#13経営者になるためのノート by柳井正

チームに燃料を入れて、描く世界観を実現していくことが思ったより難しいなと思っていた今の自分に、喝を入れ進むべき方向、立ち返る場所をくれた本。これから何十回と読み直して咀嚼して、我が血肉にしてビジネスを実践していきたい良書。

経営者とは、一言で言えば「成果をあげる人」です。
成果とは約束をしたことで、これを成し遂げる為に会社そして経営者は存在している。そして成果を考える際には、自分達が社会に対してなしうることを考える、自分たちの存在意義、使命から考えること。尊敬される経営者は皆、自分や仲間を超えた範囲での使命を持ち、成果を表明し達成してきたからに他ならない。経営者を目指す自分がしっかり心得ないといけないことが全頁に散りばめられている。

経営者に必要な4つの力
1. 変革する力 2.儲ける力 3.チームを作る力 4.理想を追求する力

1.変革する力
-非常識と思える程の目標を掲げること。
ユニクロは達成困難と思われることを目標に掲げることで、現状の延長線上にあるやり方を超えた方法を考え出し、結果を出してきた。売り上げの目標、郊外型店舗の都心経営、高額商品の大衆化。難題を自らに突きつけ、どう実現するかを実直に問うてきたからこそ今の革新的な企業が存在している。
-常識を疑う。常識に捉われない。
ユニクロは、勝手に線引きをされていた、フリースは登山やアウトドアがやるものだ、やブラトップはインナーだという常識を疑い、線引きを取っ払ってきた。顧客の常識に照らし合わせたときに、どうあって欲しいかを考ええる。業界の慣習は過去のもの。顧客に集中することで、次の一手が見えてくる。また、経営は適切な危機感をいつも持って行うべき。
-基準を高く持ち、妥協と諦めをしないで追求する。
自分基準での判断ではダメで、日本一、世界で一番を追求すること。本物は世界を貫くし、本物のみが世界を貫くことを肝に銘じること。
-上を目指して学び続ける。
市場の変化は激しく、変革は果てしない。自問自答していないと会社はすぐに社会に通用しなくなっていく。世の中の事象ですでに起こったことで、自分たちのビジネスに生かせること、脅威になることは何かを常に探り、学ぶこと。また、自分に力をつけることで学びの濃度が濃くなる、経営者との対話もより有意義になる。そして実績を出していくことで周りからさらに良いインプットが得られる様になる。

2.儲ける力
-お客様を喜ばせたいと腹の底から思う。
商売の原点はお客様のために。会社はお客様の為に、社会の為に存在している。より良いものをお客様に届ける、びっくりする様なものを届ける、くらいの気概を持って常に仕事をすること。本当にいいもの、本当に良いお店だと思うものを作ること。
-当たり前のことを徹底して積み重ねる
経営でも、儲ける力は当たり前のことを当たり前に毎日実行し、振り返り、次の方法を考え、計画をかえる。このことの繰り返しでできるもの。
目の前の一人のお客様を大切にして、一日一日を丁寧につみかさていくこと。この努力を飽きもせず、手抜きもせず、重ねられること。商売人のこの泥臭さを大切にできることが経営をやる人には欠かせないのです。
-集中する
最高の商売というのは、一つの完成された商品だけで大量に売れる様な商売をすること。自信があるもので勝負する。アップルは、自慢の製品群のみで勝負している訳だが、リソース最適化になっている。
-矛盾と戦う
プロの仕事は、矛盾との戦い。品質を上げる際に、コストも上がるのなら、素人でもできること。いかにして矛盾と闘い、解決策を出せるか。そこにプロとしての付加価値が生まれる。矛盾を解決した先に大きな利益が待っている。また、この際には、表面的な問題解決ではなく、根本的な解決を目指すこと。例えば社員のモチベーションが低い。夢や目標の共有ができていないのか、本音で話せていないからなのか、ねぎらいの言葉は十分か、と多角的に考えることが大事になる。

3.チームを作る力
-経営はチームで行うもの
リーダーはチームを勝利に導くための存在。一人だけ勝利を得るのではいけない。目標を共有し、チームメンバーに達成感、自己実現の勝利の美酒を味わわせて上げること。またチームメンバーが乗ってきてくれるためには、自分が言行一致で、信頼とはなんぞやということを行動を伴って見せること。首尾一貫として、目指しているものを、追いかけているものが、ブレないこと、変わらないこと、が大事。
-目標を共有し、一人ひとりの責任を明確にする。
目標はしつこく共有すること、このチームはどのような成果を目指すのかといった目標の共有をする。ジャック・ウェルチでさえ、浸透するまで何回も共有しつづけた。共有ができたら、責任を明確にすること。自覚形成を促し、帰属意識もつく。最終的には自由に考えさせて、権限を与えた方が、結果もよくなる。本人も自分の仕事だと思ってやる。結果が出た際には適切な評価をすることも忘れない。
-勝ちたいと誰よりも強く思い、自己変革を続ける
勝ちたいという思いを誰よりもリーダが一番強く持ち続けること。最後の一人になってでも自分は勝利のために戦う。そういう気概を持つこと。メンバーを鼓舞する前にリーダー自身が先頭に立って挑戦をすることが重要です。

4.理想を追求する力
-経営者にとっての使命感
会社にとって一番大事なのは使命感であり、長期間社会から優秀だと認められている企業は、しっかりとした使命感に基づいた経営が行われている。
一発当てて儲けること、有名になること、自分のキャリアに箔をつけること。そういったことに目を向けるのではなく、自社の使命を全ての企業活動の中心に据えた経営をすることが肝心。
-あるべき使命感
会社は生まれた瞬間から社会の公器。社会に貢献できて初めて、社会から存在が許される、認められるのだと思う。
使命感は責任感をもたらし、職業的良心に通じ、内発的動機を高めてくれる。使命感に照らし合わせた際に、どのようにビジネスを行うか、何が足りていなくて、どうしたら改善されるか。積極的に考えて行動するようになる。
-危機に際しての経営者の行動
経営者は突然訪れる会社の危機への対応の心算をしておく必要がある。
想定をして、経営者として自分の行動原則を準備しておくことが、使命感を追求する健全な会社を危機から守り抜くためには必要なことです。
危機の時ほどトップの真の資質が問われる時。危機に際して、リーダーがが素早く適切な判断を下し、致命傷を避けること。
-理想企業を目指して、人生と対決するようにして生きること。
経営者になる人には全員、理想や人生への希望を強く持って経営をしていく。小さくまとまらないて、大きな理想を掲げ、理想企業を目指して経営に携わって欲しい。本当に成功をしている人というのは、ビジネス、スポーツなどの分野に限らず、自分のやっていること=命という様な向き合いをして、戦った人です。自分との戦いの日々に勝った人だけが、理想に近づけるのです。

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