源をまとめたコンピレーションを発見したトカチェフ。
聴くことの前に揃えることに尽力して、すっかり放置プレイを続けてしまったりして。
それでもようやく重い腰を上げてまとめを始めつつ、音源をすべて聴くアメリカ50ヶ所巡りを始めたのです。
順々にこなし、いや楽しんでいき、ついにすべての音源を一通り聴いたのでした。

前回までのPsychedelic States

購入編、統計編ときて、ようやく中身に入ります。
聴き始めてみるとやっぱりその量に圧倒されました。
でも後悔はしない、だってもともと好きなものを、好んで聴いているのですから。

Psychedelic States in iTunes

60年代の曲のいいところ。
ひとつひとつは2分半から3分程度なので、次々と聴いていけるというのもあります。
まれに長いのがあった場合は軽く舌打ちします。
たいていそういった曲はあまり出来が良くないブルース調のギターソロが入ります。
「そういうの募集してないのよ〜。」
ぼくはシンプルな曲が好きだし、そういうのを求めてこのコンピを買っているのですから。

まずこのコンピレーション用にiTunesライブラリにて、スマートプレイリストを作成しました。
アルバム:Psychedelic Statesを含む
再生回数:0
このプレイリストを通勤の時にかけて過ごしています。
その曲数が毎日減っていくのは、ノルマをこなしているようで、ある種の達成感があります。
ノルマ?

こういってしまうとなんですが、すべての曲が素晴らしいとか、興味深いということはありません。
残念ながら。
それならば、もっと早くに発掘されてメジャーなコンピに収録されていたはずです。
いや、なんなら売れてれば、それ以前に名前が知れていてここに収録されないんでしょうね。
そういうところを差し引いて、聴いていく心構えが必要となります。
端的にいうと、退屈な時もあります。
それでも曲はスキップしません。それが彼らというか、彼らの音楽に対する「愛」だから。

もともと欲しくて買っているのだから、気になる曲は多数あるわけです。
ぼくは聴きながら、そういった曲に出会うたびに、レート★をつけていきます。
印象としては、オルガンが入っているものに良作が多かったきがします。
単純にぼくの好みと言ってもいいのですが。

一通り聴き終えたらそのスマートプレイリストを変更します。
アルバム:Psychedelic States
レート:★より大きい
これによって何曲がぼくの心の琴線に触れたかがわかります。
ここに残った曲をもう一度、じっくり聴いてみるターンに入るわけですね。
その前にまずは1ターン目の結果から。

結果
全618曲中レートあり、 202曲

なんということでしょう。
その確率は32.69%となりますね。

これは当初の予想を超える確率。
なんなら100を下回るのではないかと懸念していたので・・・。

しかしながら、そうなってくると2ターン目に聴くべき曲が増えてしまうことになります。
ここからじっくりと聴いていこうかな、特に気になるものはライナーで確認していこうかなと思ったんですが、
ちょっとそれには対象が多過ぎますね。

ということで、ハードルを少し上げてみます。
アルバム:Psychedelic States
レート:★★より大きい
するとどうでしょう。驚くほどに曲数が減りました。
結果は20曲でした。

うん、いいのか悪いのかよくわからないね。
この20曲のみを集めたコンピレーションアルバム、Best of Psychedelic Statesがあれば言うことなかったのかもね。
20曲ならばアルバム一枚にボーナストラック入りくらいの感じになるので話もしやすくなりました。
これらの曲は何かのタイミングで聴いてみたいレベル。
ドライブしている時にかかる曲の1曲とかそんな感じです。中でも気になったものを挙げてみましょう。

Alabama In The 60's Vol.1

Walkin' The Dog / The Tories
小気味良いファズギター、ナイスカバーです。
力の抜けたChocolate Watch Bandといった趣です。
ちょっといい学生バンドといったところでしょうか。
聴いているとアラバマの広い空の下で大らかに育ったんだろうなと思わされます。

I'm Leaving Here / The K-Otics
こちらもアラバマ。
Kinks型の曲、軽快なというか軽薄な音というか。
もうあんまり深く考える必要はありません。Pebbles1とかに入っていそうな典型的なローカルバンド感。
きっとアラバマの広い空の下で大らかに育ったに違いありません。

Alabama In The 60's Vol.2

I Spy / Weejuns
これもアラバマのバンド。
The WhoのWho are you?のイントロのような音で始まるのですが、
オルガンをいいアクセントになった佳作でした。
きっとアラバマの広い空の下で大らかに育ったのです。

Florida In The 60's Vol.2

Down / Rockin' Roadrunners
なかなかに騒がしい曲、音数が多くて。
陽気でPebblesに入っていそうな曲でした。

Georgia In The 60's

People Say / Rogues Inc.
今夜は眠れない的な曲、棒立ちで歌ってそうな感じです。
ジョージア州ってどの辺りかよくわかりません。

Maryland in The 60's

Words Of The Raven / The Piece Kor
ややダウナーな曲調で、冗長で上手くはないのになぜか心地よいギターソロ。
不思議な魅力のある曲で好きでした。

Missouri In The 60's Vol.1

Tall Towers / CLANN
そうこうしてたら発売されていたMissouri Vol.1/.2の2枚組より。
ソフトロックよりなのですが、ファズギターのスパイスが程よく粗野で良い。

Ohio In The 60's Vol.1

A Message For You / The Travelers Four
こちらもソフトロックより、ちゃんとプロデュースされていればソフトロックのコンピに入ってそうなバンドです。
Perfumed Gardenとかそういうやつ。
でもアメリカっぽいバタ臭さが残っているのが良い、Five Americans的なのね。

Inside Looking Out / The Other Guys
Animalsから徹底的に黒っぽさを排除した結果、「孤独」も「叫び」も感じられなくなったようなカバー。
そこが逆に魅力になってしまったという不思議なバンドです。
ペナペナしたギターの音、終盤の中途半端なRave upなど、ローカル感が増していきます。
こんな言い方だとけなしているようですが、この曲が一番好きかもしれません。

こうして全部聴いた結果、カバーでもオリジナルでも小気味いい曲が多くて
派手な音や突飛なものはなかったのですが、小粒ないいローカルバンドが多数いたということは確認できました。
そしてやっぱりアメリカは広いなと感じさせられました。

たぶんまだ続編もでるはず、終わらない。

サポートをしていただけたら、あなたはサポーター。 そんな日が来るとは思わずにいた。 終わらないPsychedelic Dreamが明けるかもしれません。