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略歴 : 東大工学部 → 外資系証券金融市場部門 趣味 : 歴史、経済史、ファイナンス…

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略歴 : 東大工学部 → 外資系証券金融市場部門 趣味 : 歴史、経済史、ファイナンス理論、ブロックチェーン 愛読書 : 道は開ける(稲盛和夫)、投資で一番大事な20の教え(ハワードマークス) 本を読んだ際の思考とまとめを投稿しています。

最近の記事

#235 一流投資家が人生で一番大切にしていること

世界の一流投資家を一流投資家たらしめるものは何かという問いへの現実的な答えを与える事を目標とする本書。一流とそれ以外を分けるものの中には、自分の得意なフィールドを選ぶこと、意思決定のプロセスを可能な限り簡潔にする事、投資対象に関して十分な知識を得ること、自分の投資がうまくいかないとすれば、どのような原因によるものかを考え尽くすこと、継続的に学び向上すること、自分自身が(もしくは投資プロセスが)安定して同じ基準で判断することができるようにするために必要な環境を整えることとざっと

    • #234 ビットコインスタンダード

      ビットコインという自分がこれからの人生を一番使うことになるであろう価値保存手段が生まれた背景が堅牢な経済学的視点から書かれている本書。読了は三回目程。社会実験として見ていた人もいるが、コロナを通じて政府主導の通貨政策に関して疑念が多く出てきており、インフレ政策に左右されずに価値貯蔵を行いたいという個人にとって現実的な選択肢となりうる日が一歩ずつだが近づいているのかもしれない。価値を守るのは自分自身の責任になった先に、産業革命、ルネサンスのような繁栄の時代が訪れるきっかけをビッ

      • #233 LIFE SHIFT

        寿命が継続的に長くなり、技術も累乗で進化することが見込まれる世の中においてどのような戦略を持って戦えば良いかを考えさせてくれる本書。挑戦する中での学びは学習期間でもあり仕事期間でもある。今までよりもますます自分の知識をアンラーンし、精錬させていくことが必要になるのであろうし、無形資産に関してもさらに目を向けていき、自分の人生をより長い期間主体的に生きていくために活用をしていく必要がある。 ・人生の寿命が大きく伸びている時代においては自分の人生設計も変わってくる。教育、仕事、

        • #232 転がる石は玉になる

          オービック創業者の野田さんの創業に至る経緯とそこからどの様にして会社を広げていったかが実話をもとに生の話が聞ける貴重な一冊。儲かるとは信じる者とかく、すごい良い言葉だ。泥臭く努力した先に初めて見えてくる世界があるというのはその通りだと思っていて、自分も日々の積み重ねを続けそのような世界を見れるようになりたい。 ・ほうれん草に霧をかけて競りに出したところ高くうれた。その足で魚屋にとんで生の秋刀魚を買った。その夜の我が家の食卓はいつになく賑やかだった。 ・売った私、買った店、

        #235 一流投資家が人生で一番大切にしていること

          #231 ZERO to ONE

          ピーターティールによるZERO to ONE。大学生の頃に一度、2021年末に一度、そして今回が三回目の読了になる。大学生の頃は経験が伴わずこの本の面白さを感じることができなかったが、今はもう少しだけ理解できている気がする。ティールの思考を形容するときに自分が真っ先に思い浮かぶのは、明るい北朝鮮。独立国家の出立がZEROの段階で必要なエネルギーとコアに似ていて、その後ONEになるためには明るさが必要だからだろう。 曖昧な楽観主義に支配されず、明確な楽観主義を実現させるために着

          #231 ZERO to ONE

          #230ヘッジファンド

          ・お金儲けがしたいのか、もしくは自分の信条が正しいということを示したいのか。1990年代には、ソロスはどちらの人格が主体であるべきかを確信していたが、それまではどちらにも難しい局面であった。 ・従来の投資家が避けてきた新興国への資金供給手段をヘッジファンドは担った。 ・市場は振子のように揺れるのではなく、クレーンに吊るされた鉄球のように揺れて経済を荒廃させることがある。 ・中国市場が台頭し始めると、外国人のタイへの融資意欲がかなり衰えてきた際に、中銀も利下げをし、タイを

          #230ヘッジファンド

          #229マーケットの魔術師

          米国トップトレーダーが語る成功の秘訣ということで、70,80年代から現代まで活躍したファンドマネージャーがどのような道を辿ってきたかが記載されている。本書に登場する人でさえ、あまりにも負けつづけたこと、感情に任せて取引をしてしまったためにうまくいかなったことが多いというのは励みになる。まだまだ一歩めだが、志を大きくもって挑み続けたい。あとは、情報の非対称性を探して大きくかけることが非常に大切であるし、自分のエッジをどのように見つけ生かすかということに頭を捻り続けなければならな

          #229マーケットの魔術師

          #228投資家のためのマネーマネジメント

          Optimal fとは何ぞやという感じであったが、ヒストリカルリターンを元にした際に、最大損失が出た際の自分の手元資金がどれほど毀損するのに耐えられるかを考える尺度になる。またこれは実際には、1トレードあたりの損失が2%に抑えるようにポジションサイジングを調整することと近いものがある。(コンサバ目なOptimal fを採用したシステムと考えられるから。)トレードの評価に関しては従属関係があるか、ムービングスタートを用いた際にどのような結果になるか、またPFが統計的優位性を持つ

          #228投資家のためのマネーマネジメント

          #227 インド経済大全

          インド経済を俯瞰的に調べるために優れた本書。広く幅広く書かれており、情報のキャッチアップにはもってこい。金融業、不動産業、医薬品などのヘルスケア関連が大きく伸びている様子。 ・モディ政権設立時には、インフレ二桁台と、4~5%ほどの経済成長率に苦しんだ。 ・デジタルインディアという政策においては、国民IDや銀行口座の普及といった社会課題の克服、フィンテックの普及によるイノベーションといった諸現象と結びつき、インド社会を大きく成長させる政策へと発展した。 ・GDPは2001

          #227 インド経済大全

          #226 13億人のトイレ

          日本ではほとんど誰もが清潔なトイレにアクセスすることができ、トイレのある暮らしが日常に組み込まれている。しかし、インドではそうではない。トイレというキーワードから貧富の差やカースト、都市と農村の格差といったインドの様々な景色を見せてくれる本書は、インドへの導入として非常に面白い本となっている。 ・強大な権力者であるモディに逆らう人には暴力が振るわれる危険性がある。 ・新しい紙幣の導入には不正通貨の炙り出しをしたいという思惑もあったとする考え方もあれば、反対勢力の資金源を断

          #226 13億人のトイレ

          #225リーダーの易経

          何度も読み返しては自分の立ち位置を振り返り元気をもらえる本書。龍の話の中でも、潜龍の話は何度読んでもとても為になり元気を貰える話だ。 ・潜象は現象に前駆する。潜象は目に見えないところで、必ず現象に先立って前駆していきます。 ・真冬には芽は出てきません。けれども、目に見えない地の奥深くでは種が育ち、春が近づいてくると必ず芽が震えながら伸びてきます。 ・志を抱いた潜龍が見龍となって地上に現れる春はまだ遠く、潜龍は辛い下積みの冬を過ごさないといけません。ただ、こうした厳しい環

          #225リーダーの易経

          #224ワークルールズ!

          グーグル人事トップがグーグルの文化がどのように作られたかを赤裸々に書いた本書。自分たちの会社の価値観に従うことが時に困難であっても設立当初の趣向を維持することが自分たちを守り、結果的に良い人材を呼び寄せる循環を作ることが分かる本書。チームを信じ、透明性を担保し、ビジョンに向かって全力で走るために必要なことを試行錯誤しながら見つけてきたグーグルの方法には学ぶことが多くある。特に設立当初は競合よりも金銭面で足りなくとも、適切な問題を解いているという方向間(これはリーダーの仕事)と

          #224ワークルールズ!

          #223米国株投資

          ・米国経済は成長を続けてきた歴史があり、暴落や市場の下落への耐性が存在している。 ・株式に限れば、日本よりも株主の監視が厳しいために、上場しているだけで安心して投資できる対象である可能性が高いし、株主還元の取り組みも積極的。 ・暴落時こそ買いのスタンスを忘れてはならない。

          #223米国株投資

          #222 システマティックトレード(2回目)

          戦略を練り上げるにあたり、ロバート・カーバーによる本書を再度読んでみた。本書の提案する手法で、今まで自分がとってきていたアプローチとの差異としては、単発のシグナルをもとに0 or 1で売買をするのではなく、「予測値」を用いてポジショニングを連続的に変化させることが挙げられる。 投資サイズ、投資スパンに応じて(リターンのコストへの重みが変わる)戦略の間の割り振りを考えることを参考に、大きな投資金額に対してもしっかりとパフォーマンスを出せるように着々と準備していきたい。 一方

          #222 システマティックトレード(2回目)

          #221 ヘッジファンド 投資家たちの野望と興亡 I

          ヘッジファンドの歴史は、学者の市場感と戦ってきた歴史でもある。1960年代のアメリカは戦後の安定的経済成長をしてきたために効率的市場仮説が広く支持されていたが、銘柄選択、人々の行動、規定上の行動バイアスなどを用いて戦ってきた歴史であるということを伝えてくれる本書。直接的に戦略に活かせるものはないが、アイデアや自分の進むべき方向を再検討する上では非常にためになる本。IIも読みたい。 ・市場の流動性は完璧ではないし、投資家の合理性も完璧ではない。 ・AWジョーンズが初めてヘッ

          #221 ヘッジファンド 投資家たちの野望と興亡 I

          #220ヘッジファンドのアクティブ投資戦略

          ベールに包まれているヘッジファンド戦略の収益の源泉として何を用いているのかを網羅的にまとめてくれた本。モメンタムとバリュー投資が長期的に通用するものだというのを行動経済学的観点からもサポートしてくれる。ファクターに関する論文に関して一通り読んでみようと思う。以下本書から気になった点を抜粋。 ・市場が十分に効率的ならば、収集できるであろう全ての情報がすでに価格に反映されているためアクティブ投資は無駄になるが、アクティブ投資家がいないと市場は効率的にならない。証券市場が非効率的

          #220ヘッジファンドのアクティブ投資戦略